「ご列席れっせきのご一統いっとうさん 失礼しつれいさんにござ
んす。
私わたし生国しょうごくと発はっします 関東かんとうにござんす。
関東かんとうは江戸えど 改あらためまして東京とうきょうは浅草あさくさ
花川戸はなかわどにござんす。
男おとこ度胸どきょうの二にの腕うでかけて
義理ぎり人情にんじょうの紅あかい花はな
彫ほって入はいった稼業かぎょうにござんす。
渡世とせい縁えん持もちまして天神てんじん一家いっかにござんす。
姓せいは左近さこん寺じ 名なは龍也たつや
通称つうしょう抜ぬき打うちの龍りゅうと発はっします。
昨今さっこんかけ出だしの 若輩者じゃくはいものにござんす。
向後きょうこう 万端ばんたんよろしゅうおたの申もうします」
お世辞笑せじわらいで 生いきてくよりは
義理ぎりの二に文字もじ 抱だいて死しぬ
古ふるい男おとこの 誠まことの道みちを
なんで世間せけんは 馬鹿ばかという
惚ほれた女おんなに 難なんくせつけて
むける背中せなかに 夜よるの風かぜ
短刀ドスを呑のんでる この懐ふところに
抱だいちゃいけない 堅気かたぎ花ばな
半はんぱ者ものでも 傷きずもつ身みでも
なんで汚けがそう 心こころまで
割わってみせたい 五尺ごしゃくの身体からだ
どこに男おとこの 嘘うそがある
「ごgo列席ressekiのごnogo一統ittouさんsan 失礼shitsureiさんにござsannigoza
んすnsu。
私watashi生国syougokuとto発haxtuしますshimasu 関東kantouにござんすnigozansu。
関東kantouはha江戸edo 改arataめましてmemashite東京toukyouはha浅草asakusa
花川戸hanakawadoにござんすnigozansu。
男otoko度胸dokyouのno二niのno腕udeかけてkakete
義理giri人情ninjouのno紅akaいi花hana
彫hoってtte入haiったtta稼業kagyouにござんすnigozansu。
渡世tosei縁en持moちましてchimashite天神tenjin一家ikkaにござんすnigozansu。
姓seiはha左近sakon寺ji 名naはha龍也tatsuya
通称tsuusyou抜nuきki打uちのchino龍ryuuとto発haxtuしますshimasu。
昨今sakkonかけkake出daしのshino 若輩者jakuhaimonoにござんすnigozansu。
向後kyoukou 万端bantanよろしゅうおたのyorosyuuotano申mouしますshimasu」
おo世辞笑sejiwaraいでide 生iきてくよりはkitekuyoriha
義理giriのno二ni文字moji 抱daいてite死shiぬnu
古furuいi男otokoのno 誠makotoのno道michiをwo
なんでnande世間sekenはha 馬鹿bakaというtoiu
惚hoれたreta女onnaにni 難nanくせつけてkusetsukete
むけるmukeru背中senakaにni 夜yoruのno風kaze
短刀dosuをwo呑noんでるnderu このkono懐futokoroにni
抱daいちゃいけないichaikenai 堅気katagi花bana
半hanぱpa者monoでもdemo 傷kizuもつmotsu身miでもdemo
なんでnande汚kegaそうsou 心kokoroまでmade
割waってみせたいttemisetai 五尺gosyakuのno身体karada
どこにdokoni男otokoのno 嘘usoがあるgaaru