「Runner」爆風スランプの大ヒット曲
爆風スランプの『Runner』は、1988年にリリースされたシングルで、彼らの最大のヒット曲です。
同年のNHK紅白歌合戦にも初出場し、国民的バンド、国民的楽曲となりました。
爆風スランプは、デビュー当初はコミックバンドとして知られ、ユニークな歌詞やパフォーマンスが話題となっていました。
しかし、サンプラザ中野くん(旧名:サンプラザ中野)のストレートかつ一生懸命でパワフルなボーカルは、聴く人の心を掴みます。
パッパラー河合のテクニックあふれるギター、ドラム・ファンキー末吉と、ベース江川ほーじんのリズム隊がガッツリ組み合わさった爆風スランプは、実力派バンドとしてどんどん認知され、ファンを増やしていきました。
そのきっかけは、1985年のアルバム『しあわせ』に収録された『大きな玉ねぎの下で』です。
本曲は後にシングルリリースされ、爆風スランプの代表曲となりました。
『Runner』は応援ソングとして人気の高い楽曲です。
サンプラザ中野くんの一生懸命なボーカルは、聴く人の心を熱くさせ「がんばろう!」という気持ちになれますよね。
陸上部を舞台に描かれる「走る走る俺たち 流れる汗もそのままに」という歌詞は、スポーツでがんばる人の応援ソングとして定番曲となっています。
「サンプラザ中野くん」から脱退メンバー「江川ほーじん」へのメッセージ

実は『Runner』は、脱退するメンバーへの惜別の歌として作られたものなのです。
爆風スランプは、1986年に「オフィスすいか」から「代官山プロダクション」へと事務所を移籍。
売り上げを重視する社長と活動方針を巡り対立し、脱退を決意したのがベースの江川ほーじんです。
彼への惜別の歌として想いを綴ったのがこの『Runner』。
1988年10月のリリース後に大ヒットし、年末には紅白歌合戦に出場と、傍から見れば順風満帆に思えるバンド活動でしたが、翌1989年1月9日の武道館ライブをもって、江川は爆風スランプから脱退しました。
江川は脱退後にソロとして活動、自身のバンドRHINOCEROS(ライナセロス)でも認知されています。
ミュージシャンとしてさまざまな活動を行っていましたが、2018年12月に交通事故に遭い意識不明の重体となります。
現在も意思疎通は難しいものの、少し体の動きの変化が認められるなど、希望を持って闘病をされている様子です。
『Runner』は、本来、脱退する江川への想いが綴られていましたが、国民的ソングとなり人々を勇気づける歌としても人気の高い楽曲になりました。
本記事では『Runner』の歌詞の意味を、バンド内の気持ちも含め解釈をしていきます。
また、なぜ国民的応援歌として聴く人の心に響くのかを紐解いていきます。
陸上部を舞台に描かれる別れと悲しみ

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雨を避けた
ロッカールームで
君はすこし うつむいて
もう戻れは しないだろう
といったね
瞳の中 風を宿した
悲しいほど 誠実な
君に何を いえば
よかったのだろう
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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陸上部を舞台に物語が始まります。
雨が降り出したためロッカーに避難し、そこでは1人の部員が「部活をやめる」と打ち明けているようです。
「もう戻れない」というほどの強い意志に、かける言葉を失う部員の姿が浮かびます。
瞳の中に宿した風とは、この場所とは違う未来への決意ではないでしょうか。
自分自身に誠実だからこその決断と言え、それは周りに驚きと悲しみを及ぼします。
相手にかける言葉もない部員は、ただ立ちすくむだけなのかもしれません。
バンド内の気持ちでは、爆風スランプから江川ほーじんが脱退するという衝撃を描いています。
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かげりのない少年の
季節はすぎさってく
風はいつも強く吹いてる
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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無垢だった少年時代はあっけなく過ぎ去り、みんな大人になっていく。
同じ場所にはいられない、というせつなさを感じる歌詞です。
同じ志を持ってスタートしたバンド、爆風スランプ。
いつしか方向性の食い違いが出てきてしまった。
追い風、向かい風など、さまざまな風が人生には吹いてくる。
いつまでも同じではいられないんだ、という主人公の悲しみや失意が伺えます。
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走る走る 俺たち
流れる汗もそのままに
いつかたどり 着いたら
君にうちあけられるだろう
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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それでも、走り出す主人公。
いつまでも悲しみを背負ったままではいられません。
『Runner』の歌詞では、このサビの部分がとても重要です。
「走れ」ではなく「走る」とすることで自らを鼓舞。
そして、「俺たち」と表現することで、仲間意識が生まれます。
「走る走る俺たち」とすることで、離れていても連帯感が生まれ、それぞれの場所でがんばっていこうという決意を感じることができるのです。
人それぞれ目指したい場所がある。
それを目指して「がんばっていこうぜ!」という強いメッセージです。
いつかその場所に辿り着いた時、あるいは君と再会した時、きっと抱えていた想いを打ち明けられるだろう、という希望を描きます。
「走る走る俺たち」という歌詞だからこそ、聴く人自身が自分も、とがんばれるのではないでしょうか。
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グラウンドに 忍び込んで
芝生の上 寝転んで
星の数を かぞえて眠った
あの頃
かかえきれぬ 思いを胸に
君は かるく ほほえんで
ふり帰らず
この部屋を出て行くのか
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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無邪気な少年の姿が浮かびます。
きっと何も煩わしいことを考える必要がなかったのでしょう。
大人になっていくにつれ、人間関係や社会的立場、金銭のことなど大切だけれど煩わしいことも出てくるもの。
爆風スランプの「音楽が好き」という気持ちで始めたバンド活動に、陰りが見え隠れする様子を描いているのではないでしょうか。
それぞれが抱えるどうしようもない想い。
誰もきっと間違いではなかったのでしょう。
せめてもの救いは、君が微笑んで部屋を出ていったこと。
でも、振り返らないのは、自らの意志が固いことを表しています。
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飾りのない 少年の
心は 切り裂かれて
夢はいつも 遠くみえてた
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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残されたバンドメンバーの悲しみが描かれています。
心が切り裂かれるほどの想いは、ずっと一緒にバンドを続けたかったから。
同じ夢を見ていたはずなのに、それは別の夢になってしまった。
掴めそうで掴めない夢の遠さを描きます。
爆風スランプが描いた夢はなんだったのでしょうか。
江川の脱退が決まってから歌詞を書いた『Runner』が、国民的大ヒットとなることは、サンプラザ中野くん始め、メンバーも想像していなかったかもしれませんね。
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たとえ今は 小さく
弱い太陽だとしても
言葉もない 俺たち
ひどく暑かった日の夕立ち
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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今は小さい存在の自分たちでも、大きな存在になっていこうという気概が感じられる歌詞です。
この歌詞は部活やスポーツ、仕事などで汗を流しがんばる人たちの、高みを目指す勇気となる部分です。
「ひどく暑かった日の夕立ち」という歌詞で、暑い中トレーニングを積む様子が浮かび、高校球児やアスリートを想像させます。
優勝や金メダルなど、目標に向かって努力する大切さが伝わってきますね。
爆風スランプの活動においては、3人になったけれど、これからバンドとして頑張っていこうという決意を感じる歌詞です。
「Runner」が応援歌として人気の理由

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走る走る 俺たち
流れる汗もそのままに
いつかたどり 着いたら
君に うちあけられるだろ
≪Runner 歌詞より抜粋≫
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繰り返されるサビの歌詞は、スポーツ、特に走る人を応援する番組で使用されます。
がんばっている人への応援歌として定着した『Runner』。
なぜこれほどまでに人気となったのでしょうか。
それには、応援する人とされる人との間に隔たりがないことが挙げられます。
「共に、一緒に」という気持ちが『Runner』には込められているのです。
「走れ」ではなく「走る」。
そして「俺たち」とつけることで、共に闘っていることを表しているため、応援ソングとして成り立ちます。
爆風スランプの視点から見れば、違う場所にいても共に人生を闘う仲間として、エールを送っているのです。
脱退するメンバー、江川ほーじんへの惜別の歌として描かれた『Runner』。
それはいつしか、がんばる人への応援歌として定着していきました。
そこには、サンプラザ中野くんから江川への共に違う場所で闘っていこう、という強いメッセージが込められていたからこそです。
聴く人の心に響くのは当然であったと言えるでしょう。
現在、事故後の病気と闘っている江川。
『Runner』の歌詞がとても心に響きます。
「Runner」はがんばる人への国民的応援歌
爆風スランプの『Runner』は、がんばる人への国民的応援歌として人気の高い楽曲です。サンプラザ中野くんの一生懸命なボーカルと「走る走る俺たち」というストレートな歌詞が聴く人の心に響きます。
実は『Runner』は、最初から応援歌として創られた歌ではなく、脱退するメンバー、江川ほーじんへの想いが込められたものだったのです。
『Runner』はこれからもずっと、がんばる人への勇気を与え続けてくれることでしょう。
