月つきは空そらにメダルのやうに、
街角まちかどに建物たてものはオルガンのやうに、
遊あそび疲つかれた男おとこどち唱しょうひながらに帰かえさつてゆく。
―― イカムネ・カラアがまがつてゐる――
その唇くちびるはひらききつて
その心こころは何なにか悲かなしい。
頭あたまが暗くらい土塊つちくれになつて。
ただもうラアラア唱しょうつてゆくのだ。
商用しょうようのことや祖先そせんのことや
忘わすれてゐるといふではないが、
都会とかいの夏なつの夜よるの更こう――
死しんだ火薬かやくと深ふかくして
眼めに外燈がいとうの滲にじみいれば
ただもうラアラア唱しょうつてゆくのだ。
月tsukiはha空soraにniメダルmedaruのやうにnoyauni、
街角machikadoにni建物tatemonoはhaオルガンoruganのやうにnoyauni、
遊asoびbi疲tsukaれたreta男otokoどちdochi唱syouひながらにhinagarani帰kaesaつてゆくtsuteyuku。
―― イカムネikamune・カラアkaraaがまがつてゐるgamagatsutewyiru――
そのsono唇kuchibiruはひらききつてhahirakikitsute
そのsono心kokoroはha何naniかka悲kanaしいshii。
頭atamaがga暗kuraいi土塊tsuchikureになつてninatsute。
ただもうtadamouラアラアraaraa唱syouつてゆくのだtsuteyukunoda。
商用syouyouのことやnokotoya祖先sosenのことやnokotoya
忘wasuれてゐるといふではないがretewyirutoifudehanaiga、
都会tokaiのno夏natsuのno夜yoruのno更kou――
死shiんだnda火薬kayakuとto深fukaくしてkushite
眼meにni外燈gaitouのno滲nijiみいればmiireba
ただもうtadamouラアラアraaraa唱syouつてゆくのだtsuteyukunoda。