WEAVERのデビュー10周年記念ワンマン開催!
WEAVERのデビュー10周年記念ワンマンライブ「WEAVER 10th Anniversary Live『最後の夜と流星~We're Calling You~』」が、10月22日に兵庫・神戸国際会館こくさいホールにて開催された。この日は、2019年3月にベストアルバム「ID 2」とともにリリースされた、河邉徹(Dr)の同名小説のストーリーをもとにした最新アルバム「流星コーリング」プロジェクトの完結編であり、彼らの地元・神戸での凱旋ライブ。
やわらかな曲線を描くウッディな造りの会場は3階席までびっしり観客で埋まり、宴への期待感が否が応にも高まっていく。SEに促されるように手拍子が沸き立ったかと思えば、一気に暗転。
紗幕にはグランドピアノを奏でる杉本雄治(Vo, Piano)のシルエットが浮かび上がり、この10年のライブ映像が走馬灯のように映し出されていく。
オープニングがドラマティックすぎる
そして、まるでそのサウンドトラックであるかのように、バンドの原点でありデビュー曲の「白朝夢」を奏でたドラマティックなオープニングを経由し、映像が現在に追いついた瞬間、幕が上がりついに姿を現した3人が、「僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~」を噛みしめるように丁寧に届けていく。「デビューして10年、ここ神戸で、ようやくこの日を迎えることができました! ただいま~!!」と杉本がその喜びを爆発させた後も、躍動感溢れるピアノが導く「トキドキセカイ」、ドライヴするビートで聴かせた「管制塔」とたたみかけ、「夢じゃないこの世界」の美しいメロディには、先ほどまでの喧騒が嘘のように引き込まれていく。
MCでは、奥野翔太(B)が「僕たちにとって大事な場所で、皆さんと一緒に過ごせて嬉しいです」と告げ、学生時代に訪れた同会場への想いや、ロビーに飾られた活動初期の懐かしい写真にも触れ、河邉は「今日は5年後10年後も記憶に残る夜になるんじゃないかと。
WEAVERを最近知った人も、昔から応援してくれてる人も……この10年に加わってくれてありがとうございます!」と感謝を伝える。
そして杉本が、「デビューした頃に想像していた景色とは違うけど、それ以上のものをみんなに見せてもらいました。10年前の自分にこんな手紙を」と披露した「Life」は、そのアコースティックな響きと相まってじんわり胸に沁みわたっていく。
ここからは再び、アニメーションやリリックビデオなどを交え、「流星コーリング」の世界観を視覚と聴覚から訴えかけていく。「流れ星の声」「最後の夜と流星」「栞」……アルバムさながらファンタジックな物語が次々と展開していく光景は、チームWEAVERの本領発揮。
音と映像が高い次元でシンクロするパフォーマンスが、観る者を非日常へと連れていく。目の前に3人がいながら楽曲に没入してしまうこの不思議な感覚は、映画とも舞台ともただのライブとも異なる新感覚のエンタテインメント。
ピアノロックバンドとしての独自の存在感と同時に、この10年で磨き上げられたストーリーテリングの手腕を思い知らされる。
後半戦は、「やさしい詩」~「最終バス」~「Hard to say I love you 〜言い出せなくて〜」~「KOKO」と立て続け、曲間ではベース&ドラムのバトルセッションでも魅せた極上メドレーで盛り上げ、ハンドマイクでステージを横断する杉本が「今ここに立ててホンマに幸せやわ! みんなもそうやんな? だったらもっと声を聴かせてくれ!」(杉本)と煽れば、会場を埋め尽くす約2,000人のオーディエンスがそれに応える倍々ゲーム。
きらめくサウンドスケープでホールを包み込んだ「カーテンコール」まで一気に駆け抜ける!
「この景色をずっと見たかった…」
ここで杉本が、「この景色をずっと見たかったんですよ。8年前にこの場所で一度ライブをしました。そのときは正直、悔しい想いもたくさんあったし、またここに立てたときは、今できる一番のライブをしたいなとずっと心待ちにしてたんで……今日はそんなライブができてるんじゃないかなと思います。ホンマにありがとう!」と万感の想いを伝え、続けて上京以降の葛藤や重圧を吐露していく。
「今までは想像もしなかったぐらいたくさんの人が自分たちに期待してくれて、いつしかその期待がすごく重くなって、うまく歌えない時期もありました。ステージに立つのが苦しくて、悩んだ時期もありました。何とか笑顔を振りまいて、ちょっとでも認めてもらおうと頑張って……でも、このままじゃ自分たちは終わってしまうと気付いて、そこからはがむしゃらに努力してきました。
ちょっと時間がかかり過ぎたかもしれないけど……あー今日は泣かへんって決めてたのに!(笑) ようやくそれが形になってきたなと思ってます。本当にみんなのおかげです!」(杉本)
涙をこらえ切れない杉本は、自分たちをここまで支えてくれた家族、ライブハウス、マネジメント、レーベル、そして、メンバーに感謝を表していく。
「今、伝えられる“ありがとう”を全部届けたいなと思います」と放った「Tonight」は、そんなMCがそのまま音楽になったような愛に満ちた楽曲で、感動のエンディングが胸に迫りくる。
そして、本編を終えた3人はリラックスした表情でアンコールを迎え、それぞれ想いを語っていく。
「改めてWEAVERっていいバンドやなと思えてるのが、ここから先に進んでいく信念になると思うし、15年20年とこの3人が並んで歩いてる限り、諦めない限り、幸せな景色をまた観ることできるんじゃないかなと。ここからが第2章という気持ちで進んでいきたいなと思ってます!」(奥野)
「また今日をスタート地点にして、“いってきます”ってみんなに言わなきゃなって。これからもみんなをワクワクさせるようなことをどんどんやっていきたいなと思うし、いつまでもみんなにとっての一番星であれたら」(河邉)
「この10年は本当に音楽が全てでした。そんな音楽にたくさん笑顔をもらったし、苦しむことも悩むこともあったけど、それをずっと繰り返して今日までやってきて、ここにいるみんなと出会うことができました。
みんなにとっても僕らにとっても、光になってほしいなという願いを込めて、最後にこの曲を」(杉本)
熱い想いと決意を刻み付けた新曲は、まさにWEAVERの新たなる出発点。「また、いい音楽を作り続けていきます。それにはあなたが必要です。これからもよろしくお願いします!」(杉本)。
そう深々と頭を下げた3人は、10年という決して短くはない時間をかけてたどり着いた絶景を名残惜しそうに見つめ、ステージを後にした。
なお、この日のライブの模様は、11月18日(月)に全国14ヵ所の映画館にてディレイビューイングが実施されることが決定している。
取材・文:奥“ボウイ”昌史
写真撮影:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)
ライブ詳細
2019年10月22日(火・祝)@神戸国際会館こくさいホールWEAVER 10th Anniversary Live
最後の夜と流星~We’re Calling You~
<SETLIST>
OPENING(Piano Solo overture)
※曲タイトルをクリックすると歌詞ページへ遷移します
M1:白朝夢
M2:僕らの永遠
M3:トキドキセカイ
M4:管制塔
M5:夢じゃないこの世界
M6:旅立ちの唄
M7:Life(Acoustic)
M8:流れ星の声
M9:最後の夜と流星
M10:栞
M11:Loop the night
M12:透明少女
M13:I would die for you
M14:Shine
M15:メドレー
(やさしい詩/最終バス/Hard to say I love you/KOKO)
M16:Shall we dance
M17:くちづけDiamond
M18:Free will
M19:カーテンコール
M20:Tonight
EN1:海のある街
EN2:新曲