花はながやさしい 小ちいさな花はなが
むごい きびしい 浮世うきよの風かぜも
こらえ こらえて きれいに咲さけと
そっと 教おしえてくれた人ひと
今日きょうも 呼よばれた そんな気きで
ふりむけば ああ 夕陽ゆうひ
「お嬢じょうさん、お忘わすれでござんすか。
子供こどもの頃ころ…お店みせで丁稚でっち奉公ぼうこうをしておりやした半次郎はんじろうでごぜえやす。
…お嬢じょうさん、どうか、どうか自分じぶんで自分じぶんを捨すてねえでおくんなせえ。
捨すてたら、おしめえだ。沈しずむ夕陽ゆうひが明日あしたは朝陽あさひになって昇のぼってくる
…お嬢じょうさん、どうかその朝陽あさひになっておくんなせえ。」
花はなが恋こいしい 故郷こきょうの花はなが
生うまれぞこない 泣なき虫むし坊主ぼうず
そんなおいらの 涙なみだを拭ふいた
白しろい 花はなびら 細ほそい指ゆび
遠とおいあの日ひに帰かえりたい
ふりむけば ああ 夕陽ゆうひ
「お嬢じょうさん、お嬢じょうさん、しっかりしておくんなせえ!
お嬢じょうさん、お嬢じょうさん、
こんなところで、こんなところで死しんじまったんじゃ私わたしは、
私わたしはこれから一体いったいどうすりゃいいんでござんすか。私わたしは、
ねぇお嬢じょうさん…お嬢じょうさん
私わたしと一緒いっしょに行いきましょうね。誰だれもいねぇところへ行いきやしょうね。
どこ迄までも…どこ迄までも一緒いっしょでござんすよ。」
花はなが悲かなしい いのちの花はなが
たった ひとりで ほろりと散ちった
せめて 見果みはてぬ 夢ゆめ追おいながら
旅たびでござんす 半次郎はんじろう
燃もえて 流ながれる 雲くもふたつ
ふりむけば ああ 夕陽ゆうひ
花hanaがやさしいgayasashii 小chiiさなsana花hanaがga
むごいmugoi きびしいkibishii 浮世ukiyoのno風kazeもmo
こらえkorae こらえてkoraete きれいにkireini咲saけとketo
そっとsotto 教oshiえてくれたetekureta人hito
今日kyouもmo 呼yoばれたbareta そんなsonna気kiでde
ふりむけばfurimukeba ああaa 夕陽yuuhi
「おo嬢jouさんsan、おo忘wasuれでござんすかredegozansuka。
子供kodomoのno頃koro…おo店miseでde丁稚detchi奉公boukouをしておりやしたwoshiteoriyashita半次郎hanjirouでごぜえやすdegozeeyasu。
…おo嬢jouさんsan、どうかdouka、どうかdouka自分jibunでde自分jibunをwo捨suてねえでおくんなせえteneedeokunnasee。
捨suてたらtetara、おしめえだoshimeeda。沈shizuむmu夕陽yuuhiがga明日ashitaはha朝陽asahiになってninatte昇noboってくるttekuru
…おo嬢jouさんsan、どうかそのdoukasono朝陽asahiになっておくんなせえninatteokunnasee。」
花hanaがga恋koiしいshii 故郷kokyouのno花hanaがga
生uまれぞこないmarezokonai 泣naきki虫mushi坊主bouzu
そんなおいらのsonnaoirano 涙namidaをwo拭fuいたita
白shiroいi 花hanaびらbira 細hosoいi指yubi
遠tooいあのiano日hiにni帰kaeりたいritai
ふりむけばfurimukeba ああaa 夕陽yuuhi
「おo嬢jouさんsan、おo嬢jouさんsan、しっかりしておくんなせえshikkarishiteokunnasee!
おo嬢jouさんsan、おo嬢jouさんsan、
こんなところでkonnatokorode、こんなところでkonnatokorode死shiんじまったんじゃnjimattanja私watashiはha、
私watashiはこれからhakorekara一体ittaiどうすりゃいいんでござんすかdousuryaiindegozansuka。私watashiはha、
ねぇおneeo嬢jouさんsan…おo嬢jouさんsan
私watashiとto一緒issyoにni行iきましょうねkimasyoune。誰dareもいねぇところへmoineetokorohe行iきやしょうねkiyasyoune。
どこdoko迄madeもmo…どこdoko迄madeもmo一緒issyoでござんすよdegozansuyo。」
花hanaがga悲kanaしいshii いのちのinochino花hanaがga
たったtatta ひとりでhitoride ほろりとhororito散chiったtta
せめてsemete 見果mihaてぬtenu 夢yume追oいながらinagara
旅tabiでござんすdegozansu 半次郎hanjirou
燃moえてete 流nagaれるreru 雲kumoふたつfutatsu
ふりむけばfurimukeba ああaa 夕陽yuuhi