誰だれが知しるやら 知しらぬやら
遠とおい昔むかしの 忘わすれ唄うた
海うみは何なんにも 語かたらぬが
あら風かぜが吹ふきゃ きこえる女工じょこう節ぶし
……あなた様さま、流氷りゅうひょうをご存知ぞんじでございますか。
あの海うみの彼方かなたの島々しまじまに、昔むかしはどっさりと、
かんづめ工場こうじょうがあったそうでございます。
そうして、寒さむい海渡うみわたって働はたらきに行いった女おんなたちが、
淋さびしさも、つらさも、この歌うたひとつに託たくして
生いきていたと聞きいております。
女工じょこう節ぶし唄うたうと、私わたしのような女おんなの胸むねにも、
流氷りゅうひょうの音おとが、
きこえて来くるのでございますよ……。
故郷ふるさとはなれて 来きておれば
文ふみの来くるのを 待まつばかり
たった一度いちどの 便たより船ぶね
あら今日きょうもまた 来くるやら来こないやら
かんづめ工場こうじょうに 二度にど来くる者ものは
親おやのない子こか 片親かたおや育そだち
親おやは草葉くさばの 陰かげで泣なく
あら私わたしゃ工場こうじょうの すみで泣なく
補作詞:杉紀彦
誰dareがga知shiるやらruyara 知shiらぬやらranuyara
遠tooいi昔mukashiのno 忘wasuれre唄uta
海umiはha何nanにもnimo 語kataらぬがranuga
あらara風kazeがga吹fuきゃkya きこえるkikoeru女工jokou節bushi
……あなたanata様sama、流氷ryuuhyouをごwogo存知zonjiでございますかdegozaimasuka。
あのano海umiのno彼方kanataのno島々shimajimaにni、昔mukashiはどっさりとhadossarito、
かんづめkandume工場koujouがあったそうでございますgaattasoudegozaimasu。
そうしてsoushite、寒samuいi海渡umiwataってtte働hataraきにkini行iったtta女onnaたちがtachiga、
淋sabiしさもshisamo、つらさもtsurasamo、このkono歌utaひとつにhitotsuni託takuしてshite
生iきていたとkiteitato聞kiいておりますiteorimasu。
女工jokou節bushi唄utaうとuto、私watashiのようなnoyouna女onnaのno胸muneにもnimo、
流氷ryuuhyouのno音otoがga、
きこえてkikoete来kuるのでございますよrunodegozaimasuyo……。
故郷furusatoはなれてhanarete 来kiておればteoreba
文fumiのno来kuるのをrunowo 待maつばかりtsubakari
たったtatta一度ichidoのno 便tayoりri船bune
あらara今日kyouもまたmomata 来kuるやらruyara来koないやらnaiyara
かんづめkandume工場koujouにni 二度nido来kuるru者monoはha
親oyaのないnonai子koかka 片親kataoya育sodaちchi
親oyaはha草葉kusabaのno 陰kageでde泣naくku
あらara私watashiゃxya工場koujouのno すみでsumide泣naくku
補作詞:杉紀彦