NHKのサッカーテーマソングを米津玄師が担当!

米津玄師が、2026年のNHKサッカーテーマソングとして新曲「烏」を書き下ろしました。
本楽曲は、2026年5月10日(日)放送のNHK総合『サンデースポーツ』で初公開され、同日を皮切りにNHKの各サッカー関連番組でオンエア。
今回のワールドカップは、アメリカ、カナダ、メキシコの3か国による共同開催で、史上初となる48か国参加の大会。これまで以上にスケールの大きな世界大会として、大きな注目を集めています。
米津玄師は楽曲について、次のようにコメントしています。
NHK サッカーテーマソングとして「烏」という曲を作りました。
長年愛してきたサッカーをテーマに、今この時代に、他でもない自分が作るのなら一体どういう曲がいいだろうか?と思案しながらいろいろ試みた結果、出来上がったのは自分でも拍子抜けするくらい個人的な曲でした。サッカーという大きな構造の中で、前を見据え屹立し続ける人々が、集団であると同時に健やかなる個人でもあってほしいという願いを元にこの曲を作りました。よろしくお願いします。
引用:https://x.com/reissuerecords/status/2048840269655842841?s=20
タイトルの「烏」が象徴するのは、日本代表(SAMURAI BLUE)のエンブレムにも描かれている三本足の神鳥、八咫烏(やたがらす)でしょう。
勝利の象徴であり、古くから導きの神として愛されてきたその名を冠した背景には、過酷な戦いに挑む選手たちを「一羽の個」として肯定する米津さんの温かな眼差しが感じられます。
そんな象徴的なモチーフを冠した「烏」が、どのようなメッセージを届けてくれるのか。さっそく歌詞を考察していきましょう。
米津玄師が手がける「烏」の歌詞の一部が明らかに

津玄師が手がける主題歌「烏」の歌詞の一部が、5月10日(日)にNHK総合で放送された「サンデースポーツ」にて初公開されました。
"子供のころに見ていた漫画の世界はいつも
誰かを守って救うことが何より大切だった
自分の幼さも知らず大口叩きまくって
滴った血の黒さをまだ憶えている"
無垢な幼少時代と、成長の過程で突きつけられる現実の厳しさが対比されています。
幼い頃は漫画の主人公に自分を重ね、輝かしい夢を見るものです。
しかし現実には、理想だけでは乗り越えられない痛みや挫折がある。
「滴った血の黒さ」という生々しい表現からは、夢を追う中で味わった悔しさや代償が伝わってきます。
"星の名前を知るたび僕らは大人になった
誰にも渡せない秘密が一つずつ増えていった
願うだけ強くなるたび眠るのが怖くなった
なあ お前には何が見える?"
知識や経験を重ねて大人になるほど、抱えきれないほどの責任や、自分だけの悩み、葛藤も増えていきます。
勝利や強さを願えば願うほど、夢に届かないかもしれない不安や、負けることへの恐怖も大きくなっていくものです。
この一節には、トップアスリートだけでなく、何かに挑み続けるすべての人に共通する「孤独な夜」が描かれているように感じられます。
そして最後の「なあ お前には何が見える?」という問いかけは、私たち自身の生き方を静かに問いかけているようです。
"今だけは誰の声も聞こえない場所へ行こう
寄せ書きもそっと机にしまって澄み渡る青い方へ
僕らは今日ただ一羽の夢見がちな烏になって
光を受けて続くこの道を辿り直していく"
周囲の期待や重圧、応援の声をいったん胸の奥にしまい込み、子どもの頃抱いた純粋な想いと向き合うよう促すフレーズです。
日本代表に重ねれば、選手たちは常に「国を背負う象徴」として、巨大なプレッシャーや厳しい批判にさらされています。
しかし、ここで描かれるのは、そんな重厚な肩書きを脱ぎ捨てた、一人の人間としての等身大の姿。
「ただ一羽の夢見がちな烏」という表現には、かつて無心でボールを追いかけていた一人の少年であり、一人の挑戦者であるという原点が投影されているように感じます。
続く「光を受けて続くこの道を辿り直していく」という言葉。
それは、責任や不安に押しつぶされそうになりながらも歩んできたこれまでの足跡を、自分自身の光で照らし直し、再び前へと進んでいく強い意志の現れではないでしょうか。
ここに、一人ひとりが「健やかなる個人」であってほしいという、米津玄師の願いが込められているのでしょう。
米津玄師の『烏』は静かで力強い「個の肯定」の歌

米津玄師の『烏』は、夢に向かって挑み続けるすべての人に寄り添う楽曲です。
理想と現実の狭間で傷つきながらも、原点に立ち返り夢に向かって進み続ける。
その歩みは、やがて光を受けて未来へとつながっていきます。
2026年6月16日、強豪オランダとの初戦を迎える日本代表(SAMURAI BLUE)。
世界の舞台に挑む選手たちの背中を押すのはもちろん、日々の中で迷いながらも前へ進もうとする私たちにも、大切な一歩を踏み出す勇気を与えてくれる一曲となるでしょう。