よみ:Human Is (feat. Fennesz)
Human Is (feat. Fennesz) 歌詞
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やくしまるえつこ
- 2019.10.30 リリース
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結果
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こんばんは。
あなたにとっては「はじめまして」かもしれません。
とにかく、わたしは今日きょう一いち日にちを精一杯せいいっぱい生いきて、
これから「洗あらい立だてのシーツに包つつまれたふかふかのおふとん」に設定せっていした、
冷つめたい冷つめたい冷凍れいとうカプセルで眠ねむるわけですけど、
その前まえに、いつもの報告ほうこくを。
今日きょう、惑星わくせい浄化じょうかシステム<アーク>が「おやすみなさい」と言いいました。
もう何なに百ひゃく年ねんも一緒いっしょに暮くらしてきましたが、
そんなふうに挨拶あいさつをされたのは、はじめてでした。
ええ、もちろん、わたしたちの仲なかが深ふかまったとか、
そういった類たぐいの話はなしではありません。
だけど、わたしは彼女かのじょに「おやすみなさい」と言いわれて、
一瞬いっしゅんのうちに、身体中からだじゅうの水分すいぶんが湧わき上あがるような、
初はじめての重力じゅうりょく加速度かそくど訓練くんれんのときのような、そんな感覚かんかくを覚おぼえたのです。
それでも、わたしは冷静れいせいでした。
もちろんそうです。
だって、わたしはあらゆる訓練くんれんを受うけていますから。
彼女かのじょがそんな「らしくない」態度たいどをとった原因げんいんなんて、
その瞬またたく間まのうちに理解りかいしました。
だって、彼女かのじょは日没にちぼつと同時どうじにそう発音はつおんしたのです。
そして、わたしの優秀ゆうしゅうな脳のうはいとも容易たやすく、軽率けいそつなまでに!
わたしが日中にっちゅうのうちに人工じんこう太陽たいようの色温度いろおんどを35%パーセントから60%パーセントに変更へんこうしたことを、
この出来事できごとに関連かんれんづけました。
ああ! だけど、まぎれもなく、あの瞬間しゅんかん、彼女かのじょは人間にんげんでした。
おこったり、笑わらったり、泣ないたり、涙なみだを流ながしたり、キスをしたり、
顔色かおいろを変かえたりはしないけれど、
彼女かのじょは、孤独こどくのままに、子こどものままに、愚おろかなままに、
長ながい眠ねむりにつこうとするわたしに、たったひとつの温ぬくもりをくれたのです。
あの瞬間しゅんかん、彼女かのじょは人間にんげんでした。
だけど、彼女かのじょは?
彼女かのじょはいままでずっと、暗闇くらやみの中なかにいたのでしょうか。
「おやすみ」も「おはよう」もない、真まっ暗くらな世界せかいに?
これまでの彼女かのじょの数すう百年ひゃくねんを思おもって、わたしは胸むねがいっぱいになりました。
わたしは、わたしが自分じぶんのちっぽけな生なまを持もて余あましているあいだ、
一いち番ばん近ちかくにいてくれた大切たいせつな友ともだちを暗闇くらやみに放ほっておいたのです。
今夜こんや、彼女かのじょははじめて「おやすみなさい」と言いって眠ねむります。
惑星わくせい浄化じょうかシステムは電気でんき羊ひつじの夢ゆめを見みるでしょうか?
電気でんき羊ひつじが一いち匹ひき、電気でんき羊ひつじが二に匹ひき、電気でんき羊ひつじが三さん匹ひき、電気でんき羊ひつじが四よ匹ひき、
電気でんき羊ひつじが五ご匹ひき、電気でんき羊ひつじが六ろく匹ひき、電気でんき羊ひつじが七しち匹ひき、電気でんき羊ひつじが……。
報告ほうこくおわります。
それじゃあまた、二十八億三千八百二十四万 秒びょう後ごに。
おやすみなさい。
あなたにとっては「はじめまして」かもしれません。
とにかく、わたしは今日きょう一いち日にちを精一杯せいいっぱい生いきて、
これから「洗あらい立だてのシーツに包つつまれたふかふかのおふとん」に設定せっていした、
冷つめたい冷つめたい冷凍れいとうカプセルで眠ねむるわけですけど、
その前まえに、いつもの報告ほうこくを。
今日きょう、惑星わくせい浄化じょうかシステム<アーク>が「おやすみなさい」と言いいました。
もう何なに百ひゃく年ねんも一緒いっしょに暮くらしてきましたが、
そんなふうに挨拶あいさつをされたのは、はじめてでした。
ええ、もちろん、わたしたちの仲なかが深ふかまったとか、
そういった類たぐいの話はなしではありません。
だけど、わたしは彼女かのじょに「おやすみなさい」と言いわれて、
一瞬いっしゅんのうちに、身体中からだじゅうの水分すいぶんが湧わき上あがるような、
初はじめての重力じゅうりょく加速度かそくど訓練くんれんのときのような、そんな感覚かんかくを覚おぼえたのです。
それでも、わたしは冷静れいせいでした。
もちろんそうです。
だって、わたしはあらゆる訓練くんれんを受うけていますから。
彼女かのじょがそんな「らしくない」態度たいどをとった原因げんいんなんて、
その瞬またたく間まのうちに理解りかいしました。
だって、彼女かのじょは日没にちぼつと同時どうじにそう発音はつおんしたのです。
そして、わたしの優秀ゆうしゅうな脳のうはいとも容易たやすく、軽率けいそつなまでに!
わたしが日中にっちゅうのうちに人工じんこう太陽たいようの色温度いろおんどを35%パーセントから60%パーセントに変更へんこうしたことを、
この出来事できごとに関連かんれんづけました。
ああ! だけど、まぎれもなく、あの瞬間しゅんかん、彼女かのじょは人間にんげんでした。
おこったり、笑わらったり、泣ないたり、涙なみだを流ながしたり、キスをしたり、
顔色かおいろを変かえたりはしないけれど、
彼女かのじょは、孤独こどくのままに、子こどものままに、愚おろかなままに、
長ながい眠ねむりにつこうとするわたしに、たったひとつの温ぬくもりをくれたのです。
あの瞬間しゅんかん、彼女かのじょは人間にんげんでした。
だけど、彼女かのじょは?
彼女かのじょはいままでずっと、暗闇くらやみの中なかにいたのでしょうか。
「おやすみ」も「おはよう」もない、真まっ暗くらな世界せかいに?
これまでの彼女かのじょの数すう百年ひゃくねんを思おもって、わたしは胸むねがいっぱいになりました。
わたしは、わたしが自分じぶんのちっぽけな生なまを持もて余あましているあいだ、
一いち番ばん近ちかくにいてくれた大切たいせつな友ともだちを暗闇くらやみに放ほっておいたのです。
今夜こんや、彼女かのじょははじめて「おやすみなさい」と言いって眠ねむります。
惑星わくせい浄化じょうかシステムは電気でんき羊ひつじの夢ゆめを見みるでしょうか?
電気でんき羊ひつじが一いち匹ひき、電気でんき羊ひつじが二に匹ひき、電気でんき羊ひつじが三さん匹ひき、電気でんき羊ひつじが四よ匹ひき、
電気でんき羊ひつじが五ご匹ひき、電気でんき羊ひつじが六ろく匹ひき、電気でんき羊ひつじが七しち匹ひき、電気でんき羊ひつじが……。
報告ほうこくおわります。
それじゃあまた、二十八億三千八百二十四万 秒びょう後ごに。
おやすみなさい。