不安を乗り越えて迎える誓いの日
2018年リリースの宇多田ヒカルの7thアルバム『初恋』に収録された楽曲『誓い』は、ゲームソフト『KINGDOM HEARTS III(キングダム ハーツ3)』のテーマソングとして書き下ろされました。
4分の4拍子と8分の6拍子を用いたポリリズムに、スウィングやハイハットが取り入れられているのが特徴で、16分音符を意識した歌唱は感情の揺れ動きを感じさせます。
マニアックな音楽ファンや、ミュージシャンを唸らせる複雑で独創的な構成でありながら、音楽に詳しくないリスナーが聴いても引き込まれるキャッチーさもあり、独特な世界観を持っている楽曲です。
宇多田ヒカルは本ゲームシリーズをプレイしたことがなかったそうですが、ゲームのアニメーションと楽曲が見事にマッチしており、多くのファンを虜にしました。
将来を誓う男女のラブストーリーにどのようなメッセージを込めているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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運命なんて知らない
けどこの際
存在を認めざるを得ない
本当にこんな私でもいいの
ねえいいの
あんまり期待させないでほしいよ
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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1番では「私」の一人称が使われており、女性側の視点になっていると解釈できます。
彼女は運命を信じていなかったようですが、ある出会いを通して「この際 存在を認めざるを得ない」と感じるようになりました。
その出会いそのものが運命的だったのか、相手の男性と知り合うほどに運命的なつながりを感じるようになったのかは不明ですが、“この人との出会いは運命だ”と確信しているようです。
しかし、想いの高まりに反して冷静で臆病な心情も持っています。
「本当にこんな私でもいいの ねえいいの」という言葉が、彼の気持ちに対する拭えない不安を示しています。
そしてもし同じ気持ちじゃないなら、傷が深くならないように「あんまり期待させないでほしいよ」とも思っていて、複雑な恋心が垣間見えるでしょう。

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今日という日は嘘偽りのない
永遠の誓い日和だよ
綺麗な花も証人もいらない
同じ色の指輪をしよう
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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そうした不安や迷いを乗り越えて迎えた「今日」は、「嘘偽りのない 永遠の誓い日和」。
「綺麗な花も証人もいらない」とあることから、華々しい結婚式を挙げたり婚姻届を書いたりする明確な出来事があったわけではないのでしょう。
たった2人で「同じ色の指輪」を交わすだけの時間。
その控えめながら大切な行為に、嘘偽りなく永遠を誓う深い想いが表れています。
約束と誓いが表す想いの違い

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悔しくて仕方がない
ダサいくらいしがみついたまま
眠りたい 毎日
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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2番は、相手の男性側の視点が描かれているようです。
「悔しくて仕方がない」のは、自分でも驚くほどに彼女を愛しているから。
できることなら毎日「ダサいくらいしがみついたまま 眠りたい」と思うほどです。
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約束はもうしない
そんなの誰かを喜ばすためのもの
今言うことは受け売りなんかじゃない
約束でもない 誓いだよ
嘘つきだった僕には戻れない
朝日色の指輪にしよう
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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ここでは「約束はもうしない」と宣言されています。
ここでいう「約束」とは、簡単に破ってしまえる拘束力のない口約束を指していると考えられるでしょう。
社交辞令やその場で口をついて出るような軽い約束は、そうするものだという受け売りで自然と行っているだけで、その瞬間に「誰かを喜ばすため」に言っているにすぎないものです。
それと対比して、彼らが交わす「誓い」は破ることのできない誓約です。
相手を真に愛するからこそ、愛し続けるという誓いを相手と自分の心に立てるのです。
今までは軽い気持ちで約束して破り続けた「嘘つきだった僕には戻れない」し、戻らないと決意していることが伝わるでしょう。
「朝日色の指輪」は、朝日に指輪が照らされている様子を表しているのかもしれません。
1日の始まりが、彼らの永遠の始まりであるかのように美しく描かれています。

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胸の高鳴りを重ねて踊ろうよ
今を生きることを祝おうよ
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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共に踊り「今を生きること」を祝うということは、ただ相手を愛するよりも、もっと大きな意味が含まれているのではないでしょうか。
今この瞬間を共に生き、人生を分かち合うことそのものが愛おしく、喜びの理由になるほどの壮大な愛が感じられます。
想いがあふれる過去前例のない誓い日和

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たまに堪えられなくなる涙に
これと言って深い意味はない
ただ昔を突然思い出し(ああ泣きたい)
開かれたドアから差し込む光
これからもずっと側にいたい
選択肢なんてもうとっくにない
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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過去のことを思い出して、意味もなく涙する日もあります。
そうした感情が揺さぶられる瞬間に、愛する人がドアを開いて光と共に入ってくる。
そんな温かな光景を見て、「これからもずっと側にいたい」という思いが湧き上がってきているのでしょう。
「選択肢なんてもうとっくにない」とあるように、考えるまでもなく心が相手を求めていることが表現されています。
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今日という日は過去前例のない
僕たちの誓い日和だよ
綺麗な花も証人もいらない
同じ色の指輪をしよう
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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相手への想いが最高潮に達したからこそ、「今日という日は過去前例のない 僕たちの誓い日和」となりました。
そこには綺麗な花も証人も必要ありません。
互いがいればそれで十分なのだという深い愛が表れていますね。

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Kiss me once, kiss me twice
一度じゃ足りない
Kiss me once, kiss me twice
あなたを下さい
Kiss me once, kiss me twice
Kiss me three times
お願い
Kiss me once, kiss me twice
あなたを下さい
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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この部分では、英語で繰り返しキスをせがむ言葉が続いています。
一度や二度のキスでは満足できず、相手自身もその人生も丸ごと求める切実な気持ちが愛だということが伝わってくるでしょう。
そして、相手も同じ想いで自分を求めてほしいと思っていることも垣間見えます。

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日の昇る音を肩並べて聞こうよ
共に生きることを誓おうよ
≪誓い 歌詞より抜粋≫
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「日の昇る音を肩並べて聞こうよ」のフレーズは、永遠に繰り返されていく朝を共に迎えたいという願いの表れと解釈できます。
朝を迎えるたびに、家の中や街で聞こえる音を一緒に聞いて過ごすという何気ない日常が、「共に生きる」ことなのでしょう。
誓いは特別なものですが、その根底にあるのはきっと単純なほど真っ直ぐで、何にも揺るがされることのない深く強い愛です。
共に生きると誓うことの意味が心に深く沁み込んでくる楽曲ですね。
英語版の歌詞も要チェック!
宇多田ヒカルの『誓い』は、恋人と過ごす日々の中で、永遠を誓わずにはいられない2人のあふれる愛が込められたラブソングです。共に制作された英語版の『Don’t Think Twice』の歌詞は『誓い』の前日譚のような雰囲気もあり、併せて聴くとさらに物語が広がるのを感じられるでしょう。
ぜひどちらもじっくりと聴き込んで、宇多田ヒカルが作り出す美しい世界観を楽しんでください。
