あらぶる波なみの 玄界灘げんかいなだは
男おとこの海うみというけれど
黄昏たそがれ凪なぎさを 橙色だいだいいろに
染そめて切せつない あの夕日ゆうひ
ほんなこつ ほんなこつこの俺おれは
涙なみだこらえる 無法松むほうまつ
あ~、ぼんぼんを乗のせた汽車きしゃが…。
あの小ちいさかったぼんぼんが一人ひとりで汽車きしゃに乗のっていくと。
松五郎まつごろうさん。敏雄としおはもう六むっつの子供こどもじゃありませんよ。
分わかっとります。高校生こうこうせいじゃ。けんど熊本くまもとの寄宿きしゅくに入はいらんばいかんとは、
奥おくさん、寂さびしゅうなりましょうなぁ。
ええ。生うまれて初はじめての一人暮ひとりぐらしになりました…。
なんね。心配しんぱいなか。儂わしがついとるやなかとね。
私わたし、本当ほんとうに感謝かんしゃしているんですの。主人しゅじんが亡なくなって八年はちねん。
女おんな一人ひとりであの子こを育そだててこられたのも、みんな松五郎まつごろうさんが陰かげになり
日向ひなたになって支ささえてくださったからですわ。
陸軍りくぐん大尉たいいじゃった吉岡よしおかの旦那だんなが、軍事ぐんじ演習えんしゅうで雨あめにぬれて風邪かぜを引ひいたぁ
思おもうたらあっという間まに…知しらぬ仲なかならとにもかく、その奥おくさん、いや、
忘わすれ形見がたみのぼんぼんをほうってはおけんかった。
まぁ奥おくさんには迷惑めいわくやったかもしれまっせんな…。
いいえ、私わたしの方ほうこそ、私わたしの意地いじに松五郎まつごろうさんを
巻まき込こんでしまったのではないかと、悔くやんでいるんですわ。
エッ、奥おくさんの意地いじ? そりゃ何なにですかいのう?
今いまだからお話はなしします。主人しゅじんが亡なくなってしばらくした頃ころ、
実家じっかの兄あにから再婚さいこん話はなしが持もち込こまれたのです。
え…いや、奥おくさんなら当然とうぜんじゃ…。
でもね、私わたしは主人しゅじんを愛あいしていました。
私わたしの夫おっとは、吉岡よしおか小太郎こたろう ただひとりなんです。
ひとたび嫁とついだ この身みには
帰かえる家いえなど ありはせぬ
まして来世らいせも 誓ちかったからにゃ
岩いわをも通とおす 意地いじなれど
幾夜いくよもつらさに エ~エ~エ~忍しのび泣なき
たった一ひとつの 生いき甲斐がいは
夫おっとに似にてきた 愛いとしい我わが子こ
この子この為ためなら 我わが命いのち
いつでも捨すてて みせましょう
この子こは夫おっとの 子こぉじゃもの
…それほどまでに旦那だんなのことを…。
ごめんなさい。松五郎まつごろうさんにこんなことを聞きかせてしまって…。
…吉岡よしおかの旦那だんなは幸しあわせもんばい…ほんなこつ幸しあわせもんばい!…。
学がくもなければ 天涯孤独てんがいこどく
ついた仇名あだなが 無法松むほうまつ
そんなおいらが 怪我けがをした
子供こどもを介抱かいほう したのが縁えん
やがて八年はちねん 今いまはもう
一人暮ひとりぐらしの 未亡人みぼうじん
拳こぶしを握にぎり 歯はを食くいしばり
秘ひめた想おもいを 誰だれが知しろ
松五郎まつごろうさん。
こ、こりゃ奥おくさん…。
どうなさったんです。敏雄としおが熊本くまもとに行いって以来いらい、
ちっともいらしてくださらないじゃありませんか。
私わたしに何なにか落おち度たびでもありましたか?
滅相めっそうもない。けど、儂わしゃ儂わしゃぼんぼんの係かかりばい。
ぼんぼんがおらんあの家いえは、
奥おくさんと亡なくなった旦那だんなの家いえですけん! そいじゃ!
待まって! 松五郎まつごろうさん、敏雄としおが帰かえってくるんですよ!
え。奥おくさん、それはほんなこつ!
ええ。夏休なつやすみに、高校こうこうの先生せんせいを連つれて。
小倉おぐらの祇園祭ぎおんまつりが見みたいとか仰おっしゃって…。
そいつぁ、そいつぁ一ひとつ、楽たのしんでもらわんといかんばい。そうかいの。
そうかいの。ぼんぼんが帰かえってくる。ぼんぼんが、ぼんぼんが帰かえってくる!
先生せんせい、ぼんぼん。あれが音おとに聞きこえた祇園ぎおん太鼓だいこじゃ。
ゆっくりご覧らん下くださいと言いいたいところやが、あれは蛙かえる打うちちゅうて、
本物ほんものの打うち方かたやなかと。
今いまじゃ本物ほんものを叩たたける奴やつがおらんようになってしもたけん、
本物ほんものはあんなもんじゃなかとですよ。ねぇ奥おくさん。
私わたしが吉岡よしおか家けに嫁とついで、この小倉おぐらに来きた頃ころはもうあの打うち方かたでしたわ。
そいじゃ一ひとつほんまもんをご披露ひろうしようかいのう。奥おくさん、どうじゃろ?
お願ねがいできますか。
よぉ~し、松五郎まつごろうの一世一代いっせいちだいの祇園ぎおん太鼓たいこ、よお見みとってくださいや。
おおい、ちょいと打うたせてくれ。ええか、これが今いま打うちよった蛙かえる打うち。
そしてこれが流ながれ打うち。
さぁこれが勇いさみ駒こま…そして奥おくさん、これが暴あばれ打うちじゃ!
夏休なつやすみが終おわり、敏雄としおが熊本くまもとの寄宿きしゅくに戻もどってしまったら、
また淋さびしい日々ひびがやってきます。
でも本当ほんとうに寂さびしいのは松五郎まつごろうさんなのかもしれません。
奥おくさん、儂わしゃあ寂さびしゅうてつらい。寂さびしゅうてつらい…私わたしには太鼓たいこの音おとが、
松五郎まつごろうさんの心こころの声こえに聞きこえたのでした。
汗あせも飛とび散ちる 暴あばれ打うち
命いのちをかけた あの音おとは
万来ばんらい衆しゅうの 目めに写うつる
これぞ無法松むほうまつ 晴はれ姿すがた
これが無法松むほうまつ 祇園ぎおん太鼓たいこの 打うち納おさめじゃ
秋あきになって、松五郎まつごろうさんはまたお顔かおを見みせてはくれなくなりました。
人ひとの噂うわさで、
長年ながねんやめていたお酒さけを浴あびるように飲のんで、
すさんだ暮くらしをしていると聞ききました。
一度いちどお尋たずねせねばと思おもっていた矢先やさき、
ああ、冷ひえると思おもうたら雪ゆきじゃ…ん、
ここはぼんぼんが通かようた小学校しょうがっこうやなかと…
ああ、ぼんぼんじゃ、ぼんぼんがおる。いや、そんな筈はずはなか。
ぼんぼんは熊本くまもとの高校こうこうばい。けど、ぼんぼんが見みえる。
ぼんぼんが唱歌しょうかを歌うたうちょる。あれあれ、
奥おくさん?奥おくさんもおるとね。今日きょうは参観日さんかんびやったと。
まぁまぁ晴はれ着ぎば着きんしゃって。奥おくさん、綺麗きれいばい。
まっこと奥おくさんは儂わしの女神めがみ様さまばい…奥おくさん…儂わしゃ… 儂わしゃ…
奥おくさん!
はい。吉岡よしおかです。繋つないでくださいまし…はい。え? 松五郎まつごろうさんが!
そんな、
松五郎まつごろうさんが…。
雪ゆきの朝あさ、小学校しょうがっこうの校庭こうていで、松五郎まつごろうさんが亡なくなっていました。
松五郎まつごろうさんには幼おさない
日ひの敏雄としおが見みえていたのかもしれません。
そのお顔かおはそれはそれは幸しあわせそうに微笑ほほえみ
んでいらしたそうです…。松五郎まつごろうさんの寝起ねおきする宿やどには
柳行李やなぎごうりが一ひとつ残のこされていました。その中なかには、毎年まいとしお正月しょうがつに差さし上あげていた
お年玉としだまが、封ふうも切きらずに。それと五百円ごひゃくえんもの大金たいきんが預あずけられた、
私わたしと敏雄としお名義めいぎの貯金ちょきん通帳つうちょうが、そっと、そっと置おいてありました!
…松五郎まつごろうさん、貴方あなたという人ひとは!…。
この十年じゅうねん、あなたに甘あまえるばかりで、何一なにひとつ応こたえてあげられなかった…
私わたしはあなたの気持きもちに気きづいていました…
なのに、なのに私わたしは…許ゆるしてください、松五郎まつごろうさん!
届とどかぬ想おもい 実みのらぬ恋こいを
祇園ぎおん太鼓たいこに 打うち込こめて
腕うでも折おれよう 命いのちもいらぬ
これが松五郎まつごろう 暴あばれ打うち
これでよか これでよか夢ゆめ花火はなび
男おとこ一途いちずは 無法松むほうまつ
あらぶるaraburu波namiのno 玄界灘genkainadaはha
男otokoのno海umiというけれどtoiukeredo
黄昏tasogare凪nagisaをwo 橙色daidaiiroにni
染soめてmete切setsuないnai あのano夕日yuuhi
ほんなこつhonnakotsu ほんなこつこのhonnakotsukono俺oreはha
涙namidaこらえるkoraeru 無法松muhoumatsu
あa~、ぼんぼんをbonbonwo乗noせたseta汽車kisyaがga…。
あのano小chiiさかったぼんぼんがsakattabonbonga一人hitoriでde汽車kisyaにni乗noっていくとtteikuto。
松五郎matsugorouさんsan。敏雄toshioはもうhamou六muxtuつのtsuno子供kodomoじゃありませんよjaarimasenyo。
分waかっとりますkattorimasu。高校生koukouseiじゃja。けんどkendo熊本kumamotoのno寄宿kisyukuにni入haiらんばいかんとはranbaikantoha、
奥okuさんsan、寂sabiしゅうなりましょうなぁsyuunarimasyounaa。
ええee。生uまれてmarete初hajiめてのmeteno一人暮hitoriguらしになりましたrashininarimashita…。
なんねnanne。心配shinpaiなかnaka。儂washiがついとるやなかとねgatsuitoruyanakatone。
私watashi、本当hontouにni感謝kansyaしているんですのshiteirundesuno。主人syujinがga亡naくなってkunatte八年hachinen。
女onna一人hitoriであのdeano子koをwo育sodaててこられたのもtetekoraretanomo、みんなminna松五郎matsugorouさんがsanga陰kageになりninari
日向hinataになってninatte支sasaえてくださったからですわetekudasattakaradesuwa。
陸軍rikugun大尉taiiじゃったjatta吉岡yoshiokaのno旦那dannaがga、軍事gunji演習ensyuuでde雨ameにぬれてninurete風邪kazeをwo引hiいたぁitaa
思omoうたらあっというutaraattoiu間maにni…知shiらぬranu仲nakaならとにもかくnaratonimokaku、そのsono奥okuさんsan、いやiya、
忘wasuれre形見gatamiのぼんぼんをほうってはおけんかったnobonbonwohouttehaokenkatta。
まぁmaa奥okuさんにはsanniha迷惑meiwakuやったかもしれまっせんなyattakamoshiremassenna…。
いいえiie、私watashiのno方houこそkoso、私watashiのno意地ijiにni松五郎matsugorouさんをsanwo
巻maきki込koんでしまったのではないかとndeshimattanodehanaikato、悔kuやんでいるんですわyandeirundesuwa。
エッextu、奥okuさんのsanno意地iji? そりゃsorya何naniですかいのうdesukainou?
今imaだからおdakarao話hanashiしますshimasu。主人syujinがga亡naくなってしばらくしたkunatteshibarakushita頃koro、
実家jikkaのno兄aniからkara再婚saikon話hanashiがga持moちchi込koまれたのですmaretanodesu。
えe…いやiya、奥okuさんならsannara当然touzenじゃja…。
でもねdemone、私watashiはha主人syujinをwo愛aiしていましたshiteimashita。
私watashiのno夫ottoはha、吉岡yoshioka小太郎kotarou ただひとりなんですtadahitorinandesu。
ひとたびhitotabi嫁totsuいだida このkono身miにはniha
帰kaeるru家ieなどnado ありはせぬarihasenu
ましてmashite来世raiseもmo 誓chikaったからにゃttakaranya
岩iwaをもwomo通tooすsu 意地ijiなれどnaredo
幾夜ikuyoもつらさにmotsurasani エe~エe~エe~忍shinoびbi泣naきki
たったtatta一hitoつのtsuno 生iきki甲斐gaiはha
夫ottoにni似niてきたtekita 愛itoしいshii我waがga子ko
このkono子koのno為tameならnara 我waがga命inochi
いつでもitsudemo捨suててtete みせましょうmisemasyou
このkono子koはha夫ottoのno 子koぉじゃものojamono
…それほどまでにsorehodomadeni旦那dannaのことをnokotowo…。
ごめんなさいgomennasai。松五郎matsugorouさんにこんなことをsannikonnakotowo聞kiかせてしまってkaseteshimatte…。
…吉岡yoshiokaのno旦那dannaはha幸shiawaせもんばいsemonbai…ほんなこつhonnakotsu幸shiawaせもんばいsemonbai!…。
学gakuもなければmonakereba 天涯孤独tengaikodoku
ついたtsuita仇名adanaがga 無法松muhoumatsu
そんなおいらがsonnaoiraga 怪我kegaをしたwoshita
子供kodomoをwo介抱kaihou したのがshitanoga縁en
やがてyagate八年hachinen 今imaはもうhamou
一人暮hitoriguらしのrashino 未亡人miboujin
拳kobushiをwo握nigiりri 歯haをwo食kuいしばりishibari
秘hiめたmeta想omoいをiwo 誰dareがga知shiろro
松五郎matsugorouさんsan。
こko、こりゃkorya奥okuさんsan…。
どうなさったんですdounasattandesu。敏雄toshioがga熊本kumamotoにni行iってtte以来irai、
ちっともいらしてくださらないじゃありませんかchittomoirashitekudasaranaijaarimasenka。
私watashiにni何naniかka落oちchi度tabiでもありましたかdemoarimashitaka?
滅相messouもないmonai。けどkedo、儂washiゃxya儂washiゃぼんぼんのxyabonbonno係kakariばいbai。
ぼんぼんがおらんあのbonbongaoranano家ieはha、
奥okuさんとsanto亡naくなったkunatta旦那dannaのno家ieですけんdesuken! そいじゃsoija!
待maってtte! 松五郎matsugorouさんsan、敏雄toshioがga帰kaeってくるんですよttekurundesuyo!
えe。奥okuさんsan、それはほんなこつsorehahonnakotsu!
ええee。夏休natsuyasuみにmini、高校koukouのno先生senseiをwo連tsuれてrete。
小倉oguraのno祇園祭gionmatsuriがga見miたいとかtaitoka仰ossyaってtte…。
そいつぁsoitsa、そいつぁsoitsa一hitoつtsu、楽tanoしんでもらわんといかんばいshindemorawantoikanbai。そうかいのsoukaino。
そうかいのsoukaino。ぼんぼんがbonbonga帰kaeってくるttekuru。ぼんぼんがbonbonga、ぼんぼんがbonbonga帰kaeってくるttekuru!
先生sensei、ぼんぼんbonbon。あれがarega音otoにni聞kiこえたkoeta祇園gion太鼓daikoじゃja。
ゆっくりごyukkurigo覧ran下kudaさいとsaito言iいたいところやがitaitokoroyaga、あれはareha蛙kaeru打uちちゅうてchichuute、
本物honmonoのno打uちchi方kataやなかとyanakato。
今imaじゃja本物honmonoをwo叩tataけるkeru奴yatsuがおらんようになってしもたけんgaoranyouninatteshimotaken、
本物honmonoはあんなもんじゃなかとですよhaannamonjanakatodesuyo。ねぇnee奥okuさんsan。
私watashiがga吉岡yoshioka家keにni嫁totsuいでide、このkono小倉oguraにni来kiたta頃koroはもうあのhamouano打uちchi方kataでしたわdeshitawa。
そいじゃsoija一hitoつほんまもんをごtsuhonmamonwogo披露hirouしようかいのうshiyoukainou。奥okuさんsan、どうじゃろdoujaro?
おo願negaいできますかidekimasuka。
よぉyoo~しshi、松五郎matsugorouのno一世一代isseichidaiのno祇園gion太鼓taiko、よおyoo見miとってくださいやtottekudasaiya。
おおいooi、ちょいとchoito打uたせてくれtasetekure。ええかeeka、これがkorega今ima打uちよったchiyotta蛙kaeru打uちchi。
そしてこれがsoshitekorega流nagaれre打uちchi。
さぁこれがsaakorega勇isaみmi駒koma…そしてsoshite奥okuさんsan、これがkorega暴abaれre打uちじゃchija!
夏休natsuyasuみがmiga終oわりwari、敏雄toshioがga熊本kumamotoのno寄宿kisyukuにni戻modoってしまったらtteshimattara、
またmata淋sabiしいshii日々hibiがやってきますgayattekimasu。
でもdemo本当hontouにni寂sabiしいのはshiinoha松五郎matsugorouさんなのかもしれませんsannanokamoshiremasen。
奥okuさんsan、儂washiゃあxyaa寂sabiしゅうてつらいsyuutetsurai。寂sabiしゅうてつらいsyuutetsurai…私watashiにはniha太鼓taikoのno音otoがga、
松五郎matsugorouさんのsanno心kokoroのno声koeにni聞kiこえたのでしたkoetanodeshita。
汗aseもmo飛toびbi散chiるru 暴abaれre打uちchi
命inochiをかけたwokaketa あのano音otoはha
万来banrai衆syuuのno 目meにni写utsuるru
これぞkorezo無法松muhoumatsu 晴haれre姿sugata
これがkorega無法松muhoumatsu 祇園gion太鼓taikoのno 打uちchi納osaめじゃmeja
秋akiになってninatte、松五郎matsugorouさんはまたおsanhamatao顔kaoをwo見miせてはくれなくなりましたsetehakurenakunarimashita。
人hitoのno噂uwasaでde、
長年naganenやめていたおyameteitao酒sakeをwo浴aびるようにbiruyouni飲noんでnde、
すさんだsusanda暮kuらしをしているとrashiwoshiteiruto聞kiきましたkimashita。
一度ichidoおo尋tazuねせねばとnesenebato思omoっていたtteita矢先yasaki、
ああaa、冷hiえるとeruto思omoうたらutara雪yukiじゃja…んn、
ここはぼんぼんがkokohabonbonga通kayoうたuta小学校syougakkouやなかとyanakato…
ああaa、ぼんぼんじゃbonbonja、ぼんぼんがおるbonbongaoru。いやiya、そんなsonna筈hazuはなかhanaka。
ぼんぼんはbonbonha熊本kumamotoのno高校koukouばいbai。けどkedo、ぼんぼんがbonbonga見miえるeru。
ぼんぼんがbonbonga唱歌syoukaをwo歌utaうちょるuchoru。あれあれareare、
奥okuさんsan?奥okuさんもおるとねsanmoorutone。今日kyouはha参観日sankanbiやったとyattato。
まぁまぁmaamaa晴haれre着giばba着kiんしゃってnsyatte。奥okuさんsan、綺麗kireiばいbai。
まっことmakkoto奥okuさんはsanha儂washiのno女神megami様samaばいbai…奥okuさんsan…儂washiゃ… 儂washiゃ…
奥okuさんsan!
はいhai。吉岡yoshiokaですdesu。繋tsunaいでくださいましidekudasaimashi…はいhai。えe? 松五郎matsugorouさんがsanga!
そんなsonna、
松五郎matsugorouさんがsanga…。
雪yukiのno朝asa、小学校syougakkouのno校庭kouteiでde、松五郎matsugorouさんがsanga亡naくなっていましたkunatteimashita。
松五郎matsugorouさんにはsanniha幼osanaいi
日hiのno敏雄toshioがga見miえていたのかもしれませんeteitanokamoshiremasen。
そのおsonoo顔kaoはそれはそれはhasorehasoreha幸shiawaせそうにsesouni微笑hohoemi
んでいらしたそうですndeirashitasoudesu…。松五郎matsugorouさんのsanno寝起neoきするkisuru宿yadoにはniha
柳行李yanagigouriがga一hitoつtsu残nokoされていましたsareteimashita。そのsono中nakaにはniha、毎年maitoshiおo正月syougatsuにni差saしshi上aげていたgeteita
おo年玉toshidamaがga、封fuuもmo切kiらずにrazuni。それとsoreto五百円gohyakuenものmono大金taikinがga預azuけられたkerareta、
私watashiとto敏雄toshio名義meigiのno貯金chokin通帳tsuuchouがga、そっとsotto、そっとsotto置oいてありましたitearimashita!
…松五郎matsugorouさんsan、貴方anataというtoiu人hitoはha!…。
このkono十年juunen、あなたにanatani甘amaえるばかりでerubakaride、何一nanihitoつtsu応kotaえてあげられなかったeteagerarenakatta…
私watashiはあなたのhaanatano気持kimoちにchini気kiづいていましたduiteimashita…
なのにnanoni、なのにnanoni私watashiはha…許yuruしてくださいshitekudasai、松五郎matsugorouさんsan!
届todoかぬkanu想omoいi 実minoらぬranu恋koiをwo
祇園gion太鼓taikoにni 打uちchi込koめてmete
腕udeもmo折oれようreyou 命inochiもいらぬmoiranu
これがkorega松五郎matsugorou 暴abaれre打uちchi
これでよかkoredeyoka これでよかkoredeyoka夢yume花火hanabi
男otoko一途ichizuはha 無法松muhoumatsu