不正 歌詞 和泉守兼定,大包平,小竜景光,山姥切国広,南泉一文字,肥前忠広,井伊直弼,吉田松陰,ハリス,徳川斉昭,一橋慶喜,水戸藩士たち,人々 ふりがな付

「なんでこんなことになっちまったのか整理せいりしてみようじゃねえか」
「おう」

本来ほんらいの正ただしい流ながれは…?
正ただしい歴史れきしは…?

「まずは将軍しょうぐん継嗣けいし問題もんだいだ」

十四代じゅうよんだい将軍しょうぐん候補こうほは 紀州きしゅうの徳川とくがわ家茂いえもち そして…

「一橋ひとつばし慶喜よしのぶも候補こうほにあがっていた」

慶喜よしのぶは水戸みと藩はん主しゅ 徳川とくがわ斉昭なりあきの息子むすこ

「だが慶喜よしのぶは後継者こうけいしゃ争あらそいで負まけた」
「なんでだ?」
「その頃ころ、大老たいろうに就任しゅうにんした井伊いい直弼なおすけが…」

君主くんしゅの許ゆるしが出でる前まえに 異国いこくと条約じょうやくを結むすんだ

港みなとをオープンプリーズ!
イエス!
国くにをオープンプリーズ!
イエス!
自由じゆうな貿易ぼうえきプリーズ!
仰おおせのままに

君主くんしゅの許ゆるしもなく調印ちょういん 言語道断ごんごどうだん 許ゆるすまじ
国くにを守まもるためじゃ
どの口くちが言いう?
国くにを思おもってのことじゃ
聞きく耳みみは持もてぬ!
独断専行どくだんせんこう 許ゆるすまじ!

「水戸みと側がわと完全かんぜんに敵対てきたいした井伊いい直弼なおすけは、家茂いえもちを将軍しょうぐんに推おした。その上うえ…」

慶喜よしのぶ派はを弾圧だんあつ
徳川とくがわ斉昭なりあきは蟄居ちっきょに追おい込こまれ
慶喜よしのぶも隠居いんきょさせられた

「幕府ばくふ独裁どくさいけしからん!」
「抗議こうぎ申もうし上あげるぞ!!」
「将軍しょうぐんは 慶喜よしのぶ様さまであるべきだ!」

思想家しそうかや

「尊王攘夷そんのうじょういこそが国くにを守まもるのだ!」

儒学者じゅがくしゃ

「次つぎの将軍しょうぐんは紀州きしゅうと決きまった!反対はんたいする者共ものどもは処断しょだんせよ!!」

この弾圧だんあつこそ
『安政あんせいの大獄たいごく』

「あんせいのたいごくは聞きいたことあるぜ」

粛清しゅくせいの名なの下もと 奪うばわれた命いのち
散ちった憂国ゆうこくの士し

身みはたとひ 武蔵むさしの野辺のべに 朽くちぬとも
留とめ置おきかまし 大和魂やまとだましい

「そして吉田よしだ松陰しょういんも『安政あんせいの大獄たいごく』で殺ころされた」

正ただしい流ながれ
正ただしい歴史れきし

「最もっとも厳きびしい弾圧だんあつを受うけ、井伊いい直弼なおすけへの反発はんぱつが高たかまっていったのは水戸みと藩はんだ」

虐しいたげられた者ものたちよ!
反逆はんぎゃくの時ときが来きた!
我われらこそ 誇ほこり高たかき水戸みとの烈士れっし

立たち上あがれ!

「赤鬼あかおに退治たいじ 恐おそるるに足たらず!」

立たち上あがれ!

彦根ひこね藩はんの行列ぎょうれつを襲撃しゅうげき
名残雪なごりゆきの絨毯じゅうたんを染そめた
井伊いいの赤あかき血ち

この暗殺あんさつこそ
『桜田門外さくらだもんがいの変へん』

「さくらだもんがいのへん…おっさんも…」
「殺ころされる。それが…」

正ただしい流ながれ
正ただしい歴史れきし

「ところが……」

「今いま、この歴史れきしでは……」

吉田よしだ松陰しょういんが
井伊いい直弼なおすけの側近そっきんとなった
それは歪ゆがみ

海うみの向むこう
大おお海原うなばらの先さき
日ひが昇のぼる時ときは近ちかい

共鳴きょうめいし合あう二人ふたり
それは歪ひずみ

正ただシカラザル流ながれ
正ただシカラザル歴史れきし

海うみの向むこう 列強れっきょうに怯ひるまず
対等たいとうに渡わたり合あうため
手てを取と…
交まじわらない
道みちが交まじわり
落おとすはずの
命いのちが続つづく

「弾圧だんあつも敵対てきたいも起おきなかったこの歴史れきしで、井伊いい直弼なおすけは慶喜よしのぶを支持しじした」

ああ…
それは歪ゆがみ
日出ひいづる国くによ

「結果けっか、徳川とくがわ慶喜よしのぶが第だい十四じゅうよん代だい将軍しょうぐんになっちまった」

ああ…
それは歪ひずみ
明あかるき未来みらいよ
ああ…ああ…

『安政あんせいの大獄たいごく』も
『桜田門外さくらだもんがいの変へん』も
起おきない
起おきることはない

正ただシカラザル流ながれ
正ただシカラザル歴史れきし