パワーコードの弾き方や音色が分からず、音源のような音が出せないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ロックやポップスでは必須のテクニックなので、上手く弾けるようになると力強くスタイリッシュな音が出せるようになりますよ。
この記事のもくじ
パワーコードとは
パワーコードとは、他のコードとは違った響きを持ち、使い方も異なっているユニークなコードです。
押さえ方はとてもシンプルですが、仕組みや特徴を知っておくと応用するときに役立ったり、作曲するときに上手く使えるようになったりしますよ。
まずは仕組みや特徴を把握して、使い方をイメージしてみましょう。
ライブUtaTenの関連記事!
-
メジャーコードとマイナーコードの違いは?ギター初心者が覚えるべきコードの基本知識!
続きを見る
第3音を省略する
パワーコードは第3音、コード理論の用語でいうと3度(3rd)を省略したコードです。
第1音、第3音、第5音から構成されるコードの最小単位「トライアド」から第3音を省略しています。
コード譜や楽譜ではCやDmと書かれている場合と、C5やD5のように第5音を強調している場合がありますよ。
パワーコードはロックやポップスではよく使われますが、構成する音が少ないためジャズギターのようなハーモニーを重視するスタイルではあまり使われません。
また、フラメンコギターやクラシックギターなどのナイロン弦ギター、アコースティックギターでも使われることは少ないです。
歪んだ音とマッチする
パワーコードはクリーントーンでは薄いサウンドになりますが、歪んだ音とは相性が良いです。
音数が少なくシンプルな構造なので、歪ませると存在感のある力強い音になりますよ。
トライアドは柔らかい響きのため激しさや疾走感を出すことが難しく、4音以上のコードは歪ませてしまうと各音がぼやけてしまいます。
このように、他のコードは歪ませると使いにくくなりますが、パワーコードは歪ませたときに力を発揮するコードです。
弾くときにはギターアンプや楽器用エフェクターを使い、音を歪ませてから弾いてみましょう。
コードが識別しづらい
パワーコードは音の明るさや暗さをコントロールする3度の音が含まれていないため、コードが識別しづらいのがデメリットです。
単体では第3音を省略する前のコードがメジャーコードなのか、マイナーコードなのかを区別することができません。
使い方を間違えてしまうと、コード感のない演奏になってしまうので注意しましょう。
対処法として、ベースに3度の音も織り交ぜたフレーズを弾いてもらう、他のギターやピアノにコードを弾いてもらうなどの方法があります。
また、少人数のバンドでパワーコードを使った曲を作るときには、「ダイアトニックコード」というメロディとコードの関係性が分かりやすいコードを中心に作曲するといいですよ。
ライブUtaTenの関連記事!
メロディラインが引き立つ
パワーコードはコード自体の響きがシンプルで、打楽器のような音とコードの中心音を同時に出せるため、メロディラインを引き立てたい場面に使えます。
イントロの演奏をパワーコードだけにして引き立てたいメロディを歌うパターン、サビ以外のメロディを演奏のテンションを抑えつつ引き立てるパターンが定番です。
また、ハードロックやヘヴィメタルでは、マイナーコードの暗い響きを抑えて歌の力強さを活かすという使い方もされていますよ。
他にギターやキーボードなどのコード楽器がいる場合にはサビでも使われるなど、幅広い使われ方をしているので、作曲やアレンジをする人は色々と試してみてくださいね。
パワーコードの弾き方・押さえ方
パワーコードの特徴を把握したら、次は実際に弾いてみてコードの響きを確認しましょう。
バレーコードやオープンコードよりも簡単に押さえられるので、「コードは難しい」というイメージを持っている人も挑戦してみてくださいね。
ここでは、基本的な押さえ方と、パワーコードを弾くときに必須となるミュートテクニックを紹介します。
指の使い方
パワーコードは1本から2本の指を使って押さえるコードなので、指の使い方もシンプルです。
指を2本使って押さえるのが定番の押さえ方で、低い音を人差し指、高い音を薬指や小指で押さえます。
開放弦の音を使ってパワーコードを作る場合には、高い音を人差し指だけで押さえましょう。
どちらもフレットの近くを押さえるのがポイントで、指を立てすぎると押さえにくくなるので自然な角度を意識してくださいね。
ミュートの方法
パワーコードを弾くときに必須となるテクニックがミュートです。
ミュートができていないと音がにごったり、音源のような音が出せなかったりするのでマスターしておきましょう。
ミュートの練習をするときには、アンプやギター用エフェクターで音を歪ませ、スピーカーから出る音を確認しながら行うのがおすすめです。
低音弦のミュート
低音弦のミュートは、5弦と4弦を押さえる5弦ルートのパワーコードに必要なものです。
ミュートせずに弾いてしまうと6弦の音が鳴り、音どうしがぶつかってしまうので注意しましょう。
5弦を押さえている人差し指の先を6弦に触れさせるのが基本で、人差し指と小指で押さえている場合は中指と薬指の腹を軽く触れさせます。
中指と薬指で低音弦に触れるミュート方法は、4弦と3弦を弾く4弦ルートのパワーコードで6弦をミュートするときにも使えますよ。
高音弦のミュート
高音弦のミュートは、パワーコードを押さえている指を使うのが基本です。
ミュートをするときは押さえる指の角度をゆるくして、指の腹部分を下側の弦に軽く当てるようにしましょう。
人差し指はバレーコードのセーハーに似た形になり、薬指や小指は弦の上に被さるような形になります。
人差し指でミュートができていれば高音弦は鳴らないので、もう片方の指が全ての弦に当たっていなくても大丈夫ですよ。
ブリッジミュート
「ミュート」とついていますが、音を出さないために行うのではなく、パワーコードを打楽器のような音質に変えるためのテクニックがブリッジミュートです。
小指側の手の側面を弦に軽く触れさせ、振動を押さえることで音色を変化させます。
ミュートする手の置き場所は、エレキギターのボディに付いているブリッジ付近が基本です。
右手で弦を押さえすぎていたり、手の位置がネックに近すぎると音が詰まってしまうので気を付けましょう。
パワーコードで試す前に1音だけでブリッジミュートを練習すると感覚を掴みやすいので、上手く鳴らせない人はやってみてくださいね。
パワーコード一覧|初心者向け
押さえ方やミュート方法を覚えたら、実際に色々なパワーコードを弾きながら練習していきましょう。
EやGなど色々なポジションで弾いてみると法則や動かし方も一緒に覚えることができ、コードを見ただけですぐに弾けるようになりますよ。
覚えておきたい基本のパワーコードのポジションを紹介するので、実際に弾きながら音色や押さえ方の感触を確かめてみてくださいね。
E
上記の押さえ方は6弦開放弦のE音をルートに、5弦2フレットの5度であるB音を加えたフォームです。
人差し指のみで押さえるフォームであり、人差し指の側面や指の腹部分を使って高音弦をミュートします。
5弦ルートのEパワーコードは、5弦7フレットのE、4弦9フレットBを押さえると完成です。
6弦ルートと比べると軽い響きなので、ベースが少し高めの音を弾いていても音域が被りにくくなっています。
また、4弦9フレットのEを小指で押さえると3音のパワーコードになり、広がりのある響きにできますよ。
5弦2フレットのBと、4弦2フレットのEを押さえたフォームです。
トライアドや3音のパワーコードの省略パターンとして使われるコードで、イントロや間奏でフレーズを弾くときや、シンプルで軽い響きの音が欲しいときに使われますよ。
一番低い音であるベース音がEではないので、ベースや他の楽器が演奏していない場面ではあまり使いません。
A
5弦開放弦のAと4弦2フレットのE音を使った、1本の指で押さえるパワーコードです。
開放弦が持つ、豊かな響きと音の伸びを生かした押さえ方で、長く伸ばすときに使ってもパワフルに響いてくれますよ。
Eのパワーコードと同様に、人差し指で高音弦のミュートを行うのがポイントです。
低音弦の6弦は避けて弾いたり、親指の先で軽く触れたりして音を出さないようにしましょう。
6弦5フレットのAと5弦7フレットのDを使った、Aのバレーコードの上部だけを切り取った形をしているパワーコードです。
音の高さは開放弦を使ったものと同じですが、こちらのフォームの方がタイトですっきりとした響きをしますよ。
5弦ルートのEやDなどと織り交ぜて使われることが多い押さえ方です。
5弦7フレットのDと4弦7フレットのAを押さえた、パワーコードとトライアドの省略フォームです。
他のフォームと比べると、使っている音が高いのでシャープな響きをしますよ。
Aのバレーコードの薬指、中指で押さえる個所を人差し指1本で押さえるイメージを持つと、素早く押さえられます。
こちらもイントロや間奏でのフレーズ、シンプルで軽い音が欲しいときに使われるコードです。
F
6弦1フレット、5弦3フレットを押さえた、Fコードの上部を切り取ったような形のパワーコードです。
人差し指だけで押さえる6弦ルートのEパワーコードを1フレット分音を上げた押さえ方で、パワフルで重い響きを持っています。
弦を押さえている人差し指、薬指または小指を使い高音弦をミュートするのがポイントです。
上記は、6弦ルートのFパワーコードの音を1オクターブ上げた押さえ方です。
5弦8フレットのFを人差し指、4弦10フレットのCを薬指や小指で押さえます。
他の5弦ルートの押さえ方と同様に、人差し指の先を使い6弦をミュート、押さえている指を使い高音弦に軽く触れてミュートするのがポイントです。
6弦ルートのような重さがないため、高い音のパワーコードを鳴らしたいとき、イントロや間奏でフレーズを弾くときによく使われますよ。
Fのバレーコードの薬指、中指で押さえる部分を人差し指1本で押さえたフォームです。
5弦3フレットのC、4弦3フレットのFの2音で構成されています。
単体ではトライアドの省略フォームとして使われることが多く、6弦の1フレットを押さえると広がりのある3音のパワーコードにすることができますよ。
G
Fのパワーコードを2フレット移動させると押さえられるのが、Gのパワーコードです。
Gのバレーコードの上部を切り取ったような形で、人差し指と薬指の組み合わせであれば、バレーコードと同じ感覚で押さえられますよ。
他の6弦ルートの押さえ方同様に、人差し指の側面や腹部分、薬指や小指の腹部分を使ってミュートし、高音弦が鳴らないようにしましょう。
6弦ルートのフォームの音を1オクターブ上げた、高めの音域のパワーコードです。
5弦ルートのFを2フレット移動させたポジションになっています。
6弦ルートの押さえ方よりも低音は弱く、タイトな響きを持っているのが特徴で、主に軽い響きが欲しいとき、ソロや間奏でのフレーズなどに使われますよ。
上記のコードは5弦5フレットのD、4弦5フレットのGを人差し指1本で押さえたコードです。
基本的にベースや鍵盤楽器とのアンサンブルで使われる押さえ方で、6弦3フレットの音を加えると3音のパワーコードにできますよ。
音域が低めなのでパワフルな重い響きを持っており、ロックのリフやソロのフレーズなどに使われています。
パワーコードの練習で弾ける簡単な曲を紹介
パワーコードをいくつか弾けるようになり、ミュートもできるようになったら、曲の練習をはじめるのがおすすめです。
リズムやコードチェンジの練習になるだけでなく、1曲を通して弾けるようになるとギター練習のモチベーションもあがりますよ。
パワーコードを中心に構成された楽しく演奏できる楽曲を紹介するので、気になった曲が合った人は弾いてみてくださいね。
ライブUtaTenの関連記事!
-
ギターが上達する練習方法は?上手くなりたい初心者向けにおすすめの練習法やコツを紹介!
続きを見る
小さな恋のうた / MONGOL800
MONGOL800の「小さな恋のうた」は、疾走感のある演奏とポップな歌のメロディが特徴的な楽曲です。
曲のほとんどがパワーコードで構成されているので、初心者でも演奏しやすい楽曲ですよ。
イントロではブリッジミュートを使い、ダウンピッキングだけの演奏で、その他の部分は、3音または2音のパワーコードをブリッジミュート無しでかき鳴らすように弾かれています。
テンポが少しはやいので、押さえ方に慣れるまではゆっくりとしたテンポで練習するのがおすすめです。
UtaTenで今すぐ歌詞を見る!
-
小さな恋のうた 歌詞 MONGOL800 ふりがな付 - うたてん
続きを見る
American Idiot / Green Day
「American Idiot」はアメリカの人気パンクバンドGreen Dayが手がける、疾走感とパンク精神あふれる人気曲です。
テンポもはやく、メロディもポップなので弾いていて楽しい曲といえるでしょう。
パワーコード中心のシンプルな楽曲で、Aメロはコードを弾いた後に歌が入るメロディを生かした構成です。
サビの部分は、3音のパワーコードが勢い重視で演奏されています。
間奏部分には簡単なギターソロもあるので、メロディを弾く練習をしたい人にもおすすめの楽曲です。
UtaTenで今すぐ歌詞を見る!
-
American Idiot 歌詞 Green Day ふりがな付 - うたてん
続きを見る
ふわふわ時間 / 放課後ティータイム
「ふわふわ時間」は、アニメ「けいおん!」に登場する高校生バンド・放課後ティータイムが演奏するシンプルでポップな楽曲です。
イントロやサビは3音、Aメロはブリッジミュートを交えたパワーコードが中心という、ロックの基本を押さえた構成になっています。
曲の出だしは3拍目のウラから入る、1、2、ウタタタという少し難しいリズムで弾かれているので、できない人はコードをかき鳴らす個所から弾いてみましょう。
軽快なリズムの楽曲ですが、音を切る部分はハッキリと演奏されているので、音の切り方を意識しながら弾いてみてくださいね。
UtaTenで今すぐ歌詞を見る!
-
ふわふわ時間 歌詞 放課後ティータイム 映画 けいおん! ED ふりがな付 - うたてん
続きを見る
やってみよう / WANIMA
WANIMAの「やってみよう」は、元気のでるメロディ、疾走感のあるリズムが印象的な楽曲です。
パワーコードが中心で、ギターがメロディを弾く場面もないので演奏はシンプルですが、リズム面では色々な工夫がされていますよ。
Aメロでは、テンポを半分に落としたハーフテンポになっている個所がいくつか登場。
また、ドラムやベースとタイミングを合わせてリズムを出すキメ部分では、シンコペーションというリズムに変化を与えるテクニックが使われています。
練習するときには曲を聴きこんで、タイミングを確かめながら弾いてみましょう。
UtaTenで今すぐ歌詞を見る!
-
やってみよう 歌詞 WANIMA au三太郎「やってみよう」篇CMソング ふりがな付 - うたてん
続きを見る
パワーコードはロックの基本!ミュートに気をつけてパワフルなサウンドをかき鳴らそう
パワーコードは激しさや疾走感、力強さを出したいときに役立つロックの基本コードです。
ミュートとの関連も深く、特にブリッジミュートはパワーコードならではのテクニックなので、自分好みの音を出せるように手の位置や弾き方を工夫してみてくださいね。
パワフルなサウンドが手軽に出せるコードなので、積極的に使ってエレキギターが持つ奥深いサウンドを楽しんでいきましょう。
この記事のまとめ!
- パワーコードは3度の音を省略したコードで、歪んだギターの音と相性が良い
- パワーコードは薬指または小指と人差し指を使ったシンプルな押さえ方なので、ギター初心者でも簡単に押さえられる
- ミュートやブリッジミュートはとても重要なので、ミュートの練習も忘れないようにしよう
- 色々なパワーコードを練習すると、コードチェンジが簡単になるだけでなく、音のバリエーションも増やせる
- 基本的な押さえ方、ミュートができるようになったら、実際に曲を練習してみよう