「君が代」の歴史は平安時代に遡る

『君が代』は1999年(平成11年)に、正式に日本の国歌となった楽曲です。
正式に国歌となる以前にも、学校行事や国際大会で使用されていた『君が代』。
国歌として認定されたのが、比較的近年だということに驚かされます。
まずは『君が代』の歴史を紐解きましょう。
『君が代』の歌詞は、10世紀初頭の「古今和歌集」に収められている、詠み人知らずの和歌に由来すると言われています。
この和歌が、後に紀貫之撰集の「新撰和歌」、藤原公任撰集の「和漢朗詠集」などに収められ、祝賀の歌として広く知られるようになりました。
彼らのような歌人は、現代で言うならばシンガーソングライターやアーティストといった意味合いになるでしょうか。
人気歌人の紹介する和歌が影響力を持ち、広まるのも頷けますね。
10世紀の日本は平安時代です。
当時は、祝いの唄として祝賀を受ける者を「君」と称していました。
『君が代』の由来となる和歌は、長寿を祝い幸せを願う祝い事の席で歌われ、一般にも広く使用されていたのです。
「君」は、君主や天皇など、位の高い人物だけを指すものではありませんでした。
1880年(明治13年)に、雅楽演奏者の林廣守によって曲がつけられ、当時の日本において事実上の国歌となりました。
『君が代』が初めて演奏されたのは、同年11月の天長節(天皇誕生日)でした。
お祝い事として使用されることは、平安時代から当時も変わっていなかったのです。
明治維新後の日本は、急速に国際化の波が押し寄せ、外交を行う上で、国歌というべきものが必要になってきました。
だから、国歌と呼ばれるものとして『君が代』が長らく使用されてきたのです。
しかし、法律できちんと認定されていないまま、学校行事や国際大会などで使用され、その事に疑問を唱える声も多くありました。
議論を重ねた結果、1999年に正式に日本の国歌として『君が代』が、法律で認定されたのです。
「君が代」を怖いと感じる理由

『君が代』を怖いと感じる人は一定数いるのではないでしょうか。
ではなぜそう思うのか。
それには、軍国主義の日本が関係しています。
日本は明治時代から昭和初期にかけて、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦など多くの戦争に関わってきました。
特に第二次世界大戦の一部として、アジア・太平洋地域で行われた太平洋戦争は、日本に悲惨な状況をもたらしました。
太平洋戦争時の日本は、天皇中心の国家主義・軍国主義の象徴として『君が代』が、学校や軍隊で繰り返し歌われました。
「天皇陛下万歳」という言葉や「お国のために」という想いの下、戦地に赴き命を落とした人たちがたくさんいたことを、ニュースなどで知ることができます。
敗戦後の日本では、GHQ(連合国軍総司令部)により、一時的に『君が代』が歌唱制限されたこともあります。
『君が代』を怖いと感じる理由は、戦争の悲惨さや、軍国主義の日本、戦うことへの強制などを感じるからではないでしょうか。
そして、学校での『君が代』の使用についても、国歌として正式に認定されていないのに、なぜ半ば強制的に歌わされるのか、といった疑問も多く見受けられました。
まるで戦時中の日本のようだ、と感じる人たちがいたからでしょう。
このままではいけない、とさまざまな議論を経て、1999年に国歌として法律で認定されたのです。
本来、『君が代』はお祝いの唄として、平安時代に広く知れ渡っていったもの。
「君」とはお祝いを受ける人物を指し、天皇だけを意味するものではありませんでした。
しかし、戦時中の軍国主義の日本は、まだ正式ではないにしろ国歌として『君が代』を使用し、天皇陛下を讃え象徴する言葉として、国民を一致団結させていたのではないかと思います。
現在の日本において、『君が代』の「君」は、天皇陛下だけを指す言葉ではありません。
もちろん、日本において天皇陛下は国を象徴し、敬うべき存在であることは間違いありません。
しかし『君が代』における「君」とは、日本国に暮らす私たち一人ひとりを指すものとも捉えられます。
そのため、この歌には、日本という国が長く、永遠に平和であり続けるようにという願いが込められているのではないでしょうか。
「君が代」の歌詞に込められた平和への想い

『君が代』は32文字から成る、世界で一番短い国歌です。
この短い文章に込められた歌詞の意味を紐解きます。
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君が代は
千代に八千代に
さざれ石の
いわおとなりて
苔のむすまで
≪君が代 歌詞より抜粋≫
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君は歌詞が作られた平安時代において、大切な人を表す言葉でした。
戦時中では、天皇を表す言葉として使用され、軍国として一致団結を求められた時代もありました。
今は、日本国に住む私たちみんなを意味している言葉だと感じます。
代は世の中、時代を指します。
千代は千年、八千代は八千年です。
永遠に続くような長い時間のことです。
さざれ石は小さな石や砂利のこと。
いわおは大きな石のこと。
最初は小さくてバラバラな石が大きな岩となることです。
むすまで、とは生えるという意味。
岩に苔が生えるのには長い時間がかかります。
『君が代』の歌詞をまとめると
私たちのいる時代が これから先 何千年も続きますように
小さな石が集まり 長い年月を経て 大きな岩となる
さらに年月をかけて 大きな岩に苔が生える
そんな風に 日本という国が長くあり続けますように ずっと平和でありますように
という意味が込められていると考えられます。
1991年に正式認定された国歌「君が代」
『君が代』の歴史は、平安時代の詠み人知らずの和歌が始まりで、お祝いの席で歌われるものでした。『君が代』を怖いと感じる理由は、明治時代から昭和初期の戦争が多くあった軍国主義の日本を感じるからではないでしょうか。
なお、『君が代』が正式に国歌として認定されたのは1999年のことです。
現代の日本においては、「君」とは日本国に住む私たち一人ひとりを指すとされています。
わずか32文字の短い歌詞の中に、日本が永遠に平和でありますようにという願いが込められている『君が代』。
本記事が、『君が代』の歴史や歌詞の意味を理解する一助となれば幸いです。