義理ぎりの重おもたさ 背せにしょって
流ながれ道中どうちゅう 子連こづれ旅たび
一いち夜泊よどまりの 草鞋わらじをぬぐも
なにかのご縁えん
無理むりを承知しょうちで たのみます
どうか どうか どうかこの子この
親おやがわり
「手前てまえ‥呼よび名なは関せきの弥太やたっぺと申もうします おかみさん
理由わけは聞きかずにこの子こを預あずかっちゃもらえませんか
きっと迎むかえに参まいります 喧嘩けんか渡世とせいのこの身みでは
幼おさな子ごを刃はくぐりの巻まき添ぞえには出来できません
身勝手みがってなお願ねがいではござんすがよろしゅうお頼らい申もうします」
昇のぼる朝日あさひに 手てを合あわせ
沈しずむ夕日ゆうひに また祈いのる
無事ぶじでいるやら 辛つらくはないか
しあわせなのか
気きにはしてたが 長ながの旅たび
やっと やっと やっと戻もどりの
甲州こうしゅう路じ
「早はやいもんだなァ‥あれから七なな年ねん 逢あってむかし話ばなしをしたら
あの子こに悲かなしい思おもいをさせるだけだ‥
云いいたい事ことも聞ききたい事ことも山やまほどある
逢あえば泣なけて来きてなにも云いえないだろう
ただ一目ひとめだけ大おおきくなったお小夜さよを見みたら
土産みやげに買かったこのかんざしを置おいて立たち去さろう
それでいゝ それでいゝ それだけでいゝんだ‥」
可愛かわいがられて 育そだてられ
嫁よめに行いく日ひも 近ちかいとか
どんな親おやでも 命いのちをわけた
親おやなら子こなら
せめても一度いちど 逢あいたかろう
関せきの 関せきの 関せきの弥太やたっぺ
男泣おとこなき
義理giriのno重omoたさtasa 背seにしょってnisyotte
流nagaれre道中douchuu 子連koduれre旅tabi
一ichi夜泊yodomaりのrino 草鞋warajiをぬぐもwonugumo
なにかのごnanikanogo縁en
無理muriをwo承知syouchiでde たのみますtanomimasu
どうかdouka どうかdouka どうかこのdoukakono子koのno
親oyaがわりgawari
「手前temae‥呼yoびbi名naはha関sekiのno弥太yataっぺとppeto申mouしますshimasu おかみさんokamisan
理由wakeはha聞kiかずにこのkazunikono子koをwo預azuかっちゃもらえませんかkatchamoraemasenka
きっとkitto迎mukaえにeni参maiりますrimasu 喧嘩kenka渡世toseiのこのnokono身miではdeha
幼osaなna子goをwo刃haくぐりのkugurino巻maきki添zoえにはeniha出来dekiませんmasen
身勝手migatteなおnao願negaいではござんすがよろしゅうおidehagozansugayorosyuuo頼rai申mouしますshimasu」
昇noboるru朝日asahiにni 手teをwo合aわせwase
沈shizuむmu夕日yuuhiにni またmata祈inoるru
無事bujiでいるやらdeiruyara 辛tsuraくはないかkuhanaika
しあわせなのかshiawasenanoka
気kiにはしてたがnihashitetaga 長nagaのno旅tabi
やっとyatto やっとyatto やっとyatto戻modoりのrino
甲州kousyuu路ji
「早hayaいもんだなimondanaァa‥あれからarekara七nana年nen 逢aってむかしttemukashi話banashiをしたらwoshitara
あのano子koにni悲kanaしいshii思omoいをさせるだけだiwosaserudakeda‥
云iいたいitai事kotoもmo聞kiきたいkitai事kotoもmo山yamaほどあるhodoaru
逢aえばeba泣naけてkete来kiてなにもtenanimo云iえないだろうenaidarou
ただtada一目hitomeだけdake大ooきくなったおkikunattao小夜sayoをwo見miたらtara
土産miyageにni買kaったこのかんざしをttakonokanzashiwo置oいてite立taちchi去saろうrou
それでいsoredeiゝ それでいsoredeiゝ それだけでいsoredakedeiゝんだnda‥」
可愛kawaいがられてigararete 育sodaてられterare
嫁yomeにni行iくku日hiもmo 近chikaいとかitoka
どんなdonna親oyaでもdemo 命inochiをわけたwowaketa
親oyaならnara子koならnara
せめてもsemetemo一度ichido 逢aいたかろうitakarou
関sekiのno 関sekiのno 関sekiのno弥太yataっぺppe
男泣otokonaきki