旅たびは鼻はなうた 青あおい空そら 森もりの石松いしまつはるばると
金毘羅こんぴら代参だいさん 無事ぶじにすみ やれうれしやと 手てに持もった
茶ちゃわんに とろりと 酒さけの色いろ 待まてば 海路かいろの 日和ひよりかな
石いし「飲のみねえ、飲のみねえ、寿司すしくいねえ、もっとこっちへ寄よんねえ、江戸えどっ子こだってねえ」
客きゃく「神田かんだの生うまれよ」
石いし「そそうだってねえ、へエー、次郎長じろちょうっていうのはそんなにえれえのか」
客きゃく「えれえのかなんてえのは、あんなもんじゃねえネエー、お前まえさんいっとく
けどね、次郎長じろちょうばかりがえれえんじゃないぜ、清水しみずの二十八にじゅうはち人にん衆しゅうというネ、いい子分こぶんがいるからだぜ」
西にしに夕日ゆうひの 茜雲あかねぐも風かぜがなぜやら身みにしみる
清水しみず 二十にじゅうと八人はちにん衆しゅう その どこいらに おれの名なが
入はいっているかと 気きもそぞろ 森もりの石松いしまつ 愛嬌者あいきょうもの
石いし「ところで、その次郎長じろちょうの子分こぶんの中なかで、一番いちばん強つよいのは、いったいどこの誰だれれだ」
客きゃく「ウン一番いちばん強つよいのは…あっ、いました、いました、遠州えんしゅう森もりの生うまれだ、石松いしまつってえんだが、こいつが一番いちばん強つよいや」
石いし「ハハ…嬉うれしいことをいうじゃないか、お前まえさん飲のみねえ、飲のみねえ、寿司すしくいねえ、もっとこっちえ寄よんねえ、江戸えどっ子こだってねえ」
客きゃく「神田かんだの生うまれよ」
石いし「そそうだったねえ、ところで石松いしまつってえのは、そんなに強つよいのか」
客きゃく「強つよいのなんのって、滅法めっぽう強つよいんだが、あいつはどうも人間にんげんがバカだからねえ」
うまく話はなしを 持もちこんだ 石松いしまつとたんに ああ 苦にがい顔かお
愚痴ぐちをいう気きは ないけれど 寿司すしやら 酒さけやら ふるまって
ばかといわれちゃ 世話せわがない ばかは死しななきゃ なおらない
旅tabiはha鼻hanaうたuta 青aoいi空sora 森moriのno石松ishimatsuはるばるとharubaruto
金毘羅konpira代参daisan 無事bujiにすみnisumi やれうれしやとyareureshiyato 手teにni持moったtta
茶chaわんにwanni とろりとtororito 酒sakeのno色iro 待maてばteba 海路kairoのno 日和hiyoriかなkana
石ishi「飲noみねえminee、飲noみねえminee、寿司sushiくいねえkuinee、もっとこっちへmottokotchihe寄yoんねえnnee、江戸edoっxtu子koだってねえdattenee」
客kyaku「神田kandaのno生umaれよreyo」
石ishi「そそうだってねえsosoudattenee、へheエeー、次郎長jirochouっていうのはそんなにえれえのかtteiunohasonnaniereenoka」
客kyaku「えれえのかなんてえのはereenokananteenoha、あんなもんじゃねえannamonjaneeネエneeー、おo前maeさんいっとくsanittoku
けどねkedone、次郎長jirochouばかりがえれえんじゃないぜbakarigaereenjanaize、清水shimizuのno二十八nijuuhachi人nin衆syuuというtoiuネne、いいii子分kobunがいるからだぜgairukaradaze」
西nishiにni夕日yuuhiのno 茜雲akanegumo風kazeがなぜやらganazeyara身miにしみるnishimiru
清水shimizu 二十nijuuとto八人hachinin衆syuu そのsono どこいらにdokoirani おれのoreno名naがga
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石ishi「ところでtokorode、そのsono次郎長jirochouのno子分kobunのno中nakaでde、一番ichiban強tsuyoいのはinoha、いったいどこのittaidokono誰dareれだreda」
客kyaku「ウンun一番ichiban強tsuyoいのはinoha…あっaxtu、いましたimashita、いましたimashita、遠州ensyuu森moriのno生umaれだreda、石松ishimatsuってえんだがtteendaga、こいつがkoitsuga一番ichiban強tsuyoいやiya」
石ishi「ハハhaha…嬉ureしいことをいうじゃないかshiikotowoiujanaika、おo前maeさんsan飲noみねえminee、飲noみねえminee、寿司sushiくいねえkuinee、もっとこっちえmottokotchie寄yoんねえnnee、江戸edoっxtu子koだってねえdattenee」
客kyaku「神田kandaのno生umaれよreyo」
石ishi「そそうだったねえsosoudattanee、ところでtokorode石松ishimatsuってえのはtteenoha、そんなにsonnani強tsuyoいのかinoka」
客kyaku「強tsuyoいのなんのってinonannotte、滅法meppou強tsuyoいんだがindaga、あいつはどうもaitsuhadoumo人間ningenがgaバカbakaだからねえdakaranee」
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愚痴guchiをいうwoiu気kiはha ないけれどnaikeredo 寿司sushiやらyara 酒sakeやらyara ふるまってfurumatte
ばかといわれちゃbakatoiwarecha 世話sewaがないganai ばかはbakaha死shiななきゃnanakya なおらないnaoranai