手紙 歌詞 THE BOOM ふりがな付

毎日まいにち毎日まいにち、君きみに手紙てがみを書かいているんだけど、
なぜか出だせないままでいる。
なにかと世よの中なか、回まわるのが早はやくて、
昨日きのう書かいたものが、今朝けさにはもう白しらけて映うつるんだ。
急いそいで君きみに伝つたえたいことがあるわけじゃないし、
君きみが元気げんきなのを僕ぼくは知しっている。

ただ、こうして便箋びんせんにペンを泳およがせ、
行間ぎょうかんでお茶ちゃを入いれては、日々ひびの生活せいかつの隙間すきまを埋うめている。
生いきているから時間じかんが過すぎていくのか、
時間じかんをつぶすために生いきているのか、
時々ときどきそれが判わからなくなる。

たまぁに、人ひとの顔かおが動物どうぶつに見みえる時ときはないかい?
先日せんじつ、飲のみ屋やの客きゃく全すべてがいろんな動物どうぶつに見みえてきたんだ。
そこはもう、鳥獣ちょうじゅう戯画ぎがの宴うたげのよう。
気味きみが悪わるくて、すぐ部屋へやに帰かえったんだけど、
鏡かがみに写うつる自分じぶんの顔かおを見みて、やけにフケてきたなぁって思おもったよ。
猜疑心さいぎしんと達観たっかんの間あいだで、妙みょうな顔色かおいろをしている。
人ひとを傷きずつけた分ぶんだけ心こころが濁にごっていくのが、よく判わかるんだ。
ところで 嘘うそをついた時ときほど寝ねつけない夜よるはないけど、
眠ねむれない夜よるこそ自分じぶんに素直すなおになれるっていうのも、おかしな話はなしだよね。

Now I'm just standing here Winds rage upon me
Though I'm the only one I go on singing new songs

近頃ちかごろ、自分じぶんの周まわりでも世間せけんでも、
嫌いやなニュースばかりが飛とび込こんでくるよ。
そんな時ときは、柳やなぎの木きの下したで、
まるで、みの虫むしのようにじっと待まつしかないんだ。
風かぜが止やむのを待まつのは、すごく長ながく感かんじるけど、
別べつに何なにも失うしなうものはないし、
鼻はなクソほじってたって地球ちきゅうは回まわってるよ。
それにしても、お気楽きらくな音楽おんがくが蔓延まんえんしてて、まるで公害こうがいのようだね。
この巨大きょだいな渦うずの中心ちゅうしんにいるのは、いったい誰だれなんだろう。
きっと、誰だれもいやしないよ。
今いまは風かぜが止やむのを待まった方かたがいい。
その間あいだに僕ぼくらはナイフを研みがいでおくべきだ。

本当ほんとうは、君きみも僕ぼくも人前ひとまえに立たつべき人間にんげんじゃないのかもしれない。
きっと、僕ぼくらの夢ゆめを完璧かんぺきに成なし遂とげてくれるシンガーが出でてきたら、
僕ぼくはギターとマイクを置おいて、
そいつの歌うたに夢中むちゅうになってるかもしれない。
僕ぼくはただ、音楽おんがくを愛あいしていたいだけだ。
ロックンロールに、こめかみを撃うち貫つらぬかれたいだけなんだ。

Now I'm just standing here Winds rage upon me
Though I'm the only one I go on singing new songs

人々ひとびとはもう、ロックンロールなんて必要ひつようとしていないのかもしれない。
だけど、ロックンロールは決けっして死しぬことはない。
僕ぼくは、そう思おもいながら生いきている。
誰だれかが僕ぼくを愛あいしてくれるなら、
その全すべての人ひとを道みちづれにしたいと思おもってるんだ。
ロックンロールの限かぎり無なき、うねりの中なかへ。

君きみも一緒いっしょに行いかないかい?

今度こんど、電話でんわでもするよ。