「つぐない」テレサ・テン初のオリコンチャートベスト10

『つぐない』は、1984年1月21日にリリースされた、テレサ・テン14枚目のシングル。
オリコンチャート6位と初のベスト10入り、人気歌番組「ザ・ベストテン」に初ランクインするなどヒットした楽曲です。
台湾出身のテレサはすでにアジア圏で人気を博しており、1974年に日本デビュー。
『つぐない』リリース後もヒットを連発し、日本での人気を不動のものに。
台湾出身だからこその、少したどたどしさの残る発音と、甘く優しい歌声がとても心地よく、日本中が彼女の歌声に魅了されました。
1995年に42歳の若さで死去した後も、根強い人気を誇るアジアの歌姫です。
本記事では『つぐない』の歌詞の意味を深く紐解いていきます。
「つぐない」が描く愛と別れ
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窓に西陽が
あたる部屋は
いつも あなたの
匂いがするわ
ひとり暮らせば
想い出すから
壁の傷も残したまま
おいてゆくわ
≪つぐない 歌詞より抜粋≫
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朝陽ではなく夕暮れを意味する西陽を描くことで、恋の終わりを情緒的に訴えかけています。
この部屋に一緒に住んでいた、もしくは彼がよく訪れていた、そんな恋愛関係にある男女。
彼の匂いが染みつくほど過ごした長い時間。
残したままの壁の傷は、忘れたくない幸せな想い出。
彼との想い出を胸に、ひとりぼっちで暮らす自信はないから、と部屋を去る女性の姿が描かれています。
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愛をつぐなえば
別れになるけど
こんな女でも
忘れないでね
≪つぐない 歌詞より抜粋≫
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「愛をつぐなえば別れになる」という歌詞は、とても謎めいています。
つぐなうとは、謝罪や補償などなにかを持って、相手へ損失を補うこと。
『つぐない』の歌詞では、愛をつぐなうことが別れになることだと語ります。
なぜ別れになるのでしょうか。
それは、女性が彼に対しての裏切りがあるからだと考察します。
例えば自分には家庭がある、など彼に謝罪すべき隠し事があったとしたら。
だから「こんな女でも」と自分を卑下し「忘れないでね」と未練を語っていると考えられます。
しかし『つぐない』の歌詞の女性は、彼に対して遊びである、という印象は全く感じられません。
何らかの事情で夫から逃げている、など訳ありの女性と考えればしっくりくるかもしれません。

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優しすぎたの あなた
子供みたいな あなた
あすは他人同志に
≪つぐない 歌詞より抜粋≫
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男女の年齢差はたぶん女性の方が年上。
それも2、3歳差ではなく10歳ぐらい違うような気がします。
優しすぎる子どもみたいな彼は、ピュアで無邪気な姿を想像させます。
そんな彼を傷つけてしまった罪悪感から別れを選ぶ女性。
「あすは他人同志」という言葉が、それまでのつながりを切り捨ててしまうようで、悲しさがつのります。
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心残りは
あなたのこと
少し煙草も
ひかえめにして
過去に縛られ
暮らすことより
わたしよりも可愛い人
探すことよ
≪つぐない 歌詞より抜粋≫
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別れを決意したのに、彼のことがとても気がかり。
体のことを気遣い、大切に想う気持ちでいっぱいです。
でも、私のことはどうか忘れて、と願います。
「私よりも可愛い人」という言葉を女性が使うのは、きっと自分が彼にふさわしくないと感じているから。
彼を裏切った自分は無垢ではない。
だからもっと素敵な女性を選んでほしいという願いです。
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愛をつぐなえば
重荷になるから
この町を離れ
暮らしてみるわ
お酒のむのも ひとり
夢を見るのも ひとり
あすは他人同志に
なるけれど
≪つぐない 歌詞より抜粋≫
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女性は、自分の裏切りを彼に話したのでしょうか?
それとも何も言わずに別れを切り出したのでしょうか?
「愛をつぐなえば重荷になる」の歌詞は『つぐない』の核心部分だと感じます。
もし、真実を話せば彼を傷つけ、重荷になってしまう。
彼には真実を話していないのかもしれません。
別れすら告げず、彼の元を離れたのかもしれません。
彼のことを思いながらこの町を離れ、1人で生きていく女性の悲しみがあふれています。
「別れ」が「つぐなう」ことになる理由

「つぐなう」ことで「別れ」を選んだ女性。
なぜ愛する人との別れを選ばなければならないのでしょうか。
「別れ」を選ぶことが、彼への「最大のつぐない」だと感じたからに他なりません。
自分ではなく、もっと彼にふさわしい素敵な女性がいるはず、と思い自ら身を引く。
相手のことを思っての行動です。
彼を裏切った女性は、きっと罪悪感に苛まれているのでしょう。
自分を純粋に愛してくれる無垢な彼。
彼を裏切っている女性は自分自身を許せず、彼が自分の裏切りを許してくれたとしても、その優しさが逆に耐えられないのかもしれません。
いずれにしても、女性が過ちや裏切りという罪を犯し、罪悪感に耐えられなくなった。
だから「愛でつぐなう」という結果になったのではないでしょうか。
そして彼には別れの理由を話していないと考えられます。
もしかすると、何も言わず彼の元を去った可能性さえあります。
そこには、無垢で無邪気な彼を傷つけたくないという女性の気持ちがあるのです。
女性から男性への究極の愛が「別れというつぐない」だったのかもしれません。
『つぐない』不朽の名曲が描く究極の愛
テレサ・テンの『つぐない』は、今も多くの人を魅了する不朽の名曲。別れることで愛をつぐなうという、とても難しいテーマの楽曲です。
究極の愛とはなにか、ということを問いかけられているような男女の恋愛模様が、人々の心を引きつけてやみません。
