アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先) 歌詞 小沢健二 ふりがな付

幾千万いくせんまんも灯ともる都市としの明あかりが
生うみ出だす闇やみに隠かくれた
汚よごれた川かわと 汚よごれた僕ぼくらと

駒場こまば図書館としょかんを後あとに 君きみが絵えを描えがく原宿はらじゅくへ行いく
しばし君きみは「消費しょうひする僕ぼく」と「消費しょうひされる僕ぼく」をからかう

この頃ごろの僕ぼくは弱よわいから 手てを握にぎって 友ともよ 強つよく

でも魔法まほうのトンネルの先さき 君きみと僕ぼくの心こころを愛あいす人ひとがいる
本当ほんとうだろうか?幻想げんそうだろうか? と思おもう

僕ぼくの彼女かのじょは君きみを嫌きらう
君きみからのファックス隠かくす 雑誌ざっし記事きじも捨すてる
その彼女かのじょは僕ぼくの古ふるい友ともと結婚けっこんし
子こども産うみ育そだて離婚りこんしたとか聞きく

初はじめて会あった時ときの君きみ
ベレー帽ぼうで 少すこし年上としうえで 言いう

「小沢おざわくん、インタビューとかでは
何なにも本当ほんとうのこと言いってないじゃない」

電話でんわがかかってくる それはとてもとても長ながい夜よる
声こえにせずに歌うたう歌詞かしが振動しんどうする 僕ぼくは全身全霊ぜんしんぜんれいで歌うたい続つづける

この頃ごろは 目めが見みえないから
手てを握にぎって 友ともよ 優やさしく

きっと魔法まほうのトンネルの先さき
君きみと僕ぼくの言葉ことばを愛あいす人ひとがいる
本当ほんとうの心こころは 本当ほんとうの心こころへと 届とどく

時々ときどきは 君きみだって弱よわいから
助たすけ合あうよ 森もりを進すすむ子こどもたちのように
手てを握にぎって 友ともよ 強つよく

きっと魔法まほうのトンネルの先さき
君きみと僕ぼくの心こころを愛あいす人ひとがいる
汚よごれた川かわは 再生さいせいの海うみへと届とどく

日比谷公園ひびやこうえんの噴水ふんすいが
春はるの空気くうきに虹にじをかけ
「神かみは細部さいぶに宿やどる」って
君きみは遠とおくにいる僕ぼくに言いう 僕ぼくは泣なく

下北沢しもきたざわ珉みん亭てい ご飯はんが炊たかれ 麺めんが茹ゆでられる永遠えいえん
シェルター 出番でばんを待まつ若わかい詩人しじんたちが
リハーサル終おえて出でてくる