ほろろ ほろほろ あの鳩はとは
今いまも昔むかしも 山やまの唄うた
若わかいあの日ひの あなたは何処どこに
月つきの荒野こうやか 海うみの果はて
「あなた…あなたは
何処どこでお聞ききになっていらっしゃるかしら
今日きょうは朝あさから山鳩やまばとが啼ないているんですよ。
小ちいさい子こどもたちを連つれて
あなたをお送おくりしたあの日ひと、
まるで同おなじように」
経たてば短みじかい 十年じゅうねんは
夢ゆめの浮世うきよの 破やぶれ傘がさ
荒あれた両手りょうてに 頬ほおすりよせて
父ちちの無ない子こと 泣なきました
「子こどもたちは立派りっぱに成人せいじんしてくれました。
ありがたいと思おもっています。
悲かなしい戦争せんそうの思おもい出でも、
もう遠とおいことなんですね。
あなた、安心あんしんなさって下くださいね。
母ははひとり子こども三人さんにん、力ちからを合あわせて
みんなで幸福こうふくになって参まいりますわ」
母ははと呼よばれて ひとすじを
強つよく生いきたも あなたゆえ
紅べにも忘わすれた 悲かなしい妻つまに
やがて 希望きぼうの夜明よあけです
ほろろhororo ほろほろhorohoro あのano鳩hatoはha
今imaもmo昔mukashiもmo 山yamaのno唄uta
若wakaいあのiano日hiのno あなたはanataha何処dokoにni
月tsukiのno荒野kouyaかka 海umiのno果haてte
「あなたanata…あなたはanataha
何処dokoでおdeo聞kiきになっていらっしゃるかしらkininatteirassyarukashira
今日kyouはha朝asaからkara山鳩yamabatoがga啼naいているんですよiteirundesuyo。
小chiiさいsai子koどもたちをdomotachiwo連tsuれてrete
あなたをおanatawoo送okuりしたあのrishitaano日hiとto、
まるでmarude同onaじようにjiyouni」
経taてばteba短mijikaいi 十年juunenはha
夢yumeのno浮世ukiyoのno 破yabuれre傘gasa
荒aれたreta両手ryouteにni 頬hooすりよせてsuriyosete
父chichiのno無naいi子koとto 泣naきましたkimashita
「子koどもたちはdomotachiha立派rippaにni成人seijinしてくれましたshitekuremashita。
ありがたいとarigataito思omoっていますtteimasu。
悲kanaしいshii戦争sensouのno思omoいi出deもmo、
もうmou遠tooいことなんですねikotonandesune。
あなたanata、安心anshinなさってnasatte下kudaさいねsaine。
母hahaひとりhitori子koどもdomo三人sannin、力chikaraをwo合aわせてwasete
みんなでminnade幸福koufukuになってninatte参maiりますわrimasuwa」
母hahaとto呼yoばれてbarete ひとすじをhitosujiwo
強tsuyoくku生iきたもkitamo あなたゆえanatayue
紅beniもmo忘wasuれたreta 悲kanaしいshii妻tsumaにni
やがてyagate 希望kibouのno夜明yoaけですkedesu