よみ：50としを2 ぷんはんで…
50年を2 分半で… 歌詞
友情
感動
恋愛
元気
結果
- 文字サイズ
- ふりがな
- ダークモード
こんな事ことってあるのね。新宿しんじゅくのデパ地下ちか。レジに並ならぶ私わたしの目めが懐なつかしい横顔よこがおに釘くぎづけになった。
他人たにんのそら似に? イエ、彼かれだわ。ドキ! 早はやまる呼吸こきゅう、声こえをかけようかかけまいか、カゴに入はいったおとうふや泥どろつきゴボウの先さきっぽが揺ゆれている。こんな事ことってあるのね。若わかい日々ひびの恋こいがよみがえる。気付きづかないで私わたしに･･･ アー、
やっぱり気付きづいて･･･。ヤダ、もっとちゃんとお化粧けしょうしてくるんだった。もっと少すこしマシなもの着きてくるんだった。彼かれがふと振ふりむいて、瞳ひとみと瞳ひとみが重かさなって･･･ え?
違ちがった、若わかすぎるわ･･･ でもそっくりだわ、あの頃ころの彼かれに･･･ あ～ コンラン、何度なんども見返みかえす不審者ふしんしゃのようなおばさんに気付きづき、不思議ふしぎそうに彼かれは小ちいさく会釈えしゃくした。
「あの～ ゴメンナサイ、人違ひとちがいでした、とてもよく似にた人ひとを知しっているもので、でも間違まちがいでした、ゴメンナサイ」「イエ･･･ そうですか、そんなによく似にているなんて、何なにかご縁えんがあるのかな?」
あ･･･ その声こえ･･･ なんだか夢ゆめの中なかにいるみたい! 何なにコレ、私わたしもとうとう例れいの症状しょうじょうが出でてきたのかしら、思おもったより早はやいわ。
「あ、ゴメンナサイ、若わかい頃ころの思おもい出での中なかに今戻いまもどったような気きがして、イヤーね、年としを取とるとコンランするの」「きっと良よい思おもい出でなんだろうな」「良よい思おもい出でだけとっておくの」「そんな風ふうに上手うまく行いくと良よいな」「あの、大変失礼たいへんしつれいですけど、お名前伺なまえうかがっても良よいかしら?」「あ･･･イヤ、あの･･･」「あの、不躾ぶしつけでごめんなさい、あなたのまなざしも声こえも私わたしの知しっている人ひととそっくりなの、もしかして･･･って思おもって･･･ ホントにごめんなさいね、失礼しつれいしました」
「もしかして･･･ か、あの僕ぼく、矢崎やざきといいます」「矢崎やざきさん･･･ 矢崎順やざきじゅん太郎たろうさん･･･」「矢崎順一やざきじゅんいちです。順太郎じゅんたろうは父ちちです」
「あー やっぱり! あ、ゴメンナサイ」「イエ」「あ、やっぱり」「父ちちは･･･」
「お父様とうさまは若わかい頃ころのとっても良よいお友達ともだちなんです」「父ちちは一昨年亡おととしなくなりました」「そうでしたか、それは･･･ でもきっと良よい人生じんせいでしたでしょうね、あなたを見みているとそんな気きがする」
「ありがとうございます」「お引ひき留とめしてゴメンナサイ」「えーと、お
名前なまえは?」「私わたしですか?岩永いわながさゆりと言いいます」「岩永いわながさゆりさん･･･」
「真似まねしたワケじゃないのよ、あの、たまたま一文字違ひともじちがってたの」
「覚おぼえやすくって良よいですね」「よく言いわれます、お会あい出来できて本当ほんとうに良よかった、お元気げんきでね」「さゆりさんも」「ありがとう、さようなら」
「失礼しつれいします」
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは20
声こえを合あわせ歌うたった Blowin' in the wind
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは21
今いまもきこえてくる We shall over come
あれから50年ねん、いろんな事ことがあったわ、私わたしにも。ジュンの人生じんせいはどんなだったかしら。
学生時代がくせいじだい、成績せいせきのカンバシクない私わたしに勉強べんきょうを教おしえてくれたのはジュンだった。
「何なんでこれがわかんないんだよ、さゆり、お前まえあったま悪わるりーな」「だって、こんな公式覚こうしきおぼえたって社会しゃかいに出でて何なにの役やくにも立たたないもん」「だけど、学生がくせいはベンキョーしなきゃダメなの、一生いっしょう懸命勉強けんめいべんきょうして、ちょっとやそっとじゃメゲない人間にんげんになるんだ、わかるか?」子こどもっぽいところがあるのに、そのくせ説経せっきょうがましいことを言いった。でもおかげで私わたしの数学すうがくの成績せいせきは少すこしマシになった。
卒業そつぎょうが間近まぢかに迫せまったある日ひ、仲間なかまたちと寄より集あつまった帰かえり道みち、いつになくジュンが「さゆり、今日きょうは送おくってくよ･･･ 考かんがえてみれば、一応いちおうお前女まえおんなだからな」とめずらしく私わたしを家いえまで送おくってくれた。
「オレ達たち、会社勤かいしゃづとめして上司じょうしにペコペコしたりしてさ、変かわってくんだろーなー」「絶対ぜったいそんな風ふうにはならないよ」「さゆり、お前社会ぜんしゃかいってそんなに甘あまいもんじゃないんだぞ」「でもさ、ジュンならお調子者ちょうしものだから上司じょうしとも上手うまくやっていけるね「そうだな 」 、オレ結構得意けっこうとくいかも」「アハハハ･･･」
「ドキドキするな」「ドキドキするね」 恋こいと言いえる程ほどのものではなかったけれど、ジュンといると何なんだか安心あんしんだった。心こころが落おち着ついた。漠ばく然ぜんとだけど。「さゆり･･･ オレさ･･･ 多分たぶんお前まえみたいな奴やつと結婚けっこんすると思おもう」「は? お前まえみたいな奴やつって何なによ!」「だからさ、何なにかお前まえみたいに気遣きづかわなくて良よくってさ、お前まえみたいに色気いろけのない女おんなっぽくない奴やつだよ」「･･･それって、私わたし、喜よろこんでいいの?」「良よいんだぜ、喜よろこんで」「全然嬉ぜんぜんうれしくないけど」ジュンはふと真顔まがおになり私わたしを見みつめた。
「何なによ、こわい顔かおして」そして私わたしをギュッと抱だきしめ、そして、それから、くちづけ･･･ キ、キ、キッスをした。初はじめてのキスだった。
「じゃあな、頑張がんばれよ、ちょっとやそっとじゃメゲない強つよい人間にんげんになろうぜ」優やさしい目めで言いうと背せを向むけて足早あしばやに駅えきの方ほうへ去さっていった。はじまりではなくお別わかれのキスだった。それぞれの見みつめる違ちがう方向ほうこうへの旅立たびだちのキスだった。
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは20
声こえを合あわせ歌うたった Five hundred miles
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは21
今いまもきこえるでしょう Where have all the flowers gone
ジュンはこんな風ふうに思おもった事ことあるかしら、あの、いわゆるタラレバ?
もしあの時ときこうしていたら、あ、もしもあの時ときああしていれば･･･って。
私わたし、何回なんかいも思おもった。自分じぶんが本当ほんとうに思おもうような人生じんせいを歩あるいているのか。何なんだか道標みちしるべを探さがせないまま、別べつの角かどを曲まがってしまったんじゃないかって。
でも、不思議ふしぎね。少すこし良よい事ことがあると、あ、やっぱり良よいんだ、これで間違まちがっていなかった･･･ってホッとする。「でもまた少すこし経たつと同おなじ事ことの繰くり返かえし、またキツーイ坂道さかみちがはじまるんだ、でもそれってマンザラでもないんだぜ」「うん、わかる、気きがつけばまた」「ちょっとやそっとじゃメゲない強つよい人間にんげんになっている アハハハ･･･」
ね、どうなるのかな、これから先さきの展開てんかいは。何度なんども空そらを見上みあげ、私わたしは負まけない、乗のり越こえてみせる!って叫さけんだ。その代かわり嬉うれしい事ことがあった時ときには「ありがとう!」って空そらに報告ほうこくするの。そうすると空そらも喜よろこんで「よかったなー」って一緒いっしょに笑わらってくれるような気きがして余計嬉よけいうれしくなるの。
「言いってたよ、空そらや雲くもが、あそこでいつもこっちに向むかって叫さけんでるさゆりっていうコ、ウルセエって」「ハハハ、やっぱり」「アハハハ」 じゃ、聞きこえるね、ジュンにも聞きこえてるね。ありがとう･･･ ありがとう･･･
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは20
声こえを合あわせ歌うたった This land is your land
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは21
今いまもきこえてくる Goodnight Irene
声こえを合あわせ歌うたった Five hundred miles
今いまもきこえるでしょう Where have all the flowers gone
他人たにんのそら似に? イエ、彼かれだわ。ドキ! 早はやまる呼吸こきゅう、声こえをかけようかかけまいか、カゴに入はいったおとうふや泥どろつきゴボウの先さきっぽが揺ゆれている。こんな事ことってあるのね。若わかい日々ひびの恋こいがよみがえる。気付きづかないで私わたしに･･･ アー、
やっぱり気付きづいて･･･。ヤダ、もっとちゃんとお化粧けしょうしてくるんだった。もっと少すこしマシなもの着きてくるんだった。彼かれがふと振ふりむいて、瞳ひとみと瞳ひとみが重かさなって･･･ え?
違ちがった、若わかすぎるわ･･･ でもそっくりだわ、あの頃ころの彼かれに･･･ あ～ コンラン、何度なんども見返みかえす不審者ふしんしゃのようなおばさんに気付きづき、不思議ふしぎそうに彼かれは小ちいさく会釈えしゃくした。
「あの～ ゴメンナサイ、人違ひとちがいでした、とてもよく似にた人ひとを知しっているもので、でも間違まちがいでした、ゴメンナサイ」「イエ･･･ そうですか、そんなによく似にているなんて、何なにかご縁えんがあるのかな?」
あ･･･ その声こえ･･･ なんだか夢ゆめの中なかにいるみたい! 何なにコレ、私わたしもとうとう例れいの症状しょうじょうが出でてきたのかしら、思おもったより早はやいわ。
「あ、ゴメンナサイ、若わかい頃ころの思おもい出での中なかに今戻いまもどったような気きがして、イヤーね、年としを取とるとコンランするの」「きっと良よい思おもい出でなんだろうな」「良よい思おもい出でだけとっておくの」「そんな風ふうに上手うまく行いくと良よいな」「あの、大変失礼たいへんしつれいですけど、お名前伺なまえうかがっても良よいかしら?」「あ･･･イヤ、あの･･･」「あの、不躾ぶしつけでごめんなさい、あなたのまなざしも声こえも私わたしの知しっている人ひととそっくりなの、もしかして･･･って思おもって･･･ ホントにごめんなさいね、失礼しつれいしました」
「もしかして･･･ か、あの僕ぼく、矢崎やざきといいます」「矢崎やざきさん･･･ 矢崎順やざきじゅん太郎たろうさん･･･」「矢崎順一やざきじゅんいちです。順太郎じゅんたろうは父ちちです」
「あー やっぱり! あ、ゴメンナサイ」「イエ」「あ、やっぱり」「父ちちは･･･」
「お父様とうさまは若わかい頃ころのとっても良よいお友達ともだちなんです」「父ちちは一昨年亡おととしなくなりました」「そうでしたか、それは･･･ でもきっと良よい人生じんせいでしたでしょうね、あなたを見みているとそんな気きがする」
「ありがとうございます」「お引ひき留とめしてゴメンナサイ」「えーと、お
名前なまえは?」「私わたしですか?岩永いわながさゆりと言いいます」「岩永いわながさゆりさん･･･」
「真似まねしたワケじゃないのよ、あの、たまたま一文字違ひともじちがってたの」
「覚おぼえやすくって良よいですね」「よく言いわれます、お会あい出来できて本当ほんとうに良よかった、お元気げんきでね」「さゆりさんも」「ありがとう、さようなら」
「失礼しつれいします」
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは20
声こえを合あわせ歌うたった Blowin' in the wind
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは21
今いまもきこえてくる We shall over come
あれから50年ねん、いろんな事ことがあったわ、私わたしにも。ジュンの人生じんせいはどんなだったかしら。
学生時代がくせいじだい、成績せいせきのカンバシクない私わたしに勉強べんきょうを教おしえてくれたのはジュンだった。
「何なんでこれがわかんないんだよ、さゆり、お前まえあったま悪わるりーな」「だって、こんな公式覚こうしきおぼえたって社会しゃかいに出でて何なにの役やくにも立たたないもん」「だけど、学生がくせいはベンキョーしなきゃダメなの、一生いっしょう懸命勉強けんめいべんきょうして、ちょっとやそっとじゃメゲない人間にんげんになるんだ、わかるか?」子こどもっぽいところがあるのに、そのくせ説経せっきょうがましいことを言いった。でもおかげで私わたしの数学すうがくの成績せいせきは少すこしマシになった。
卒業そつぎょうが間近まぢかに迫せまったある日ひ、仲間なかまたちと寄より集あつまった帰かえり道みち、いつになくジュンが「さゆり、今日きょうは送おくってくよ･･･ 考かんがえてみれば、一応いちおうお前女まえおんなだからな」とめずらしく私わたしを家いえまで送おくってくれた。
「オレ達たち、会社勤かいしゃづとめして上司じょうしにペコペコしたりしてさ、変かわってくんだろーなー」「絶対ぜったいそんな風ふうにはならないよ」「さゆり、お前社会ぜんしゃかいってそんなに甘あまいもんじゃないんだぞ」「でもさ、ジュンならお調子者ちょうしものだから上司じょうしとも上手うまくやっていけるね「そうだな 」 、オレ結構得意けっこうとくいかも」「アハハハ･･･」
「ドキドキするな」「ドキドキするね」 恋こいと言いえる程ほどのものではなかったけれど、ジュンといると何なんだか安心あんしんだった。心こころが落おち着ついた。漠ばく然ぜんとだけど。「さゆり･･･ オレさ･･･ 多分たぶんお前まえみたいな奴やつと結婚けっこんすると思おもう」「は? お前まえみたいな奴やつって何なによ!」「だからさ、何なにかお前まえみたいに気遣きづかわなくて良よくってさ、お前まえみたいに色気いろけのない女おんなっぽくない奴やつだよ」「･･･それって、私わたし、喜よろこんでいいの?」「良よいんだぜ、喜よろこんで」「全然嬉ぜんぜんうれしくないけど」ジュンはふと真顔まがおになり私わたしを見みつめた。
「何なによ、こわい顔かおして」そして私わたしをギュッと抱だきしめ、そして、それから、くちづけ･･･ キ、キ、キッスをした。初はじめてのキスだった。
「じゃあな、頑張がんばれよ、ちょっとやそっとじゃメゲない強つよい人間にんげんになろうぜ」優やさしい目めで言いうと背せを向むけて足早あしばやに駅えきの方ほうへ去さっていった。はじまりではなくお別わかれのキスだった。それぞれの見みつめる違ちがう方向ほうこうへの旅立たびだちのキスだった。
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは20
声こえを合あわせ歌うたった Five hundred miles
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは21
今いまもきこえるでしょう Where have all the flowers gone
ジュンはこんな風ふうに思おもった事ことあるかしら、あの、いわゆるタラレバ?
もしあの時ときこうしていたら、あ、もしもあの時ときああしていれば･･･って。
私わたし、何回なんかいも思おもった。自分じぶんが本当ほんとうに思おもうような人生じんせいを歩あるいているのか。何なんだか道標みちしるべを探さがせないまま、別べつの角かどを曲まがってしまったんじゃないかって。
でも、不思議ふしぎね。少すこし良よい事ことがあると、あ、やっぱり良よいんだ、これで間違まちがっていなかった･･･ってホッとする。「でもまた少すこし経たつと同おなじ事ことの繰くり返かえし、またキツーイ坂道さかみちがはじまるんだ、でもそれってマンザラでもないんだぜ」「うん、わかる、気きがつけばまた」「ちょっとやそっとじゃメゲない強つよい人間にんげんになっている アハハハ･･･」
ね、どうなるのかな、これから先さきの展開てんかいは。何度なんども空そらを見上みあげ、私わたしは負まけない、乗のり越こえてみせる!って叫さけんだ。その代かわり嬉うれしい事ことがあった時ときには「ありがとう!」って空そらに報告ほうこくするの。そうすると空そらも喜よろこんで「よかったなー」って一緒いっしょに笑わらってくれるような気きがして余計嬉よけいうれしくなるの。
「言いってたよ、空そらや雲くもが、あそこでいつもこっちに向むかって叫さけんでるさゆりっていうコ、ウルセエって」「ハハハ、やっぱり」「アハハハ」 じゃ、聞きこえるね、ジュンにも聞きこえてるね。ありがとう･･･ ありがとう･･･
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは20
声こえを合あわせ歌うたった This land is your land
50年ねんを2分半ふんはんで飛とびこして 私わたしの気持きもちは21
今いまもきこえてくる Goodnight Irene
声こえを合あわせ歌うたった Five hundred miles
今いまもきこえるでしょう Where have all the flowers gone
