馬鹿兄弟 歌詞 ミドリカワ書房 ふりがな付

甘あまったれたクソガキがだらしなく 戯言ざれごとを紙かみにタラタラ書かいた
それから冬ふゆの夜よるの闇やみへと 逃にげるようにクソガキは消きえた

ガキにはあちこちに借金しゃっきんがあった それは恐おそろしい額がくになってた
取とり立たてのチンピラに脅おどされてた 命いのちの危険きけんを感かんじ始はじめた

クソガキのアパートにやって来きた母親ははおや ゴミ屋敷やしきのような部屋へやの中なか
小汚こぎたない文字もじでタラタラ書かかれた 醜みにくい遺書いしょがあった

母親ははおやはすぐ捜索願そうさくねがいを出だした 警察けいさつの人ひとは割わりと親切しんせつだった
その頃ころガキは死しぬ勇気ゆうきなんかなく
友達ともだちの家いえを転々てんてんと彷徨さまよっていた ニヤニヤしながら

廻まわりにあるのは 偽物にせものの友情ゆうじょうだけだった ごまかしだけだった

クソガキの兄貴あにきは東京とうきょうにいて 金かねにならない歌うたを歌うたってた
弟おとうとが失踪しっそうしたと聞きいて ただ情なさけなくて腹はらが立たった

弟おとうとよりむしろ母親ははおやのことが 心配しんぱいで心配しんぱいで仕方しかたなく
電話でんわから漏もれる母親ははおやの声こえは 悲かなしく震ふるえてた

三さん年後ねんごの秋あき 兄貴あにきの所ところに 招待状しょうたいじょうが来きた ガキの結婚式けっこんしきの
東京とうきょうのヤツは チョコチョコ売うれてきた時期じきで
招待状しょうたいじょうの中なかに "一曲いっきょく唄うたってよ"って 昔むかしと同おなじ懐なつかしい汚きたない文字もじが

死しんじまえ 卑怯者ひきょうもの みんなに心配しんぱいかけやがって
いい気きなもんだ みんな忙いそがしいんだ お前まえなんかに構かまってられるか
死しんじまえ 卑怯者ひきょうもの 死しんだ方ほうが よっぽどましだ
あのとき そこまで 考かんがえた兄貴あにきは

招待状しょうたいじょうを嫁よめに黙だまって渡わたして 手帳てちょうを開ひらいて日付ひづけに丸まるをした
自分じぶんの歌うたを歌うたうのは 恥はずかしいので
カラオケで いつも歌うたう ハマショーの歌うたを 唄うたうことにした
結果けっかが 「もうひとつの土曜日どようび」

兄貴あにきはニヤニヤ 仕事しごとに出でかけた
クソガキの嫁よめは すこぶる美人びじんだ