よみ:ちょうへんかようろうきょく せんごくしおものがたり
長編歌謡浪曲 戦国塩物語 歌詞
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三山ひろし
- 2019.5.15 リリース
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ぶどう畑ばたけの 葉はも枯かれて
秋風あきかぜそぞろ 身みに沁しみる
甲府こうふ盆地ぼんちの 昏くれに
たなびく霧きりは 戦国せんごくの
夢ゆめを包つつんで 四よん百年ひゃくねん
都みやこは遠とおく 海うみも無ない
この山国やまぐにの くにたみを
愛あいしつづけた 信玄しんげんは
山やまの姿すがたに 何なに想おもう
類たぐい稀まれなき 英雄えいゆうが
その横顔よこがおに ふと見みせた
悲かなしき影かげを 誰だれが知しろ
「何なんと、越後えちごの謙信けんしんが塩しおを送おくってくれたと申もうすのか!
うむうむ 勇将ゆうしょう・鬼小島おにこじま弥太郎やたろうを使つかいとして上杉うえすぎ殿どのがあの塩しおを…。
駿河するがの今川いまがわ、相模さがみの北条ほうじょうに塩しおを絶たたれ
甲斐かいと信濃しなのの領民りょうみんの苦くるしみ難儀なんぎを
見みるにつけても予よは、断腸だんちょうの思おもいであった」
思おもわずほろり ひとしずく
閉とじた瞼まぶたに 浮うかぶのは
永禄えいろく四年よねん 秋あき九月くがつ 川中島かわなかじまの戦場せんじょうで
朝霧あさぎりついて現あらわれた 馬上ばじょうの武者むしゃは矢やの如ごとく
我われをめがけて 真まっしぐら 「信玄しんげん覚悟かくご」と斬きりつけた
軍配ぐんばい持もって受うけ止とめて はじき返かえした太刀先たちさきに
眼光がんこう燃もゆる 凄すさまじさ
あれが越後えちごの謙信けんしんかと 身みの毛けがよだつ想おもいした
あの謙信けんしんが戦いくささを越こえて 塩しおを送おくってくれたとは
如何いかなる心こころの大おおきさか 武士ぶしの情なさけが
人ひとの情なさけが 身みに沁しみる
「勝頼かつよりよ、儂わしに若もしもの時ときあらば謙信けんしん殿どのに相談そうだんせい。これは遺言ゆいごんだぞ。
だが家老かろう共ども、越後えちごの塩しお商人しょうにんから一両いちりょうでも高たかく買かえ、上杉うえすぎの情なさけに報むくゆる
武田たけだの真心まごころだ。それは又また、甲斐かい源氏げんじの力ちからを示しめす。ハハハハ、戦いくさじゃわい」
勝頼かつより聞きけよ 者共ものどもよいか
年ねんが明あけたら 出陣しゅつじんぞ
風林火山ふうりんかざんの 旗はたなびかせて
汐しおの花はな咲さく 海うみを見みながら 東海道とうかいどうを
京きょうの都みやこへ 上のぼるのだ
京きょうの都みやこへ 上のぼるのだ
秋風あきかぜそぞろ 身みに沁しみる
甲府こうふ盆地ぼんちの 昏くれに
たなびく霧きりは 戦国せんごくの
夢ゆめを包つつんで 四よん百年ひゃくねん
都みやこは遠とおく 海うみも無ない
この山国やまぐにの くにたみを
愛あいしつづけた 信玄しんげんは
山やまの姿すがたに 何なに想おもう
類たぐい稀まれなき 英雄えいゆうが
その横顔よこがおに ふと見みせた
悲かなしき影かげを 誰だれが知しろ
「何なんと、越後えちごの謙信けんしんが塩しおを送おくってくれたと申もうすのか!
うむうむ 勇将ゆうしょう・鬼小島おにこじま弥太郎やたろうを使つかいとして上杉うえすぎ殿どのがあの塩しおを…。
駿河するがの今川いまがわ、相模さがみの北条ほうじょうに塩しおを絶たたれ
甲斐かいと信濃しなのの領民りょうみんの苦くるしみ難儀なんぎを
見みるにつけても予よは、断腸だんちょうの思おもいであった」
思おもわずほろり ひとしずく
閉とじた瞼まぶたに 浮うかぶのは
永禄えいろく四年よねん 秋あき九月くがつ 川中島かわなかじまの戦場せんじょうで
朝霧あさぎりついて現あらわれた 馬上ばじょうの武者むしゃは矢やの如ごとく
我われをめがけて 真まっしぐら 「信玄しんげん覚悟かくご」と斬きりつけた
軍配ぐんばい持もって受うけ止とめて はじき返かえした太刀先たちさきに
眼光がんこう燃もゆる 凄すさまじさ
あれが越後えちごの謙信けんしんかと 身みの毛けがよだつ想おもいした
あの謙信けんしんが戦いくささを越こえて 塩しおを送おくってくれたとは
如何いかなる心こころの大おおきさか 武士ぶしの情なさけが
人ひとの情なさけが 身みに沁しみる
「勝頼かつよりよ、儂わしに若もしもの時ときあらば謙信けんしん殿どのに相談そうだんせい。これは遺言ゆいごんだぞ。
だが家老かろう共ども、越後えちごの塩しお商人しょうにんから一両いちりょうでも高たかく買かえ、上杉うえすぎの情なさけに報むくゆる
武田たけだの真心まごころだ。それは又また、甲斐かい源氏げんじの力ちからを示しめす。ハハハハ、戦いくさじゃわい」
勝頼かつより聞きけよ 者共ものどもよいか
年ねんが明あけたら 出陣しゅつじんぞ
風林火山ふうりんかざんの 旗はたなびかせて
汐しおの花はな咲さく 海うみを見みながら 東海道とうかいどうを
京きょうの都みやこへ 上のぼるのだ
京きょうの都みやこへ 上のぼるのだ