朝ドラ「エール」で人気・古関裕而作曲

『栄冠は君に輝く』は、作詞・加賀大介、作曲・古関裕而による歌・行進曲です。
「全国高等学校野球大会の歌」というタイトルで、1948年の「第30回全国高等学校野球選手権大会」(通称・夏の甲子園)にて発表されました。
夏の甲子園の大会歌として開会式、閉会式で演奏され奉唱されます。
春に行われる「選抜高等学校野球大会」(通称・春の甲子園)では演奏されません。
甲子園球場内でのグラウンド整備時のBGMの他、夏の甲子園の放送告知や野球関連番組で使用されることが多く、誰もが聴きなじみのある楽曲ではないでしょうか。
しかし、タイトルを知らなかった人も多いかもしれません。
『栄冠は君に輝く』を有名にしたのが、2020年度のNHK連続テレビ小説『エール』です。
作曲家・古関裕而をモデルとした作品で、主演は窪田正孝。
『栄冠は君に輝く』を歌う歌手として山崎育三郎が出演。
現実では、古関裕而の親友であり歌手の伊藤久男が『栄冠は君に輝く』を歌唱。
ドラマでも同じ設定で、山崎演じる佐藤久志が歌います。
山崎育三郎の歌声に魅了

『エール』放送時から話題となったのが、ミュージカルを中心に活動する俳優、山崎育三郎の歌唱です。
圧巻の歌声に多くの人が魅了され、歌手として俳優としての地位をさらに高めました。
山崎の『栄冠は君に輝く』は、2020年12月2日リリースのシングル『君に伝えたいこと』のカップリングとして収録されています。
ドラマ『エール』で『栄冠は君に輝く』を歌った縁で、2021年の夏の甲子園の開会式にて同曲を歌唱し、再び感動を巻き起こしました。
本来、2020年の同大会で歌唱する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により大会自体が中止に。
翌2021年に持ち越されたという経緯があります。
脚光を浴びる『栄冠は君に輝く』は、山崎の歌唱が真っ先に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
歌詞の意味を紐解いていきます。
「栄冠は君に輝く」歌詞に込められた意味

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雲はわき 光あふれて
天たかく 純白の球きょうぞ飛ぶ
若人よ いざ
まなじりは 歓呼にこたえ
いさぎよし ほほえむ希望
ああ 栄冠は 君に輝く
≪栄冠は君に輝く 歌詞より抜粋≫
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1番は開会式や試合前の様子を描いていると考えられます。
白い雲、光り輝く青い空、真夏の情景が浮かびますね。
白いボールが空に舞う。
いよいよ試合の始まりだ。
「まなじり」とは目尻のことです。
目尻に映る観客のエールに、選手は胸が熱くなる。
「いさぎよし」とは清らかで汚れのないこと。
選手宣誓と通じるスポーツマンシップを感じます。
どんな試合展開になるのか、さあ、いざゆけ若者よ。
選手の姿に「栄冠は君に輝く」と賛辞を送ります。
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風をうち 大地をけりて
悔ゆるなき 白熱の力ぞ技ぞ
若人よ いざ
一球に 一打にかけて
青春の 讃歌をつづれ
ああ 栄冠は 君に輝く
≪栄冠は君に輝く 歌詞より抜粋≫
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2番では、試合真っ只中の様子が描かれています。
グラウンドで躍動する選手たち。
甲子園での試合は、負けたらそこで終わりです。
悔いなきように力を出しきれと鼓舞します。
どう転ぶかわからない白熱の試合展開。
若き青春の1ページをこの瞬間に刻め、と応援します。

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空をきる 球のいのちに
かようもの 美しくにおえる健康
若人よ いざ
みどり濃き しゅろの葉かざす
感激を まぶたにえがけ
ああ 栄冠は 君に輝く
≪栄冠は君に輝く 歌詞より抜粋≫
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3番では、命、健康の大切さを伝えたいのだと考えられます。
野球のボールは投げた瞬間、打った瞬間と、一瞬一瞬に命が宿る儚いもの。
そんなボールのきらめきと、人の命と健康の大切さが描かれています。
作詞の加賀大介は16歳の時、野球の試合での怪我が元で、右足の膝から下を切断せざるを得ませんでした。
野球への想いが強く、自宅前の小学校で子どもたちの野球をよく見ていたとのこと。
また、戦後ほどなくして創られた歌とあって、若者が元気に楽しく自分たちのやりたいことができる、平和な環境への想いが込められていると捉えることもできます。
「しゅろの葉」は、勝利を象徴する意味で歌詞に使用したのでしょう。
古代オリンピックでは、勝者に「しゅろの葉」を授与していたと言われています。
マラソンなどでも、月桂冠と呼ばれる葉の冠が授与されますが、そんなイメージです。
勝利の象徴「しゅろの葉」を手にする自分をイメージして、全力で戦え若者よ。
その姿に「栄冠は君に輝く」のだと讃えます。
白球に全てを懸け、グラウンドで躍動する高校球児たちを讃える『栄冠は君に輝く』。
この歌は結果に関係なく、自分の全てを出しきり戦う者への賛辞が込められていると感じます。
勝者だけが讃えられるのではなく、躍動する若い命の素晴らしさ、健康や平和の大切さが歌われているのです。
躍動する命の輝きを讃える応援歌

『栄冠は君に輝く』は、連続テレビ小説『エール』で有名となった、古関裕而の作曲による楽曲です。
高校野球の大会歌として使用され、グラウンドで躍動する選手たちを讃える歌詞が織り込まれています。
勝敗に関係なく、躍動する命の輝き、健康の大切さを感じとれる歌詞は、戦後の平和への思いも込められていると感じます。
ドラマ『エール』同様、山崎育三郎の素晴らしい歌唱をぜひ、聴いてみてはいかがでしょうか。
