煉瓦荘 歌詞 太田裕美 ふりがな付

あれからは詩しを書かき続つづけた
哀かなしみにペン先さきひたして
想おもい出でで余白よはくをつぶした
君きみの名なで心こころを埋うめた

井いの頭がしらまで行いったついでに
煉瓦れんが荘そうまで足あしをのばした
運良うんよく君きみが住すんでた部屋へやが
空室くうしつなんで 入いれてもらった
煉瓦れんが荘そう 売うれない詩人しじんとデザイナーの卵たまご
煉瓦れんが荘そう 窓まどまで届とどいた林檎りんごの木きの香かおり
倖しあわせの形かたちは見みえない
でもぼくは心こころに描えがける
椅子いすの影かげ シーツの襞ひだにも
倖しあわせの尻尾しっぽが覗のぞいた

家具かぐのない部屋へや 何故なぜこんなにも
小ちいさく狭せまく見みえるのだろう
ここで絵えを描かき 飲のんで歌うたって
朝あさになるまで寝顔ねがお見みてた
煉瓦れんが荘そう 屋根やねまで上のぼれば副都心ふくとしんが見みえた
煉瓦れんが荘そう 心こころに煉瓦れんがを積つみ崩くずした部屋へやさ
毎日まいにちが時代じだいの空気くうきに
息いきづいてあざやかだったね
傷きずついた深ふかさを計はかれば
愛あいしてた深ふかさもわかるよ

ぼくの創つくった石膏像せっこうぞうは
似にても似につかぬ君きみの微笑ほほえみ
でもひとつだけ似にていたのは
石いしで出来できてた君きみの心こころさ
煉瓦れんが荘そう 崩くずれた白壁しらかべ 荒あれた庭にわの草くさよ
煉瓦れんが荘そう ぼくらの青春せいしゅん眠ねむっている場所ばしょよ
あれからは詩しを書かき続つづけた
哀かなしみにペン先さきひたして
出来できるなら何なにも書かいてない
人生じんせいの白紙はくしが欲ほしいよ