「One more time, One more chance」は映画「秒速5センチメートル」主題歌
山崎まさよしの「One more time,One more chance」は、1997年1月22日にリリースされた楽曲で、初期の山崎の代表曲のひとつです。山崎の初主演映画『月とキャベツ』(1996年)の主題歌に採用され、ロングヒットしました。
2007年には、新海誠監督のアニメ映画『秒速5センチメートル』の主題歌として話題になりました。
新海監督からの楽曲使用の依頼に快諾し『One more time,One more chance 秒速5センチメートル Special Edition』としてリリースされています。
さらに2025年10月公開の松村北斗主演の実写映画『秒速5センチメートル』の劇中歌としても使用され、18年の時を経て山崎と新海監督とのコラボが実現。
本映画用にリマスターされた『One more time, One more chance 〜劇場用実写映画「秒速5センチメートル」Remaster〜』が2025年7月から配信リリースされています。
松村北斗が出演するスペシャルリリックビデオも公開されていますので、ぜひご覧ください。
本記事では、時代を越えて人々の心に響く『One more time,One more chance』の歌詞の意味を考察します。
「One more time,One more chance」が描くリアルな心のつぶやき

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これ以上何を失えば
心は許されるの
どれ程の痛みならば
もういちど君に会える
One more time
季節よ うつろわないで
One more time
ふざけあった 時間よ
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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これ以上ないほどの喪失感が描かれています。
もう一度君に会えるのなら、どんな痛みでも受ける。
失われた時間を取りもどしたい。
楽しかったあの頃のまま時よ止まれ、という願いです。
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くいちがう時はいつも
僕が先に折れたね
わがままな性格が
なおさら愛しくさせた
One more chance
記憶に足を取られて
One more chance
次の場所を選べない
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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ケンカした時は、いつも先に謝るのは僕。彼女のわがままを受け止めてくれる、懐の大きな男性像が浮かびます。
女性はちょっぴりわがままな方がかわいらしい。
彼女を大きな愛で包み込んでいる幸せな時間。
そんな記憶が自分の心を縛って先に進めない彼。
喪失感が心を苦しめます。
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いつでも捜しているよ
どっかに君の姿を
向いのホーム 路地裏の窓
こんなとこに
いるはずもないのに
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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いないはずの君をつい捜してしまう。
それほどいつも身近にいたから。
ホームや路地裏はよくある風景で聴く人の共感を誘います。
歌詞で「捜す」を使用しているのは「捜査」のように、あるはずなのに見えなくなった人や物を、必死に見つけようとしているからです。
「探す」は「探検」のように、まだ未知の物を見つけに行く時に使用します。
いるはずもない場所に彼女の姿を捜してしまうのは「いてほしい」という願いだからこそでしょう。
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願いが もしも叶うなら
今すぐ君のもとへ
できないことは
もう何もない
すべてかけて
抱きしめてみせるよ
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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「もしも」をつけることで、再会が奇跡的なものだということがわかります。
叶わないかもしれない願い。
だからこそ叶ってほしい願い。
それほどの気持ちで彼は彼女との再会を望みます。
そして過去への後悔を「すべてかけて抱きしめてみせる」と未来への希望として描きます。

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寂しさ紛らすだけなら
誰でも いいはずなのに
星が落ちそうな夜だから
自分を いつわれない
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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主人公が自分の心の内を語る、とても素敵な歌詞です。
寂しさを誰かで埋めようとする心と、自分に嘘はつけないという葛藤。
「誰か」ではなく「君」じゃなきゃダメなんだという彼の想いが伝わります。
「星が落ちそうな夜だから 自分をいつわれない」という歌詞がとてもロマンティックです。
美しくて儚い、幻想的な星空が目に浮かびます。
星の瞬きに心を見透かされていると感じているのかもしれません。
だから嘘をつけない。
流れ星に願うのは、愛しい君との再会。
美しい星空を見つめながら、彼女への想いが深まります。
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奇跡がもしも起こるなら
今すぐ君に見せたい
新しい朝 これからの僕
言えなかった
「好き」という言葉も
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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過去ではなく、未来を君と歩きたいという思いが描かれています。
「好き」と口にするのが苦手なシャイな彼の姿が想像できます。
これからは想いを口にできる、新しい僕を見せたいという決意です。
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夏の想い出がまわる Uh…
ふいに消えた鼓動
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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歌のフックの部分でドキッとさせる言葉が登場します。
「ふいに消えた鼓動」は、ただの別れだけでなく、死別をも想像させます。
『One more time,One more chance』のストーリーが恋人同士の別れだけでなく、死別ではないかと想像させるのは、どちらにも感じとれる歌詞だからではないでしょうか。
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いつでも捜しているよ
どっかに君の姿を
交差点でも 夢の中でも
こんなとこに
いるはずもないのに
いつでも捜しているよ
どっかに君の姿を
明け方の街 桜木町で
こんなとこに
来るはずもないのに
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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交差点や街の風景を登場させることで、具体的な情景が浮かび、聴く人の心を揺さぶります。
「いるはずもないのに 来るはずもないのに」とあきらめながらも、かすかな期待をかけています。
桜木町は神奈川県横浜市にある地名で、山崎が山口県から上京した1993年頃に住んでいたと言われている町です。
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いつでも捜しているよ
どっかに君の破片を
旅先の店 新聞の隅
こんなとこに
あるはずもないのに
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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これまで探していた「君の姿」が、この部分の歌詞では「君の破片(かけら)」となっています。
君の一部でもいいから会いたいというせつなさを感じます。
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命が繰り返すならば
何度も君のもとへ
欲しいものなど
もう何もない
君のほかに大切なものなど
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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生まれ変わっても何度も何度も君と出会いたい、という強い愛です。
君さえいれば他に何もいらない、欲しいものなどあるものかとつぶやきます。
「君以外に大切なものはない」。
愛する人を失ってから、より深く自分の気持ちに気づいたのでしょうか。
そこはかとない喪失感と後悔を感じさせる歌詞です。
いるはずのない君の姿を捜しながら、楽しかった日々に心が止まったまま。
いつか2人はまた出会えるのでしょうか。
描かれる喪失感とかすかな希望が心に響く理由

愛する人との別れを描いた『One more time,One more chance』が聴く人の心に響くのは、街の風景を登場させることで、リアルさを表現している点が挙げられます。
駅のホームや路地裏、交差点など毎日のように目にする風景で、失った君の姿を捜す。
誰にとっても「あるある」という感情につながるからではないでしょうか。
愛する人との再会を「もしも」と描くことで、喪失感からのかすかな希望を感じさせる点も、聴く人の心に寄り添います。
あきらめきれない気持ちを「もしかしたら」と予感させることで、気持ちが未来へとつながるのではないでしょうか。
誰もが経験するであろう、恋愛模様をリアルな心のつぶやきとして描いていることが、聴く人の心に響く理由だと思います。
「One more time,One more chance」普遍的な恋愛模様が心に響く山崎まさよしの代表曲
喪失感とかすかな希望が描かれた『One more time,One more chance』。アニメ、実写と『秒速5センチメートル』の主題歌として、映画のセンチメンタルな世界観とマッチした楽曲です。
リリースから30年近く経っても、聴く人の心に響く山崎まさよしの代表曲を、ぜひ聴いてみてください。
