暗いところで待ち合わせ～朗読・田中麗奈～ 歌詞 メレンゲ ふりがな付

目めが見みえるからといって
目めに頼たよりすぎてはいけない
キッチンの片隅かたすみで忘わすれられた
ワインビネガーの賞味期限しょうみきげんを見落みおとすように
孤独こどくな青年せいねんがまとった
着古きふるしの濡ぬれ衣ぎぬや
そこに染しみ込こんだ涙なみだを
いつか
見落みおとしてしまうから

耳みみが聞きこえるからといって
耳みみに頼たよりすぎてはいけない
踏ふみ切きりの音おとで
ホームを駆かけるひとりの女性じょせいの
靴音くつおとを聞きき逃のがすように
風かぜを切きって地球ちきゅうが回まわる音おとで
日々ひびのささやかな胸むねの高鳴たかなりを
いつか
聞きき逃のがすようになってしまうから

声こえが出でるからといって
声こえに頼たよりすぎてはいけない
よく動うごく口くちとちいさな意地いじのおかげで
かなしい言葉ことばを
いつも無事ぶじに言いいそびれたように
あたらしい決心けっしんの向むかう先さきや
愛あいするひとへの感謝かんしゃを
いつか
言いいそびれるようになってしまうから

ひとはいくつの偶然ぐうぜんが重かさなれば
必然ひつぜんと感かんじるだろう

偶然ぐうぜんが必然ひつぜんに化ばけるとき
心こころは何なにをあきらめるだろう

突然とつぜん訪おとずれた
この暗闇くらやみに訊きいてみる

この偶然ぐうぜんが答こたえなら
いつかの悩なやみはなんだろう
抑おさえきれない衝動しょうどうを
抑おさえた理性りせいはなんだろう

この偶然ぐうぜんが答こたえなら
いつかの恋こいはなんだろう
永遠えいえんだって口くちにした
おさない勇気ゆうきはなんだろう

この偶然ぐうぜんが答こたえなら
いつかの夢ゆめはなんだろう
あきれるほどにおおげさな
想像力そうぞうりょくはなんだろう

偶然ぐうぜんが運命うんめいのふりをして現あらわれる

どこへも行いけなかった感情かんじょうに
正ただしい居場所いばしょをあたえるために