歌謡芝居 講談語り「藍染の高尾」 歌詞 真木柚布子 ふりがな付

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よみ:かようしばい こうだんかたり「あいぞめのたかお」

歌謡芝居 講談語り「藍染の高尾」 歌詞

真木柚布子

2020.4.22 リリース
作詞
中嶋年張
作曲
弦哲也
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江戸えどからとおはなれた 青森あおもり日本にほん海沿かいぞいのさむきびしくまずしいいえまれたおゆき

せめてすこしでもしあわせがくるようにと「しあわせ」といて「ゆき」と名付なづけられました。
それが あの吉原よしわら随一ずいいちわれた高尾たかお大夫たゆうちのはじまりでございます。

扶持ぶちかせぐのはまえうみるしかない土地柄とちがら
いちねんとお必死ひっしはたらいたところでうにこまるのですから
おさないおゆきにはけっしてちいさなひかりさええるものではございません。
そんなおゆき自分じぶん境遇きょうぐうさとってかまずしさにえながら
見様見真似みようみまね必死ひっし三味線しゃみせんおぼえ、
おさないながら生涯しょうがいをかけるおもいで 両親りょうしんわかれをげたのでございます。

「ねえ…おど! おが!おらぁ ここる…
そうすりゃおどもおがもたすかんだべ…
なんとか三味線しゃみせんけるようになった。
江戸えどればはたらさきもあるかもしんねえ…
おが~ どうしたな~…かねでけろ…
ゆきわらってくはんで…ねえ…おが…わらってけろ」

ふゆさむさはつらかろう…うみあらさもくるしかろう…
芽吹めぶかぬはたけじゃさきがない、おさないこのえるなら せんひとつのしあわせを…
そんな両親りょうしん苦渋くじゅう選択せんたくもあって おゆききびしいふゆこと出来でき
今生こんじょうわかれで、吹雪ふぶきされ とうげえて青森あおもりあとにしたのでございます。

おさなくしてつらかなしいわかれをしたおゆきでございますが、江戸えど辿たどいてからは
ってまれたしんつよさと おさなくしてけた三味線しゃみせんうた
そしてあと置屋おきやあずかりとして仕込しこまれたおどりも手伝てつだって
なん吉原よしわらいち遊郭ゆうかく 三浦みうら身請みうけされたのでございます。
そしてそれからじゅうねん歳月さいげつ
ゆき吉原よしわら随一ずいいち妓楼ぎろう 三浦みうらだい名跡みょうせき 高尾たかお大夫たゆう名乗なのるようになっておりました。
ただ、純粋じゅんすいこころだけではきてけない吉原よしわらはいりましてからは、
一人ひとり女性じょせいとして、こころのぞまれることもなく、ましてや自分じぶんこころことさえも
ゆるされない日々ひび
そんな高尾たかお大夫たゆうまえに、これまで江戸えどでは出会であったことのない 馬鹿ばかくほどに
正直しょうじききる」というきざまをった久蔵きゅうぞうあらわれたことで、
高尾たかお純粋じゅんすい女心おんなごころ目覚めざめさせてくれることになったのでございます。

花魁おいらん道中どうちゅう高尾たかお大夫たゆう一目ひとめぼれしたもの職人しょくにん紺屋こうや久蔵きゅうぞう
さんねん十両じゅうりょうのおかねめて、やぶ医者いしゃに「あいよ!あいよ!」の言葉ことばだけをおしえられ
にわかのお大尽だいじんゆめにまで高尾たかお大夫たゆう二人ふたりきり!
久蔵きゅうぞうが お大尽だいじん真似まねをして高尾たかお大夫たゆうとの時間じかんぎるなか
遊郭ゆうかくでお約束やくそく言葉ことば大夫たゆうから…

つぎはいつてくんなます~」

それを、をいた久蔵きゅうぞうは、ゆめ一夜いちやおわろうとしているさびしさとともに、
せっかく恋焦こいこがれる高尾たかお大夫たゆうえたのに
いつわりの自分じぶんのままでかえこと出来できない…
正直しょうじきこころかおした久蔵きゅうぞうは、かんきわまってしてしまうのでございます。

「ここにるのにさんねん必死ひっしになっておかねめました。
今度こんどといったらまたさんねん
そのあいだに、大夫たゆう身請みうけでもされたらうことができません。
ですから、これが今生こんじょうわかれなんです…」

「え! い ま なん と…」

大夫たゆう!
ゆるしてください! わたしはただのもの職人しょくにん久蔵きゅうぞうです!
大尽だいじんでもなんでもねえ! こんな似合にあわねえ紋付袴もんつきはかまも、なにからなにまでりもんで
すべ大夫たゆういたくて仕組しくんでもらって…ここにあげてもらったんです!

このください。これが、本当ほんとうわたしです

いたくていたくて 花魁おいらん道中どうちゅう一目ひとめてからいたくて…
一度いちどきりのゆめわってもいいからいたかったんです。
いまいままでうそのお大尽だいじん。でも いまわたし紺屋こうや久蔵きゅうぞう
うそのままで今日きょうわっちまったら、きっと後悔こうかいする。
わたしなか大夫たゆうには こころまでうそとおせねえんです
大夫たゆう もうわけありゃあせん」

ボロボロと大粒おおつぶなみだながしながら、藍色あいいろまった指先ゆびさきをくッとにぎりしめた
それをじろぎひとつせずだまっていている高尾たかおからは、なみだあふ

ほそしろゆびひとつ、ふたつとちていたのでした。
そこには、ついいましがたまで花魁おいらん言葉ことばかたりかけていた高尾たかお大夫たゆうではなく、
傾城けいせいずわりもなおなみだした高尾たかお姿すがたがあったのです。

久蔵きゅうぞうさん… いまのあなたはもの職人しょくにん久蔵きゅうぞうというおひとなんですね!
久蔵きゅうぞうさん…かおをあげてください!
ありがとう… うそわればなみだもいらなかったものを…
大名だいみょうかざ道具どうぐとまでわれるわたし
そこまでおもってくれるのは本心ほんしんですか…
もしそれが本心ほんしんなら、わたしよめにもらってくれますか…

わたし来年らいねんがつ十五じゅうごにち年季ねんきがあけます。
あなたがゆるしてくれるなら年季ねんきけたらあなたのもとへまいります。

うそがまかりとおるこの世界せかい言葉ことば にわかにはしんじてもらえないでしょう。
でも、わたしうそのない久蔵きゅうぞうさんをしんじます。
ですからわたし言葉ことばしんじてください。」

かくしたこころてたはず
今更いまさら素顔すがおに なれようか
ゆめだけいて きなんし
うそわれば いものを
けばなみだが あふれ
一人ひとりおんなもどります

さてこのはなしが、二人ふたりだけのかた約束やくそくとして
だれにもられなければかったのですが、
よくよくかんがえてみますと、間近まぢかことさえできない高尾たかお大夫たゆう
紺屋こうや職人しょくにんむすびつくわけもなく、
ゆめすぎてへんになった職人しょくにんの、面白可笑おもしろおかしい滑稽こっけいばなしとしてほんのひとときのわらばなしになってしまったのです。
ただ、ただ その程度ていどはなしではまなかったのが、
遊郭ゆうかく三浦みうら女将おかみでございました。

大夫たゆう どうことだい!
年季ねんきけたら紺屋こうやとつぐってうわさになってるそうじゃないか!
そんなうわさっちまったら、高尾たかお大夫たゆう名前なまえきずがつくってもんだ。
おまけに尾鰭おひれがついて、三浦みうらがそんなことゆるしたってことになりゃ
吉原よしわらじゅうわらいもんになるんだよ!
大夫たゆうはそこいらの花魁おいらんとはちがうんだ 三浦みうら高尾たかお大夫たゆうなんだよ!
それに紺屋こうやよめになれば仕事しごと手伝てつだうようになる。そして指先ゆびさき藍色あいいろまってしまう。
大夫たゆうおんなとして、そのれて人前ひとまえせなくなってしまう覚悟かくごがあるのかい…」

そんな女将おかみ言葉ことば高尾たかお
あるとき 下働したばたらきのおとこたのみ、藍染あいぞめの染料せんりょうおけ手配てはいさせそのしろゆびあいめたのです。

紺屋こうやのその藍色あいいろ
めゆくものなら いますぐと
覚悟かくごだれめられぬ
煙管きせる指先ゆびさき
あつ化粧けしょうの そのした
うっすら染屋そめやいろになる

しかし、いくらだれ反対はんたいいたしましても、ときはやってまいります。
月日つきひながれ、とうとう年季ねんきけるがつ十五じゅうごにち

たせたおひとくします
すべてをゆだねた 藍染あいぞめ
高尾たかおって くれなんし
いまのうちから すこしづつ
うそ言葉ことば染直そめなお
けのそのに まいります

遊郭ゆうかく 三浦みうらうらにはひっそりといっちょう駕籠かご
そして、花魁おいらん化粧げしょうとしたおゆき
しろ着物きものにまとい駕籠かごる!
それは絢爛豪華けんらんごうか花魁おいらん道中どうちゅうではなく、
たった一人ひとりおんなとしてのとつみち

さて、高尾たかおとつぎましたそのあとはともうしますと、
二人ふたり子供こどもたなかった親方おやかた夫婦ふうふ養子ようしとなってあとぎ、
さんにん子供こどもにもめぐまれ、
高尾たかお染物そめものつまとして八十はちじゅうあまりまでき、久蔵きゅうぞうみせおおいに繁盛はんじょうしたということでございます。

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曲名:歌謡芝居 講談語り「藍染の高尾」 歌手:真木柚布子