香り言 歌詞 春瀬烈 ふりがな付

花はなが咲さくのを待まっていたんだ、あなたと二人ふたりで。
いつごろだろうか。僕ぼくは間まに合あうだろうか?

肩かたにふわりと乗のっていた、あなたの細ほそい髪かみが
無造作むぞうさに伸のびた僕ぼくのと不釣ふつり合あいで、
なんだか可笑おかしかったな。

あなたの琥珀こはくの目めが細ほそまってく。
どうして悲かなしそうな顔かおで笑わらうんだろう!
深呼吸しんこきゅうひとつ。

トパアズの香かおりのあなたの言葉ことばに、
僕ぼくはまた何度なんどでも恋こいを患わずらいたい
笑わらう声こえ、歌声うたごえも、あなたの声こえは、全すべて鼻はなをくすぐる香かおり言ごと
思おもい出だす、香かおりごと

部屋へやのランプが切きれたっけ、なら午後ごごには二人ふたりで
新あたらしいものを見みつけに街まちへ出でかけよう

あとさ、本棚ほんだなも欲ほしいんだ。
これから増ふえる本ほんを空想くうそうしてみてよ、思おもうだけ無料ただだから。
悲かなしくなんかないよ。

散ちり際ぎわこそ綺麗きれいなら、雨あめに打うたれアスファルトに張はり付つく
千切ちぎれた花はなはさぁ、一体いったいなんなんだよ。
息いき止とめて二に拍はく。

朝日あさひがいつだって、あなたの笑えみ迎むかえ、
仙人掌さぼてんがいつか咲さき初そめる日ひが来くれば
花影はなかげも育そだってあなたをどこまでも守まもりますように、独ひとり言ごと
ただ想おもう、あなただけ、あなただけ

つまらない映画えいがに
二人ふたり、居眠いねむりをするような
退屈たいくつなほどありふれていたいよ。
君きみを救すくう言葉ことばを、君きみに遺のこせる一節いっせつを
君きみを傷きずつける生涯しょうがいを、考かんがえていたんだ。

ピアノを弾ひく指ゆびも拙つたなくなってさ
笑わらい合あう未来みらいをいまだ夢見ゆめみるんだよ。
白しろい肌はだ、横顔よこがおも、洗あらい髪がみも
君きみは綺麗きれいになった、大人おとなになった!

トパアズの香かおりが、あなたの全すべてが
僕ぼくの中なか、嵐あらしのような恋こいに変かわる。
僕ぼくにはただあなた、あなたがある!
それは僕ぼくを包つつんだ香かおり言ごと
僕ぼくを許ゆるした香かおり言ごと
僕ぼくは逝ゆく、香かおりごと

窓まどを開あければ春はるが来くる。
まだ、花はなは咲さきはしない。
最後さいごの春はるだと、僕ぼくらは知しっている。