戦いくさが終おわり荒あれ果はてた町まちを
一人ひとりの騎士きしが歩あるく
彼かれは誰だれより戦果せんかを挙あげた
誰だれより人ひとを殺ころした
敵国てきこくの民たみはその姿すがた恐おそれ
必死ひっしに命乞いのちごいをする
しかしその願ねがいを彼かれが
聞きき入いれることは決けっしてない
女おんなの亡骸なきがらが抱かかえた
無邪気むじゃきに微笑ほほえむ赤子あかご
彼かれは冷つめたい眼めのまま
剣つるぎを振ふり上あげた
誰だれも生いかしておくわけには いかないんでね
・・・悪わるいな
英雄えいゆうの鎧よろいは常つねに紅あかく
それはきっと浴あびた返かえり血ちの色いろ
誰だれかのための行おこないだとしても
それを「正義せいぎ」と呼よべるのか
それから五ご年ねんの月日つきひが流ながれ
戦いくさは今日きょうも続つづく
騎士きしを仮住かりずまいで待まつのは
一人ひとりの可憐かれんな少女しょうじょ
あの時とき彼女かのじょの服ふくに縫ぬわれた
皇家こうけの紋もんに気きづいた
手元てもとに置おいておけばいつか
人質ひとじちくらいにはなるだろう
「お帰かえり父とうさん」と微笑ほほえむ
無邪気むじゃきで愚おろかな娘むすめ
お前まえの親おやを殺ころしたのは
この俺おれだというのに
親子おやこの真似まね事ごとか・・・
・・・下くだらん
英雄えいゆうの鎧よろいは常つねに紅あかく
それはきっと彼かれの野心やしんと同おなじ色いろ
誰だれかのための行おこないだとしても
それを「正義せいぎ」と呼よべるのか
戦場せんじょうには
様々さまさまなものがはびこっている
勝利しょうり 敗北はいぼく 憎にくしみ 時ときの運うん
そして裏切うらぎり
気きが付つけば騎士きしは
大勢おおぜいの敵てきに囲かこまれていた
彼かれらがただの兵士へいしでないことは
明あきらかだった
「おとなしく娘むすめを差さし出だせ」と
迫せまる黒くろ装束しょうぞくの老婆ろうば
従したがえばおそらく
娘むすめの命いのちはないだろう
しかしそれは騎士きしにとって
望のぞむところだったはず
その為ためにこの子こを今いままで
飼かっていたのだから
そうさ・・・何なにも迷まよう事ことなんかない
なのに・・・どうして・・・
俺おれは・・・!
剣けんを持もち騎士きしを守まもるように
前まえに立たった者ものがいた
震ふるえてる小ちいさな背中せなか
それは幼おさないあの子こだった
憐あわれな娘むすめよ お前まえが父ちちと慕したう者ものは
今いままさにお前まえを売うろうとしていたというのに
騎士きしは娘むすめの頭あたまを優やさしく撫なでた後あと
殺ころし屋やに向むかって剣けんを抜ぬいた……
父親ちちおやなんて柄がらじゃない
誇ほこれるような生いき方かたもしていない
それでもいいと言いってくれるなら
俺おれはお前まえを守まもる鎧よろいになってやる
さあ 行いこうか
英雄えいゆうの鎧よろいは常つねに紅あかく
それはきっと浴あびた夕焼ゆうやけの色いろ
血塗ちぬられた時代じだいの中なか 手てを繋つないで
歩あるいていく騎士きしと娘むすめ
戦場せんじょうには正義せいぎも惡あくもない
贖罪しょくざいの日ひはいつかやって来くるだろう
やがて来くるその時ときまで彼かれは
「父ちち」でいようと決意けついした
戦ikusaがga終oわりwari荒aれre果haてたteta町machiをwo
一人hitoriのno騎士kishiがga歩aruくku
彼kareはha誰dareよりyori戦果senkaをwo挙aげたgeta
誰dareよりyori人hitoをwo殺koroしたshita
敵国tekikokuのno民tamiはそのhasono姿sugata恐osoれre
必死hisshiにni命乞inochigoいをするiwosuru
しかしそのshikashisono願negaいをiwo彼kareがga
聞kiきki入iれることはrerukotoha決kextuしてないshitenai
女onnaのno亡骸nakigaraがga抱kakaえたeta
無邪気mujakiにni微笑hohoeむmu赤子akago
彼kareはha冷tsumeたいtai眼meのままnomama
剣tsurugiをwo振fuりri上aげたgeta
誰dareもmo生iかしておくわけにはkashiteokuwakeniha いかないんでねikanaindene
・・・悪waruいなina
英雄eiyuuのno鎧yoroiはha常tsuneにni紅akaくku
それはきっとsorehakitto浴aびたbita返kaeりri血chiのno色iro
誰dareかのためのkanotameno行okonaいだとしてもidatoshitemo
それをsorewo「正義seigi」とto呼yoべるのかberunoka
それからsorekara五go年nenのno月日tsukihiがga流nagaれre
戦ikusaはha今日kyouもmo続tsuduくku
騎士kishiをwo仮住karizuまいでmaide待maつのはtsunoha
一人hitoriのno可憐karenなna少女syoujo
あのano時toki彼女kanojoのno服fukuにni縫nuわれたwareta
皇家koukeのno紋monにni気kiづいたduita
手元temotoにni置oいておけばいつかiteokebaitsuka
人質hitojichiくらいにはなるだろうkurainihanarudarou
「おo帰kaeりri父touさんsan」とto微笑hohoeむmu
無邪気mujakiでde愚oroかなkana娘musume
おo前maeのno親oyaをwo殺koroしたのはshitanoha
このkono俺oreだというのにdatoiunoni
親子oyakoのno真似mane事gotoかka・・・
・・・下kudaらんran
英雄eiyuuのno鎧yoroiはha常tsuneにni紅akaくku
それはきっとsorehakitto彼kareのno野心yashinとto同onaじji色iro
誰dareかのためのkanotameno行okonaいだとしてもidatoshitemo
それをsorewo「正義seigi」とto呼yoべるのかberunoka
戦場senjouにはniha
様々samasamaなものがはびこっているnamonogahabikotteiru
勝利syouri 敗北haiboku 憎nikuしみshimi 時tokiのno運un
そしてsoshite裏切uragiりri
気kiがga付tsuけばkeba騎士kishiはha
大勢oozeiのno敵tekiにni囲kakoまれていたmareteita
彼kareらがただのragatadano兵士heishiでないことはdenaikotoha
明akiらかだったrakadatta
「おとなしくotonashiku娘musumeをwo差saしshi出daせse」とto
迫semaるru黒kuro装束syouzokuのno老婆rouba
従shitagaえばおそらくebaosoraku
娘musumeのno命inochiはないだろうhanaidarou
しかしそれはshikashisoreha騎士kishiにとってnitotte
望nozoむところだったはずmutokorodattahazu
そのsono為tameにこのnikono子koをwo今imaまでmade
飼kaっていたのだからtteitanodakara
そうさsousa・・・何naniもmo迷mayoうu事kotoなんかないnankanai
なのにnanoni・・・どうしてdoushite・・・
俺oreはha・・・!
剣kenをwo持moちchi騎士kishiをwo守mamoるようにruyouni
前maeにni立taったtta者monoがいたgaita
震furuえてるeteru小chiiさなsana背中senaka
それはsoreha幼osanaいあのiano子koだったdatta
憐awaれなrena娘musumeよyo おo前maeがga父chichiとto慕shitaうu者monoはha
今imaまさにおmasanio前maeをwo売uろうとしていたというのにroutoshiteitatoiunoni
騎士kishiはha娘musumeのno頭atamaをwo優yasaしくshiku撫naでたdeta後ato
殺koroしshi屋yaにni向muかってkatte剣kenをwo抜nuいたita……
父親chichioyaなんてnante柄garaじゃないjanai
誇hokoれるようなreruyouna生iきki方kataもしていないmoshiteinai
それでもいいとsoredemoiito言iってくれるならttekurerunara
俺oreはおhao前maeをwo守mamoるru鎧yoroiになってやるninatteyaru
さあsaa 行iこうかkouka
英雄eiyuuのno鎧yoroiはha常tsuneにni紅akaくku
それはきっとsorehakitto浴aびたbita夕焼yuuyaけのkeno色iro
血塗chinuられたrareta時代jidaiのno中naka 手teをwo繋tsunaいでide
歩aruいていくiteiku騎士kishiとto娘musume
戦場senjouにはniha正義seigiもmo惡akuもないmonai
贖罪syokuzaiのno日hiはいつかやってhaitsukayatte来kuるだろうrudarou
やがてyagate来kuるそのrusono時tokiまでmade彼kareはha
「父chichi」でいようとdeiyouto決意ketsuiしたshita