日本の昔話「鶴女房」より おつう 歌詞 島津亜矢 ふりがな付

「日本にっぽんに古ふるくから伝つたわる民話みんわ
美うつくしくも哀かなしい鶴つるの物語ものがたりです。」

うれしくて うれしくて
雪ゆきにさまよう この命いのち
助たすけてくれた 恩返おんがえし
羽根はねを千本せんぼん 引ひき抜ぬいて
織おり上あげましょう 千せん羽織はおり
あなた…あなた…
つうはあなたの 女房にょうぼうになりました

「あの雪ゆきの降ふる寒さむい夜よる… あなたは私わたしの胸むねに
食くい込こんだ矢やを抜ぬいて、命いのちを助たすけてくれました。
その恩返おんがえしにあなたの所ところにお嫁よめに来きたのです。
そしてあなたに喜よろこんで貰もらおうと思おもって、
心こころを込こめて一生懸命いっしょうけんめいに布ぬのを織おりました。
貧乏びんぼうでも構かまいません…。私わたしはあなたの側そばにいたいのです。だからお願ねがいです…。
私わたしから離はなれないで…
どこへも行いかないで下ください…。」

せつなくて せつなくて
力ちから 尽つきても 死しのうとも
心こころをこめて 織おりました
違ちがう世界せかいの 人ひとの様ように
冷つめたくなって いかないで
あなた…あなた…
つうはあなたの お側そばで暮くらしたい

「あれほど覗のぞかないでと言いったのに、
あなたは覗のぞきましたね…なぜ見みたのです!
私わたしは以前いぜん、傷きずついた所ところを助たすけていただいた鶴つるです…。
その恩おんに報むくいるために、命いのちを、命いのちをかけて、
心こころを込こめて布ぬのを織おりました…。
でも私わたしの本当ほんとうの姿すがたを見みられては、
もうここに住すむことは出来できないのです。
許ゆるして下ください…私わたしは鶴つるに戻もどります!」

夢ゆめでした 夢ゆめでした
どうぞ機屋はたやを 覗のぞかずに
その約束やくそくは 雪ゆきに散ちる
祈いのり願ねがいも 叶かなわずに
茜あかねに染そまる 空そらの果はて
あなた…あなた…
つうは涙なみだで 昔むかしにもどります

「さようならあなた…私わたしは飛とび立たちます! さようなら…」