シーラカンス 歌詞 日食なつこ ふりがな付

水切みずきりの石いしみたいに 放ほうり出だされたあたしの体からだ
一度いちど水面すいめんを擦かすりめるとそれは 段々だんだんと頻度ひんどを増まして
やがて水中すいちゅうに沈しずんでいく

水みずの中なかでは鰭ひれが生はえた 泳およぎ回まわるあたしの体からだ
だけど所詮しょせん地上ちじょうの生いき物もの 水みずの底そこは虚むなしすぎる

上うえを目指めざして泳およぎ始はじめた 水みずの上うえへ顔かおを出だした途端とたん
叩たたき付つける波なみがあたしを 水中すいちゅうへ押おし戻もどそうとしたけれど

お前まえが待まってくれてるから あたしは戻もどりたいと頑張がんばれるの
今いまはこの姿すがた見みえずとも 必かならずいつか地上ちじょうに帰かえるから

幾度いくどとなく跳とび跳はねては 再出発さいしゅっぱつを試こころみるけど
いつも失敗しっぱい落おちては沈しずむ 人ひとはそのたび指ゆびさして笑わらう

下したを目指めざして泳およぐのをやめた もはや跳はねる力ちからも絶たえ果はてた
笑わらわれたくないという言いい訳わけ 希望きぼうは水圧すいあつで押おし潰つぶされた

他ほかの誰だれもが呆あきれて やがてみんな背中せなかを向むけても
お前まえは待まってくれてたのか あたしにはそうとしか見みえなかった
ああ

このまま沈しずみこんだなら 伝説でんせつにだってなれそうね
それを「許ゆるさない」と叫さけぶ声こえ

お前まえがいてくれるから あたしは戻もどりたいと頑張がんばれるの
今いまはこの姿すがた見みえずとも 必かならずいつか

お前まえが待まってる地上ちじょうまで もう幾いくらもないあとひと泳およぎ
歪ゆがんでしか見みえなかった太陽たいようの 輪郭りんかくを今いま掴つかんだ