沓掛時次郎 歌詞 島津亜矢 ふりがな付

意地いじの筋金すじがね 一本いっぽん通どおし
義理ぎりと仁義じんぎの 道みちを行いく
やむにやまれず 長脇差ながわきざしを
抜ぬけば仏ほとけが また増ふえる
片手かたて拝おがみの 片手かたて拝おがみの 時次郎ときじろう

「渡世とせいの道みちは無情むじょうなものでございます
一宿一飯いっしゅくいっぱんの恩義おんぎから
おきぬさんの大事だいじなご亭主ていしゅの命いのちを奪うばい
太郎吉たろきちを父無ちちなしっ子こにさせちまった
詫わびてすむことじゃござんせんが
これからは 二人ふたりの身みを守まもることが
この時次郎ときじろうの
せめてもの罪つみほろぼしで ございます

追おわれ鴉がらすが 流ながれて着ついた
風かぜの熊谷くまがや 仮かりの宿やど
残のこるこの子こが 不憫ふびんなら
死しんじゃいけねえ おきぬさん
涙なみだこらえる 涙なみだこらえる 時次郎ときじろう

「泣なくんじゃねえ 太郎吉たろきち おっかさんは
天国てんごくの父ちちのところへ行いってしまったんだ
死しんだおきぬさんの夢ゆめでも見みたのか
目めから うっすらと 涙なみだがにじんでる
太郎吉たろきちどうか おきぬさん天国てんごくで見守みまもってやって
おくんなせぇ
三人さんにんで川かわの字じに寝ねた夜よるを
思おもい出だしておりやす」

生うまれ故郷こきょうの 浅間あさまをしのび
唄うたう追分おいわけ 子守唄こもりうた
笠かさと合羽かっぱを 投なげ捨すてて
堅気かたぎ姿すがたで 戻もどりたい
男おとこ 沓掛くつがけ 男おとこ 沓掛くつがけ 時次郎ときじろう