よみ:なんそうさとみはっけんでん
南総里見八犬伝 歌詞
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篭手切江,豊前江,桑名江,松井江,五月雨江,村雲江,水心子正秀
- 2024.8.21 リリース
- 作詞
- 浅井さやか(One on One)
- 作曲
- YOSHIZUMI
- 編曲
- YOSHIZUMI
友情
感動
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元気
結果
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「江戸時代えどじだい後期こうきに曲亭馬琴きょくていばきんによって書かかれた長編小説ちょうへんしょうせつ……」
『南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでん』
「昔々むかしむかし、実みのり豊ゆたかな安房あわの土地とちを狙ねらう一人ひとりの魔女まじょがおりました」
その名なは玉梓たまずさ
「里見義実さとみよしざねが治おさめる国くにを我わがものにしようと企たくらんだ玉梓たまずさでしたが、捕とらえられてしまいます。
処刑しょけいされんとするまさにその時とき……」
涙なみだに濡ぬれた美うつくしき魔女まじょ
「『風かぜひとつ吹ふけば散ちらされそうな、か弱よわきこの身みで一体いったい何なにができましょう?
里見さとみの殿とのよ。本当ほんとうに妾わらわが国くにを乗のっ取とろうとしたとお思おもいですか…?』」
涙なみだに濡ぬれた美うつくしき瞳ひとみ
「息いきを呑のむ義実よしざね」
「『…これほど美うつくしい者ものが、謀反むほんの罪つみを犯おかすものだろうか…』」
「心こころを奪うばわれた義実よしざねは、処刑しょけいを取とりやめようとしました」
「『か弱よわき者ものを殺ころすのは、どうかと思おもう。…命いのちだけは許ゆるそう』」
「『…嗚呼ああ!ありがとうございます…。里見さとみの殿との』」
「だが…」
騙だまされてはなりませぬ!玉梓たまずさは悪あしき魔女まじょ
「家来けらいの一声ひとこえで我われに返かえった義実よしざね」
「『そうであった。…この者ものは心こころ操あやつる怪あやしき魔女まじょ。今いますぐ死刑しけいにせよ!』」
途端とたんに美うつくしき顔かおは 歪ゆがみ崩くずれた
「『その口くちから一度ひとたびこぼれ落おちた赦ゆるしの言葉ことばが、
まだ妾わらわの耳みみに残のこっている内うちに、再ふたたび同おなじ口くちから吐はき出だされた容赦ようしゃなき宣告せんこく…。
妾わらわの命いのちをもてあそぶとは……おのれ里見義実さとみよしざね、許ゆるすまじ…!』」
「『ええい黙だまれ!』」
「『待まて!』」
「『待まて!』」
「『覚悟かくご!』」
呪のろってやろう 里見さとみに関かかわる者ものみな
滅ほろびよ 犬いぬになれ
滅ほろびよ 犬いぬになれ
「……呪のろいの言葉ことばを残のこし、玉梓たまずさの首くびは何処どこへと消きえてゆきました」
「……翌年よくねんの夏なつに生うまれた義実よしざねの娘むすめは、それはそれは美うつくしい姫君ひめぎみに育そだちました」
その名なは伏ふせ姫ひめ
「伏ふせ姫ひめの首くびには、八やっつの大おおきな珠たまがついた数珠じゅずが掛かけられておりました。
それは、幼おさなき頃ころに不思議ふしぎな老人ろうじんから譲ゆずり受うけたもの」
「『この八やっつの珠たまは、里見さとみの国くにを守まもるであろう』」
「そして、伏ふせ姫ひめのそばにはいつも、八房やつふさという名なの大おおきな犬いぬがおりました」
「『ワン!』」
そのからだのあちこちには
牡丹ぼたん柄がらのぶち 八やっつ
「……隣国りんこくとの激はげしい戦たたかいが続つづき、里見さとみの国くには窮地きゅうちに立たたされておりました。そんな折おり、義実よしざねは八房やつふさに冗談じょうだんをこぼします」
「『なあ八房やつふさ。……お前まえが敵将てきしょうを食くい殺ころせば、皆みなが助たすかるぞ。褒美ほうびに魚さかなの肉にくでもやろう』」
「『くぅーん』……」
「『ははは。魚さかなの肉にくでは不服ふふくと見みえる。ならば何なにを与あたえようか。身分みぶんも領地りょうちも欲ほしがるようには思おもえぬ。
…そうじゃ。お前まえの大好だいすきな伏ふせ姫ひめをやろう』」
「……それは、誠まことに悪わるい冗談じょうだんでございました」
「『わおぉぉーーーん』……」
その夜よる 敵陣てきじんが何故なぜか 総崩そうくずれ
八房やつふさが咥くわえてきた生首なまくび……
「それはまさしく、敵将てきしょうの首くびだったのです。……約束やくそく通どおり、伏ふせ姫ひめは八房やつふさの嫁よめとなりました」
「山やまの奥おくで八房やつふさと共ともにひっそりと暮くらす伏ふせ姫ひめ。…そこに一人ひとりの武士ぶしがやってきました」
「『あの犬いぬがいる限かぎり、姫ひめ様さまは里見さとみの国くにに戻もどって来こられぬ…』」
『なんとしても伏ふせ姫ひめ様さまを』
『とり戻もどす!』
「『覚悟かくご―!』」
放はなたれた弾丸だんがんは
見事みごと八房やつふさを捉とらえた
「しかし…」
嗚呼ああ…
嗚呼ああ…
「弾丸だんがんは八房やつふさを貫通かんつうし、伏ふせ姫ひめの右胸みぎむねに当あたってしまったのです」
倒たおれる伏ふせ姫ひめ
「『姫ひめ様さま!』」
「駆かけ寄よった武士ぶしの腕うでの中なかで、伏ふせ姫ひめはもう虫むしの息いき」
「『しっかりしてください!伏ふせ姫ひめ様さま!』」
「実じつはその武士ぶしは、伏ふせ姫ひめの愛あいした許嫁いいなずけでございました」
立たちこめる 黒くろい霧きり
浮うかび上あがる 血走ちばしった目め
真まっ赤かに 裂さけた口くち
その口くちが語かたる
『滅ほろびよ 犬いぬになれ』
『呪のろいはまだ続つづく』
「最期さいごの力ちからを振ふり絞しぼって、伏ふせ姫ひめは叫さけびました」
「『決けっして呪のろいに負まけません。……八犬士はっけんしよ、来きたれ!!』」
切きり裂さくような光ひかり
伏ふせ姫ひめの数珠じゅずから弾はじかれた
八やっつの珠たま
黒くろい霧きりを消けしてゆく
『南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでん』
「昔々むかしむかし、実みのり豊ゆたかな安房あわの土地とちを狙ねらう一人ひとりの魔女まじょがおりました」
その名なは玉梓たまずさ
「里見義実さとみよしざねが治おさめる国くにを我わがものにしようと企たくらんだ玉梓たまずさでしたが、捕とらえられてしまいます。
処刑しょけいされんとするまさにその時とき……」
涙なみだに濡ぬれた美うつくしき魔女まじょ
「『風かぜひとつ吹ふけば散ちらされそうな、か弱よわきこの身みで一体いったい何なにができましょう?
里見さとみの殿とのよ。本当ほんとうに妾わらわが国くにを乗のっ取とろうとしたとお思おもいですか…?』」
涙なみだに濡ぬれた美うつくしき瞳ひとみ
「息いきを呑のむ義実よしざね」
「『…これほど美うつくしい者ものが、謀反むほんの罪つみを犯おかすものだろうか…』」
「心こころを奪うばわれた義実よしざねは、処刑しょけいを取とりやめようとしました」
「『か弱よわき者ものを殺ころすのは、どうかと思おもう。…命いのちだけは許ゆるそう』」
「『…嗚呼ああ!ありがとうございます…。里見さとみの殿との』」
「だが…」
騙だまされてはなりませぬ!玉梓たまずさは悪あしき魔女まじょ
「家来けらいの一声ひとこえで我われに返かえった義実よしざね」
「『そうであった。…この者ものは心こころ操あやつる怪あやしき魔女まじょ。今いますぐ死刑しけいにせよ!』」
途端とたんに美うつくしき顔かおは 歪ゆがみ崩くずれた
「『その口くちから一度ひとたびこぼれ落おちた赦ゆるしの言葉ことばが、
まだ妾わらわの耳みみに残のこっている内うちに、再ふたたび同おなじ口くちから吐はき出だされた容赦ようしゃなき宣告せんこく…。
妾わらわの命いのちをもてあそぶとは……おのれ里見義実さとみよしざね、許ゆるすまじ…!』」
「『ええい黙だまれ!』」
「『待まて!』」
「『待まて!』」
「『覚悟かくご!』」
呪のろってやろう 里見さとみに関かかわる者ものみな
滅ほろびよ 犬いぬになれ
滅ほろびよ 犬いぬになれ
「……呪のろいの言葉ことばを残のこし、玉梓たまずさの首くびは何処どこへと消きえてゆきました」
「……翌年よくねんの夏なつに生うまれた義実よしざねの娘むすめは、それはそれは美うつくしい姫君ひめぎみに育そだちました」
その名なは伏ふせ姫ひめ
「伏ふせ姫ひめの首くびには、八やっつの大おおきな珠たまがついた数珠じゅずが掛かけられておりました。
それは、幼おさなき頃ころに不思議ふしぎな老人ろうじんから譲ゆずり受うけたもの」
「『この八やっつの珠たまは、里見さとみの国くにを守まもるであろう』」
「そして、伏ふせ姫ひめのそばにはいつも、八房やつふさという名なの大おおきな犬いぬがおりました」
「『ワン!』」
そのからだのあちこちには
牡丹ぼたん柄がらのぶち 八やっつ
「……隣国りんこくとの激はげしい戦たたかいが続つづき、里見さとみの国くには窮地きゅうちに立たたされておりました。そんな折おり、義実よしざねは八房やつふさに冗談じょうだんをこぼします」
「『なあ八房やつふさ。……お前まえが敵将てきしょうを食くい殺ころせば、皆みなが助たすかるぞ。褒美ほうびに魚さかなの肉にくでもやろう』」
「『くぅーん』……」
「『ははは。魚さかなの肉にくでは不服ふふくと見みえる。ならば何なにを与あたえようか。身分みぶんも領地りょうちも欲ほしがるようには思おもえぬ。
…そうじゃ。お前まえの大好だいすきな伏ふせ姫ひめをやろう』」
「……それは、誠まことに悪わるい冗談じょうだんでございました」
「『わおぉぉーーーん』……」
その夜よる 敵陣てきじんが何故なぜか 総崩そうくずれ
八房やつふさが咥くわえてきた生首なまくび……
「それはまさしく、敵将てきしょうの首くびだったのです。……約束やくそく通どおり、伏ふせ姫ひめは八房やつふさの嫁よめとなりました」
「山やまの奥おくで八房やつふさと共ともにひっそりと暮くらす伏ふせ姫ひめ。…そこに一人ひとりの武士ぶしがやってきました」
「『あの犬いぬがいる限かぎり、姫ひめ様さまは里見さとみの国くにに戻もどって来こられぬ…』」
『なんとしても伏ふせ姫ひめ様さまを』
『とり戻もどす!』
「『覚悟かくご―!』」
放はなたれた弾丸だんがんは
見事みごと八房やつふさを捉とらえた
「しかし…」
嗚呼ああ…
嗚呼ああ…
「弾丸だんがんは八房やつふさを貫通かんつうし、伏ふせ姫ひめの右胸みぎむねに当あたってしまったのです」
倒たおれる伏ふせ姫ひめ
「『姫ひめ様さま!』」
「駆かけ寄よった武士ぶしの腕うでの中なかで、伏ふせ姫ひめはもう虫むしの息いき」
「『しっかりしてください!伏ふせ姫ひめ様さま!』」
「実じつはその武士ぶしは、伏ふせ姫ひめの愛あいした許嫁いいなずけでございました」
立たちこめる 黒くろい霧きり
浮うかび上あがる 血走ちばしった目め
真まっ赤かに 裂さけた口くち
その口くちが語かたる
『滅ほろびよ 犬いぬになれ』
『呪のろいはまだ続つづく』
「最期さいごの力ちからを振ふり絞しぼって、伏ふせ姫ひめは叫さけびました」
「『決けっして呪のろいに負まけません。……八犬士はっけんしよ、来きたれ!!』」
切きり裂さくような光ひかり
伏ふせ姫ひめの数珠じゅずから弾はじかれた
八やっつの珠たま
黒くろい霧きりを消けしてゆく