よみ:しんやく「つぐない」
新約「償い」 歌詞
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時ときは令和れいわ 世田谷下北沢せたがやしもきたざわ
練習れんしゅうにしばらく来きてなかったボーカルの雄介ゆうすけが
スタジオのドア あけるなり放はなった言葉ことば
「俺おれ、今日きょうでバンドやめる、みんなごめん」
水みずを打うったように静しずまり返かえったリハスタ
メンバーはひたすら彼かれを引ひき留とめた
だがそれを遮さえぎって 「もう決きめたんだ」
そう呟つぶやいたきり彼かれはただ俯うつむくだけだった
沈黙ちんもくとため息いきが幾重いくえにも重かさなった
諦あきらめと苛立いらだちがそれに絡からまった
煮にえたぎる腑はらわた 堪こらえきれずメンバーが彼かれを罵ののしった
「裏切うらぎり者もの」
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
求もとめ合あい 擦こすれ合あい 絡からみ合あい すれ違ちがい
過すぎてしまったことはもう二度にどとは戻もどらない
僕ぼくだけが知しってた
二にヶ月前げつまえ 自粛明じしゅくあけ久々ひさびさのライブ
皆漲みなみなぎってた 歓喜かんきの拳上こぶしあがり 復活ふっかつの兆きざし
「きっとこれからだ」
そう笑わらい合あい肩かたを抱だいたあの夜よるに
雄介ゆうすけの体からだへと忍しのび込こんでた
喜よろこびと興奮こうふんの影かげへと潜ひそんでた
最悪さいあくの悪魔あくま その名なはコロナ
そして引ひき起おこされた 家庭内かていないクラスター
雄介ゆうすけは無症状むしょうじょう だがしかし祖父そふを襲おそうウィルス
咳せき 高熱こうねつ 緊急搬送きんきゅうはんそうから隔離病棟かくりびょうとう
窓まどのない病室びょうしつ 見舞みまうことも許ゆるされず
年老としおいた祖父そふの孤独こどくを思おもう
病状びょうじょうは少すこしずつ安定あんていしてきてたはずだった
それなのに真夜中まよなか 鳴なり響ひびいた電話でんわ
青白あおじろい母はは 受話器握じゅわきにぎりしめたまま
「雄介ゆうすけ、おじいちゃんが…」
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
求もとめ合あい 擦こすれ合あい 絡からみ合あい すれ違ちがい
過すぎてしまったことはもう二度にどとは戻もどらない
「生前せいぜん、故人こじんが大変たいへんお世話せわになりました。
多おおくの方かたにご参列頂さんれついただき喜よろこんでいることと思おもいます」
基礎疾患きそしっかんからの合併症がっぺいしょう
カルテ上じょう 死因しいんは心臓病しんぞうびょう だとしても
「もともと具合悪ぐあいわるかったんだから、あんただけのせいじゃないよ」
と母ははは慰なぐさめた
だが雄介ゆうすけは祖父そふが微笑ほほえむ遺影いえいの下した
泣なきながら床ゆかに頭あたまを擦こすり付つけるしかなかった
繰くり返かえす懺悔ざんげ
「どうして? 俺おれは? なんで?」
それからというもの 彼かれは人ひとが変かわった
ギターを売うり払はらい 全すべてのCDを叩たたき割わった
そしてもう二度にどと音楽おんがくに触ふれることはないと誓ちかい
あの日ひ スタジオへとやって来きたのだった
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
求もとめ合あい 擦こすれ合あい 絡からみ合あい すれ違ちがい
過すぎてしまったことはもう二度にどとは戻もどらない
もう二度にどと戻もどらない
今日きょう 雄介ゆうすけが僕ぼくの部屋へやへと駆かけ込こんできた
息切いききらし 目めを腫はらし 泣なきじゃくり
子供こどものように全身ぜんしんを震ふるわせながらその胸むねに
抱だきしめていたのは一枚いちまいのCD
それは僕達ぼくたちのアルバム
面会謝絶めんかいしゃぜつだった 祖父そふの病室びょうしつ
その引ひき出だしにしまわれていたものらしく
そしてその歌詞かしカード 最後さいごのページの空白くうはくに
『頑張がんばれ 雄介ゆうすけ』
と刻きざみ込こまれてた
揺ゆれる筆跡ひっせき 細ほそく頼たよりない だがしかし
命一滴いのちいってき ただ一言ひとことの遺言ゆいごんが 願ねがいが
確たしかにそこには宿やどってた
それを天てんに掲かかげひざまづき雄介ゆうすけは大声おおごえで
「歌うたを歌うたいたい」
と叫さけんだ それを聞きいて僕ぼくも思おもわず叫さけんでた
「頑張がんばれ 雄介ゆうすけ」
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
愛あいし合あい 思おもい合あい 支ささえ合あい 庇かばい合あい
なんだかもらい泣なきの涙なみだが止とまらない
彼かれは許ゆるされたのか?
その答こたえは わからない
だけど 僕ぼくが発はっするこの声こえが
どうしても 僕一人ぼくひとりのものだとは思おもえなかった
頑張がんばれ雄介ゆうすけ 頑張がんばれ雄介ゆうすけ
頑張がんばれ雄介ゆうすけ 頑張がんばれ雄介ゆうすけ
頑張がんばれ雄介ゆうすけ 頑張がんばれ雄介ゆうすけ
頑張がんばれ 雄介ゆうすけ
練習れんしゅうにしばらく来きてなかったボーカルの雄介ゆうすけが
スタジオのドア あけるなり放はなった言葉ことば
「俺おれ、今日きょうでバンドやめる、みんなごめん」
水みずを打うったように静しずまり返かえったリハスタ
メンバーはひたすら彼かれを引ひき留とめた
だがそれを遮さえぎって 「もう決きめたんだ」
そう呟つぶやいたきり彼かれはただ俯うつむくだけだった
沈黙ちんもくとため息いきが幾重いくえにも重かさなった
諦あきらめと苛立いらだちがそれに絡からまった
煮にえたぎる腑はらわた 堪こらえきれずメンバーが彼かれを罵ののしった
「裏切うらぎり者もの」
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
求もとめ合あい 擦こすれ合あい 絡からみ合あい すれ違ちがい
過すぎてしまったことはもう二度にどとは戻もどらない
僕ぼくだけが知しってた
二にヶ月前げつまえ 自粛明じしゅくあけ久々ひさびさのライブ
皆漲みなみなぎってた 歓喜かんきの拳上こぶしあがり 復活ふっかつの兆きざし
「きっとこれからだ」
そう笑わらい合あい肩かたを抱だいたあの夜よるに
雄介ゆうすけの体からだへと忍しのび込こんでた
喜よろこびと興奮こうふんの影かげへと潜ひそんでた
最悪さいあくの悪魔あくま その名なはコロナ
そして引ひき起おこされた 家庭内かていないクラスター
雄介ゆうすけは無症状むしょうじょう だがしかし祖父そふを襲おそうウィルス
咳せき 高熱こうねつ 緊急搬送きんきゅうはんそうから隔離病棟かくりびょうとう
窓まどのない病室びょうしつ 見舞みまうことも許ゆるされず
年老としおいた祖父そふの孤独こどくを思おもう
病状びょうじょうは少すこしずつ安定あんていしてきてたはずだった
それなのに真夜中まよなか 鳴なり響ひびいた電話でんわ
青白あおじろい母はは 受話器握じゅわきにぎりしめたまま
「雄介ゆうすけ、おじいちゃんが…」
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
求もとめ合あい 擦こすれ合あい 絡からみ合あい すれ違ちがい
過すぎてしまったことはもう二度にどとは戻もどらない
「生前せいぜん、故人こじんが大変たいへんお世話せわになりました。
多おおくの方かたにご参列頂さんれついただき喜よろこんでいることと思おもいます」
基礎疾患きそしっかんからの合併症がっぺいしょう
カルテ上じょう 死因しいんは心臓病しんぞうびょう だとしても
「もともと具合悪ぐあいわるかったんだから、あんただけのせいじゃないよ」
と母ははは慰なぐさめた
だが雄介ゆうすけは祖父そふが微笑ほほえむ遺影いえいの下した
泣なきながら床ゆかに頭あたまを擦こすり付つけるしかなかった
繰くり返かえす懺悔ざんげ
「どうして? 俺おれは? なんで?」
それからというもの 彼かれは人ひとが変かわった
ギターを売うり払はらい 全すべてのCDを叩たたき割わった
そしてもう二度にどと音楽おんがくに触ふれることはないと誓ちかい
あの日ひ スタジオへとやって来きたのだった
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
求もとめ合あい 擦こすれ合あい 絡からみ合あい すれ違ちがい
過すぎてしまったことはもう二度にどとは戻もどらない
もう二度にどと戻もどらない
今日きょう 雄介ゆうすけが僕ぼくの部屋へやへと駆かけ込こんできた
息切いききらし 目めを腫はらし 泣なきじゃくり
子供こどものように全身ぜんしんを震ふるわせながらその胸むねに
抱だきしめていたのは一枚いちまいのCD
それは僕達ぼくたちのアルバム
面会謝絶めんかいしゃぜつだった 祖父そふの病室びょうしつ
その引ひき出だしにしまわれていたものらしく
そしてその歌詞かしカード 最後さいごのページの空白くうはくに
『頑張がんばれ 雄介ゆうすけ』
と刻きざみ込こまれてた
揺ゆれる筆跡ひっせき 細ほそく頼たよりない だがしかし
命一滴いのちいってき ただ一言ひとことの遺言ゆいごんが 願ねがいが
確たしかにそこには宿やどってた
それを天てんに掲かかげひざまづき雄介ゆうすけは大声おおごえで
「歌うたを歌うたいたい」
と叫さけんだ それを聞きいて僕ぼくも思おもわず叫さけんでた
「頑張がんばれ 雄介ゆうすけ」
償つぐない 繕つくろい 切きれない 罪背負つみせおい
人ひとは哀かなしくも健気けなげに生いきていて
愛あいし合あい 思おもい合あい 支ささえ合あい 庇かばい合あい
なんだかもらい泣なきの涙なみだが止とまらない
彼かれは許ゆるされたのか?
その答こたえは わからない
だけど 僕ぼくが発はっするこの声こえが
どうしても 僕一人ぼくひとりのものだとは思おもえなかった
頑張がんばれ雄介ゆうすけ 頑張がんばれ雄介ゆうすけ
頑張がんばれ雄介ゆうすけ 頑張がんばれ雄介ゆうすけ
頑張がんばれ雄介ゆうすけ 頑張がんばれ雄介ゆうすけ
頑張がんばれ 雄介ゆうすけ