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RADWIMPS「DASAI DAZAI」歌詞の意味を考察!「太宰的愛」を現代に描いた異色のラブソング

孤独とユーモア、そして文学的な美意識が混ざり合うRADWIMPSの「DASAI DAZAI」。メジャーデビュー20周年を迎えるRADWIMPSが放つ、新しいアルバム「あにゅー」に収録されている一曲です。太宰治の名を冠した、異色のラブソングに込められたメッセージを読み解きます。

20周年イヤーに放たれた「文学的ユーモア」の新境地

今年メジャーデビュー20周年を迎えたRADWIMPS

10月8日(水)にリリースされた4年ぶりのアルバム『あにゅー』には、そんな節目にふさわしい新たな感性が詰まっています。

中でも「DASAI DAZAI」は、太宰治の名をタイトルに掲げた異色作としてSNSでも話題に。

軽妙な言葉遊びの中に「人間らしい弱さ」や「愛の滑稽さ」を描き出すこの曲には、野田洋次郎ならではの文学的ユーモアが光ります。

では、歌詞にはどんなメッセージが込められているのでしょうか。

太宰治とのつながりにも注目しながら考察していきます。

RADWIMPS「DASAI DAZAI」歌詞を考察


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今日の降水確率20% これが高いか低いかを
決めるのは君の心次第 傘を持つか心意気次第
告白成功率20%は如何ともしがたいよな
これはおそらくは負け試合 あとは負け方の美学次第
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「今日の降水確率20%」という不確かな数値は、恋の行方の儚さを象徴しています。

まるで恋の勝負が、始まる前から敗北であることを悟っているかのような語り口です。

「これはおそらくは負け試合 あとは負け方の美学次第」という一節には、太宰治が所属した日本浪曼派的な思想、すなわち「否定される自己」や「挫折」をも美として昇華する感性が滲みます。

恋の勝敗をあらかじめ放棄しつつも「負け方の美学」にこだわる主人公。

敗北の中にこそ「美」を見い出す。

その矛盾を抱きしめる姿勢自体が、RADWIMPS流のロマンとしても鮮やかに響いています。

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駆け引きはもはや意味がないのなら
この心成仏させにいざ
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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恋の駆け引きを捨て、「この心成仏させにいざ」と語る主人公。

ここでは恋愛を「死」や「成仏」に重ねることで、未練を昇華しようとする姿が描かれます

太宰的な「自己破滅」がユーモラスに転化されており、感情の清算をどこか美しい儀式のように描いています。

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例えば
君が主演の映画の最後 流れるエンドロールでは僕の
名前は何番目に 出てくるのか 知らないけど
今はその他大勢の中 埋もれている僕でも いつか
君の名前のすぐ後に 並んでみせるよ
君からの 最優秀男優賞を目指すの
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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恋を映画にたとえ、君の中での自分はとても些細な存在として埋もれている現実を語っています。

しかし主人公は「君の名前のすぐ後に並んでみせる」と宣言します。

これは自己卑下ではなく、「愛されたい」という人間の普遍的な願望の表れであり、承認欲求が垣間見える部分です。


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僕の携帯充電12% まだ昼2時を過ぎたとこ
君から気まぐれの誘いが 万が一来ても非常事態
僕の生存確率20年後とかできたら知りたくないのさ
それより知りたいことがある 誰にも言えないことがある
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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「僕の携帯充電12%」という何気ない日常の描写には、命や感情の残量を暗示するような危うさが漂っています。

昼の2時という明るい時間帯にすでにバッテリーが切れかけている。

それは、主人公の心がもう限界に近いことの比喩です。

「僕の生存確率20年後とかできたら知りたくないのさ」からは、「生きたい」と「消えたい」の狭間で揺れる葛藤がにじみ出ています。

君に振られて儚く散りたいという衝動と、君を想い続けて生きたいという願いが同居しており、痛いほど人間らしく矛盾している一節です。

そして「それより知りたいこと」は君の気持ち。

「誰にも言えないこと」は、そんな自分の想いの深さ。

恥ずかしいほどまっすぐで、誰にも見せたくないほど純粋な恋心です。

このパート全体を通して、不安定でありながらも真摯な生の瞬きが、静かに描き出されているのです。

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生まれてこの方叶ったすべての
願い全て引き換えとかどう? それでも無理?
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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すべての願いと引き換えにしてでも叶えたい恋。

ここでは理屈では説明できない、愛の非合理性が描かれています。

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例えば
君のベロと僕のベロが天文学的確率で
触れ合うなんてことが もしも起こったとしたなら
ご先祖から末代まで 皆々総立ちになり歓喜
この気持ちをトキメキと呼ばず 何と呼ぶんでしょう?
精も根も純も情も 混ざった 白濁の愛を
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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君との接吻は「天文学的確率」であり、それが叶うとしたら「ご先祖から末代まで 皆々総立ちになり歓喜」するほどの出来事だという表現。

やや過激な表現が続く一節ですが、「僕」が「君」を思う気持ちがストレートに伝わります

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三島的大演説で 太宰的その文体で
あなたに伝えたいのです
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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「三島的大演説で 太宰的その文体で」というフレーズは、まさに相反する二人の文学者をひとつの文脈に重ね合わせた巧みな設計といえます。

三島由紀夫も太宰治も、人間としての弱さや葛藤を抱えていたという点では根底に共通性があると考えられます。

ただし三島は、その弱さを克服し、自己を律して強さを形づくる方向へ向かおうとした人物。

一方、太宰は自らの弱さ・矛盾をそのままさらけ出し、受容する文学を選んだ作家。

この一節には、そんな二つの文体・精神性を渡り歩きながら、相手に対して 「強く思いを伝える言葉」と 「内面の赤裸々に伝える言葉」の両方を届けたいという欲望が感じられます

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人は0.2秒で恋に落ち そして5臓6腑でのめりこみ
1000年かけても癒えないような深く重い 傷を背負う
≪DASAI DAZAI 歌詞より抜粋≫
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恋は0.2秒で始まりながら、その痕跡は1000年にも等しい深い傷を残す。

つまり、一瞬の感情が永遠の後悔や痛みとなるという、恋愛の残酷な構図をシンプルに語っています。

この対比を通して、感情の速度とその重みが、恋の本質を浮かび上がらせています。

RADWIMPS「DASAI DAZAI」が描く「生きること」と「愛すること」


RADWIMPS「DASAI DAZAI」は、恋の痛みと滑稽さ、そして生きづらさまでも愛おしく描いた、まさに現代の太宰的ラブソングです。

生きることも、愛することも、思い通りにはいかない。

けれど、その不器用さや矛盾の中にこそ、人間らしさが宿っています。

自分の弱さを否定せず、まっすぐに誰かを想う。

その瞬間こそが、生きている証なのだと、この曲はそっと教えてくれます。

ぜひ自分らしさを抱きしめながら、「DASAI DAZAI」に心を委ねてみてください。

野田洋次郎(vo/gt/pf)、武田祐介(ba) (山口智史(Dr)は活動休止中) 2001年結成、2005年メジャーデビュー。 ジャンルという既存の枠組みに捉われない音楽性、恋愛から死生観までを哲学的に、情緒的に描いた歌詞で、思春期を過ごす世代を中心に幅広い層に大きな支持を受けている。 その···

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