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山崎ハコ「織江の唄」歌詞の意味を考察!「青春の門」イメージングは織江の一途な愛と心の痛みを描いた物語

山崎ハコの『織江の唄』は、映画『青春の門』の主題歌ではなく、イメージソングです。映画のCMなどで使用され、劇中では流れません。筑豊の方言で、織江の主人公・信介への一途な愛、心の痛みが描かれています。本記事では、歌詞の意味を考察します。

山崎ハコが描く唯一無二の世界


山崎ハコは、1975年デビューのシンガーソングライターです。

フォークギターの弾き語りで、女の情念や怨念を切々と歌い上げるスタイルで多くのファンに支持されました。

大分県日田市出身であることから、九州弁を活かした歌詞、日本各地の伝承歌を題材にした楽曲、地元の大分、九州のご当地ソングなど、地域に根付いた作品創りにも定評があります。

そのスタイルは影を帯びていて、けっして明るいものではありません。

しかし誰もが持つ悩みを表現し、社会へ問題を投げかける歌詞が共感を呼び、熱狂的なファンを獲得したのです。

時代が、キラキラとした1980年代に向かう中、フォークソングは暗い、と言われるようになりました。

それは同時期デビューの中島みゆきも同じで、女の情念を歌い上げるシンガーソングライターとして、2人は周囲からライバル関係と称されることもありました。

山崎は、唯一無二の存在としてファンを魅了し続けます。

2024年には、デビュー50周年アルバム『元気かい』をリリース、2025年には、地元大分で50周年アニバーサリーライブを行いました。

山崎には数々のヒット曲がありますが、本記事では『織江の唄』について考察していきます。

『織江の唄』は、映画『青春の門』の主題歌として有名な楽曲です。

映画「青春の門」イメージング「織江の唄」

▲山崎ハコ-織江の唄【YouTube Topic】

『織江の唄』は、1981年公開の映画『青春の門』のイメージソングです。

主題歌として認識されていることが多いのですが、劇中では流れません

映画公開前に、テレビやラジオCMで大々的に流れたため『青春の門』=『織江の唄』として印象づけられ、多くの人が主題歌と間違って認識したのです。

主人公・信介を佐藤浩市が、彼と惹かれ合う幼なじみの女性・織江を杉田かおるが演じました。

大人になっていく過程で生じる痛みを、誰もが通る「青春の門」とし、主人公の成長を描いた作品です。

映画の原作『青春の門』は、1969年から続く大ベストセラー作品で、九州の筑豊(田川・飯塚)を舞台に、主人公・伊吹信介の生涯を描いた群像劇です。

戦前から戦後、高度経済成長期にかけての激動の日本社会を背景に、九州の炭鉱文化ならではの生活を描きながら、愛、性、差別、貧困、暴力、成長や別れといったテーマが濃密に織り込まれています。

『織江の唄』の作詞は『青春の門』の原作者である五木寛之。

新聞に歌詞が掲載され、曲は公募されました。

アマチュアのみ参加可能でしたが、プロである山崎は「これは私が歌わないけん(九州方言・いけん=いけない)」と思ったとのこと。

大分出身のため、映画の舞台である福岡・筑豊の言葉で書かれた歌詞の意味もわかるし、地方ならではの文化、男性を支えるという九州女性の役割を身近に感じていたからとのこと。

衝動的にデモテープを作り、後日ラジオ番組で共演した五木に聴いてもらったところ、「この歌のハコさんがいちばん織江らしい」と絶賛され、採用が決まったというエピソードがあります。

『織江の唄』は、映画公開前の1979年に山崎のシングル『ララバイ横須賀』のB面(カップリング)としてリリースされていた楽曲です。

その後、1981年にシングルA面(メイン曲)としてリリースされました。主人公・信介を一途に愛する織江を描いた『織江の唄』の歌詞の意味を考察していきます。

少女から大人の女性へ・その過程で通る「青春の門」


織江の視点で、信介への想いが九州・筑豊の方言で歌われています

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遠賀川 土手の向こうにボタ山の
三つ並んで 見えとらす
信ちゃん 信介しゃん
うちは あんたに逢いとうて
カラス峠ば 越えて来た
≪織江の唄 歌詞より抜粋≫
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遠賀川(おんががわ)は、筑豊地方から北九州市、中間市、遠賀郡を流れ響灘へ注ぐ川です。

冒頭から筑豊を舞台にした歌ということがわかります。

ボタ山とは、炭鉱の廃土を積み上げてできた山のこと。

炭鉱町ならではの荒廃した風景は、主人公らの貧困や過酷な生活を表しています。

信介と幼なじみの織江は、親しみを込めて「信ちゃん、信介しゃん」と呼びます。

「しゃん」という呼び方は、九州地方で「さん」の代わりに使われる言葉です。

カラス峠は、実在する烏尾峠(からすおとうげ)のことで、福岡・飯塚市と田川郡を結ぶ峠です。

母の死により、生活のために地元を離れ、小倉でキャバレーに勤める織江が、カラス峠を越えて信介に逢いに行きたい、と願う気持ちが描かれています。

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そやけん 逢うてくれんね 信介しゃん
すぐに田川に 帰るけん
織江も 大人に なりました
≪織江の唄 歌詞より抜粋≫
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そやけん(だから)私と逢ってくださいと懇願します。

すぐに田川に帰るからと。

小倉は筑豊に比べれば都会です。

地元を離れ、夜の街にもまれた織江が、否が応でも大人になっていく様子を描きます。

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月見草 いいえそげんな花じゃなか
あれは セイタカアワダチ草
信ちゃん 信介しゃん
うちは 一人になりました
明日は 小倉の夜の蝶
≪織江の唄 歌詞より抜粋≫
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月見草は、宵待草とも呼ばれるマツヨイグサのことです。

夕方から早朝にかけて、黄色い花を咲かせます。

セイタカアワダチソウも同じように黄色い花を咲かせますが、昔は花粉症の原因となるブタクサと混同され、嫌われていました。

あれは美しい月見草なんかじゃないよ、雑草だよ、と自分に例えて言っているのではないでしょうか。

母を亡くし、一人になった織江。

キャバレーなど水商売に勤めることを「夜の蝶」と呼ぶ時代がありました。

生活のため「夜の蝶」として働く織江の悲しみが浮かんできます。

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そやけん 抱いてくれんね 信介しゃん
どうせ汚れて しまうけん
織江も 大人に なりました
≪織江の唄 歌詞より抜粋≫
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現在では、キャバクラなど夜の仕事はポップな扱いで、水商売に身を落とすといった概念はあまり無いように思います。

しかし『青春の門』が執筆開始された1969年頃は、女性が夜の仕事をすることに、あまりよいイメージはありませんでした。

織江は自分が「汚れてしまう」と嘆きます。

だから、信介に自分を受け止めてほしいと願います。

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香春岳 バスの窓から中学の
屋根も 涙でぼやけとる
信ちゃん 信介しゃん
うちは あんたが好きやった
ばってんお金にゃ 勝てんもん
≪織江の唄 歌詞より抜粋≫
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香春岳(かわらだけ)は、田川に実在する山です。

3つの峰から成る山は、全体的に石灰岩でできており、付近にはこれを原料としたセメント工場がありました。

炭鉱といい、自然のものを利用してきた筑豊地方の営みが浮かんでくるようです。

この部分の歌詞は、織江がこの町を出ていく日のことが描かれているのではないでしょうか。

本当は行きたくない、この町を離れたくない。

ずっと信介と一緒にいたい。

信介と共に過ごした中学校を見て、涙が溢れます。

でも、生活のためには仕方のないこと。

この町にいても生きていく術がないのだから。

一人で生きていくために、お金を稼げる場所へと向かいます。

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そやけん 手紙くれんね 信介しゃん
いつかどこかで 逢えるけん
織江も 大人に なりました
≪織江の唄 歌詞より抜粋≫
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だから、手紙をくださいと、かすかな願いを繋げます。

物語の舞台は、今のように電話やメール、SNSですぐに人と繋がれる時代ではありません。

手紙だけが、信介と織江をつなぐものだったのです。

いつか逢えるという儚い希望を抱きながら、織江は信介への想いを吐露します。

何度も繰り返される「大人になりました」という織江の言葉。

これは、子どもから大人への成長だけを指しているのではないと思います。

少女が大人の女性になるということ、その過程で図らずも汚れていく、という残酷な一面も描いていると言えます。

信介への一途な愛を抱きながらも、汚れていく自分。

織江もまた「青春の門」を通り、大人になっていくのでした。

山崎ハコ最大のヒット曲「織江の唄」


映画『青春の門』は、九州・筑豊を舞台に、主人公・信介の成長を描いていく群像劇です。

信介と互いに惹かれ合うのが幼なじみの織江です。

山崎ハコの『織江の唄』は『青春の門』のイメージソングとして、テレビCMなどに使用されました。

主題歌と誤解されがちですが、劇中では流れません。

大々的に宣伝され、映画『青春の門』も『織江の唄』も大ヒットとなりました。

『織江の唄』は、現在も多くの人の心に響く楽曲です。

一人の少女が大人の女性になる過程で通る「青春の門」。

織江の信介への一途な愛、心の痛みに耳を傾けてみてください。

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