弱さを抱えて強くなる
2025年10月29日リリースの、BE:FIRST初のベストアルバム『BE:ST』に収録されている『Stay Strong』は、メンバーのJUNONが出演する映画『WIND BREAKER/ウィンドブレーカー』の主題歌として書き下ろされました。劇中音楽も担当する音楽プロデューサー・YaffleとSKY-HIが初めてタッグを組み、ストリングスやギター、ドラムの音色が複雑に混じり合う、スケール感のある楽曲に仕上がっています。
また、JUNON自身が作詞に参加しており、映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』が描く、守るための強さにつながる、真っ直ぐなフレーズが詰まった楽曲となっています。
BE:FIRSTならではの力強さと繊細さを兼ね備えた歌声により、原作ファンも音楽ファンも世界観に引き込まれるでしょう。
どのようなメッセージが込められているのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。

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愛のない世界に生まれ
孤独の強さを掲げる
目に映るもの全て
重ね合わせ沈めて
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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この現代社会は「愛のない世界」。
愛がないから主人公は「孤独」ですが、隠れて縮こまっているわけではなく「強さを掲げ」て生きています。
「目に映るもの全て 重ね合わせ沈めて」のフレーズは一見破壊的にも思えますが、これは「愛のない世界」に対する怒りや衝動を表していると考えられるでしょう。
街全体に蔓延する愛のない行為に目を留めて、孤独に闘う主人公の強さが感じられます。
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透ける本性
恥じらいはNo No
また一つ混じり合って
共存するほど
面倒な思いも
もう当たり前 でも
Never let it go
嘘まみれの世界を
踏み外して飛び出そう
色のない未来だとしても
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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どれほど強い人として知られていても、生まれつき心が強い人はきっと一人もいないでしょう。
ふとした時に弱さという本性が顔を出し、湧き出る「恥じらい」に立ち止まりそうになることもあるはずです。
しかし「また一つ混じり合って 共存するほど」というフレーズから、主人公は自分の弱さを受け入れていることが読み取れます。
人間は複雑な心を持つ生き物なので、「面倒な思い」が浮かぶのも当たり前です。
そうした弱さや感情も自分のものとして受け止めるなら、大切な人を守りたいという強い想いと混じり合い、闘うための力に変わります。
だから「Never let it go(決して手放すな)」と訴えているのだと思われます。
未来がどうなるかは誰にも分かりません。
それでも自分を信じ、「嘘まみれの世界を 踏み外して飛び出そう」と決意した先に、世界を変えるほどの大きな力が生まれるのではないでしょうか。
「Stay Strong」に込められた意味

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Truth and Lies
Black or White?
寄りかかるつもりはない
ただ全てを守りたい
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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「Truth and Lies Black or White?(真実と嘘、黒か白か?)」という対比は、世界が持つ二面性を表しています。
人は善と悪、勝者と敗者に分けられ、どちらかに属することで一人ではない安心感を持つのかもしれません。
しかし、主人公はそのどちらにも「寄りかかるつもりはない」と語ります。
主人公が見ているのは自分ではなく、他者です。
「ただ全てを守りたい」という想いに突き動かされているため、それが孤独な闘いでも自分の信念を貫く覚悟ができています。
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変わらない
変われない
型破りで失礼
形くらい作れ
You gotta stay strong
Ah
変われない
本気しか愛せない
勝ちか負けだけが正義なんじゃない
守れ
You gotta stay strong
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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何があっても、主人公の想いは「変わらない」ほど強いものです。
それは不器用なほど実直だから「変われない」だけなのかもしれません。
どちらだとしても、何にも左右されない信念を持って闘う。
そして「本気しか愛せない」から、常に全力で挑み続けるのです。
「勝ちか負けだけが正義なんじゃない」のフレーズが、この楽曲で特に重要なメッセージといえるでしょう。
何かと闘うときには、誰しも勝ち負けにこだわってしまうものです。
しかし、本当に大切なのはその闘いから何を学び、何を得るか。
かっこ悪く負けたとしても大切なものを守れたら、それは主人公にとって正義を貫いたことになります。
「You gotta stay strong(強くいなくちゃいけない)」という言葉が、主人公を奮い立たせます。
タイトルが「Stay Strong」となっているのは、今の状態からさらに強くなるのではなく、今の強い状態を保ち続けることを意味しているのでしょう。
変わることよりも変わらないことの方が難しいから、この先もずっと大切なものを守り続けられる自分でいたいという純粋な想いが込められているように思えます。
自分を貫いてもがいていたい

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誰かがただ勝てば
誰かはまた負けた
闘うのは何故だ
まだ立つのは何故だ
強く吹く風
舐めた真似だけはダメ
理由も居場所も
それぞれが持ってる物だろう?
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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誰かが勝つということは、誰かが負けたということ。
傍観者でいれば傷つかずに済むのに、また立ち上がって闘う自分に「何故だ」と問いかけます。
誰かがやっているように「舐めた真似」をして虚勢を張るだけでは、何もできません。
それぞれが持っている闘う「理由」や守りたい「居場所」のために、自らの意思で行動することにこそ意味があります。
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あの人の掲げる正義も
もう一方からしたら悪だろ
すれ違う鼓動 響くコンクリート
傷ついても傷つけても今は自分を貫こう
変わり果てた姿で
それでも凛と咲いて
色付いた世界でもがいていたい
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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ある人が正義と考えていることも、見る人が違えば悪と見なされてしまいます。
誰しも違う考えを持っていて、完璧に理解し合うことはできません。
主人公は自分の正義が自分も他人も傷つけることになるとしても、「今は自分を貫こう」と決めています。
それは過去の自分とは「変わり果てた姿」になった今、自分の信念に誇りを持って「凛と咲いて」いたいと思うからです。
一歩踏み出した結果、この愛のない世界も決して無色ではないことを知りました。
だから正しいか間違いかは関係なく、「色付いた世界でもがいていたい」と全身全霊で今を生きようとしていることが分かります。
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身に染みた 弱さすら 手放したくないんだ
その先に 強さがある 守るものを見失うな
Come together under Green aye,
under Green aye,
under Green aye,
under Green aye,
風が舞う 風が謳う
"自分を曲げるな 目を逸らすな"
You gotta stay strong
≪Stay Strong 歌詞より抜粋≫
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「身に染みた 弱さすら 手放したくないんだ」と、弱ささえ自分の重要な一部だと歌います。
弱さを認め受け入れた「その先に 強さがある」と信じているからです。
自分の体裁やプライドに目が行くとき、「守るものを見失うな」と自分を鼓舞します。
「aye」は賛成や同意を意味する言葉のため、「Green aye」と表現することで、風鈴高校の緑色の制服を着て、同じ目的を持つボウフウリンの姿を表しているのでしょう。
「Come together under Green aye(緑のもとに集え)」と歌っているところに、仲間たちと共に、闘いのために立ち上がる熱気が感じられますね。
「自分を曲げるな 目を逸らすな」と自分の心に訴えかけ、強く前進する勇ましさを見せてくれます。
真の強さを教えてくれるパワフルなメッセージが心に響く!
BE:FIRSTの『Stay Strong』は、自分の信念を胸に行動することの素晴らしさが表現された楽曲です。真の強さとは自分の弱さを受け入れ、それすらも力に変えて心から信じる正義を貫き通すこと。
映画と『Stay Strong』を通して示される、力強く胸を打つメッセージを感じ取ってください。
