1. アニメ主題歌としての役割。やくしまるえつこの『ヴィーナスとジーザス』

アニメ主題歌としての役割。やくしまるえつこの『ヴィーナスとジーザス』

「やくしまる」というと、多くの日本人は女優・歌手の薬師丸ひろ子のほうを思い浮かべるでしょう。しかし、音楽好きやアニメ好きに知られるやくしまるえつこという人が存在します。やくしまるえつこは独特な可愛い歌声が特徴的なアーティスト。作詞作曲も行ない、イラストも手掛けるマルチな才能を発揮しています。バンド相対性理論のボーカルとしても知られている存在。

2016年4月8日


この記事の目次
  1. ・やくしまるえつこ Profile


「やくしまる」というと、多くの日本人は女優・歌手の薬師丸ひろ子のほうを思い浮かべるでしょう。しかし、音楽好きやアニメ好きに知られるやくしまるえつこという人が存在します。やくしまるえつこは独特な可愛い歌声が特徴的なアーティスト。作詞作曲も行ない、イラストも手掛けるマルチな才能を発揮しています。バンド相対性理論のボーカルとしても知られている存在。

そんなやくしまるえつこの2010年の曲『ヴィーナスとジーザス』。作詞作曲はティカ・αとなっていますが、これはやくしまるえつこの別名義です。アニメ『荒川アンダーザブリッジ』のオープニング主題歌だったこの曲。アニメは荒川の河川敷にやってきた青年が不思議なキャラ達と出会うコメディ作品。小栗旬が河童になり、山田孝之が星になった実写版も人気を博しました。そういった星や河童のような一風変わった人々が出てくる作品。



“目覚めのキッスはまどろむあなたに あやかしリップなお姫様
出会いの切符は夢見るあなたに まやかし VIP なエア・フォース”


歌いだしがこちら。「目覚めのキッスはまどろむあなたに あやかしリップなお姫様」まずこの最初のフレーズからリズムも語感も良いです。「出会いの切符は夢見るあなたに まやかしVIPなエア・フォース」続くこのフレーズの語感も良いですね。「めざめのきっす」「であいのきっぷ」そして「あやかしリップ」「まやかしビップ」というほぼ同じ音にも関わらず巧みの言葉を変えてきています。この最初の2フレーズだけで、このアニメ作品がボーイミーツガールのラブコメ要素も入っていることを表しています。主人公リクが川に落ちたところを金星人の少女ニノに救助されるところから始まるストーリー。「目覚め」や「出会い」という単語でストーリー上での出会い展開を期待させているのです。

そして唐突に見える「エア・フォース」。エア・フォースの元の意味は空軍。しかしここでは「VIPなエア・フォース」と表現。「エアフォースワン」というと大統領が乗る飛行機を指します。ここではそういった大統領が乗るような飛行機の意味合いで用いているんですね。そしてこれは、主人公リクが世界トップ企業の御曹司であることを暗示しています。

序盤からアニメの内容を巧みに入れている歌詞なんですね。



“ヴィーナスお隣さんなの どうして?知らない間に
ジーザスお向かいさんなの 聞いてやばいの”


「ヴィーナス」と「ジーザス」、「お隣さん」と「お向かいさん」、「どうして?」と「聞いて」とここでも巧みに対応している歌詞を入れてきます。タイトルにもなっている『ヴィーナスとジーザス』。ヴィーナスをは美の女神。ジーザスとはキリストを指します。よく洋画などで「ジーザス!」と叫んでいる場面を観かけることがあると思います。「おお神よ!」「助けて!」の意味で使われることも多い単語。ヴィーナスもジーザスも共にここでは「神様聞いて!」というような意味合いで使われています。また女の神、男の神をそれぞれおくことで、ここでもニノとリクの関係を連想させるようにできています。
お隣さんやお向かいさんという単語でニノとリクがお隣さんのようなかたちで暮らすことを暗示。そんな状況を「やばいの」という言葉でまとめます。

一件意味不明な言葉の羅列に見えて、実は非常に考えられた歌詞。アレンジもストリングスを入れる等して凝っていて面白いですね。『荒川アンダーザブリッジ』の世界観を見事表現した曲でした。

TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

やくしまるえつこ Profile

やくしまるえつこ
音楽家、プロデューサー、作詞・作曲・編曲家として「相対性理論」など数多くのプロジェクトを手がける他、美術作品、プロデュースワークや楽曲提供、映画音楽、CM音楽、朗読、ナレーション、と多岐に渡る活動を一貫してインディペンデントで行う。坂本龍一、ジェフ・ミルズ、アート・リンゼイ、マシュー・ハーバートら国内外アーティストとの共演や共作、人工衛星や生体データを用いた作品、人工知能と自身の声による歌生成ロボット、オリジナル楽器の制作などの試みを次々に発表。2016年には相対性理論『天声ジングル』、Yakushimaru Experiment『Flying Tentacles』、美少女戦士セーラームーン主題歌『ニュームーンに恋して / Z女戦争』をリリースし、レコード会社にもプロダクションにも所属しないアーティストとして初となる日本武道館公演「八角形」を開催。また、ポップミュージシャンとしては極めて異例の、山口情報芸術センター[YCAM]での特別企画展「天声ジングル - ∞面体」が行われた。バイオテクノロジーを用いて制作し、人類史上初めて音源と遺伝子組換え微生物で発表した作品『わたしは人類』でアルスエレクトロニカ・STARTS PRIZEグランプリを受賞。オーストリアやベルギー、金沢21世紀美術館などで展示されている。

やくしまるえつこ オフィシャルサイト『わたしは人類』ページ
http://yakushimaruetsuko.com/archives/2602

STARTS PRIZE Grand Prize “I’m Humanity” - Etsuko Yakushimaru
https://starts-prize.aec.at/en/im-humanity/

やくしまるえつこ 『わたしは人類』(Genetic Video) 
https://youtu.be/92Dcp9Fbdac

やくしまるえつこ 『わたしは人類』(変異ver. at YCAM)
https://youtu.be/aIVMQvbNfbE

やくしまるえつこ 『わたしは人類』Apple Music
https://itunes.apple.com/jp/album/id1149713825?app=music

やくしまるえつこ 『わたしは人類』iTunes Store
https://itunes.apple.com/jp/album/id1149713825?app=itunes


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