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携帯CM発、『浦島太郎』の物語を広げた名曲。桐谷健太『海の声』

桐谷健太は、2016年9月にアルバムを発売します。もともと俳優で歌もうまい桐谷健太は、1980年生まれの36歳。ドラマ『ROOKIES』の平塚、映画『バクマン。』の福田などの熱い男を演じる機会が多い俳優です。近年では、auの三太郎シリーズの浦島太郎役が知られていますね。


桐谷健太は、2016年9月にアルバムを発売します。もともと俳優で歌もうまい桐谷健太は、1980年生まれの36歳。ドラマ『ROOKIES』の平塚、映画『バクマン。』の福田などの熱い男を演じる機会が多い俳優です。近年では、auの三太郎シリーズの浦島太郎役が知られていますね。

浦島太郎に扮した桐谷健太が、海を見ながら歌ったのがアルバムにも収録される『海の声』。CMで使われていて、歌番組でも披露しているので、聴いたことがある人も多いでしょう。この曲では、歌だけでなく三線も披露しています。桐谷健太は、もともと三線やドラムをやっていて音楽の素養があったんですね。

この曲は、作詞はCMプランナーの篠原誠が担当。AIが歌った『みんながみんな英雄』の作詞もしています。作曲はBEGINです。BEGINといえば『涙そうそう』など沖縄音楽を元にした楽曲で有名。『海の声』が、どこか懐かしく温かい感じがするのは、このBEGINによる作曲の力も大きいんですね。



“空の声が 聴きたくて 風の声に 耳すませ
海の声が 知りたくて 君の声を 探してる”


浦島太郎こと浦ちゃんが、海を見ながら竜宮城の乙姫に向けて歌う曲です。このあたりのフレーズはCMで使われていた箇所です。まず、「聴きたくて」「耳すませ」「知りたくて」ときて、最後に「探してる」と一番大事なことを言っています。日本語は、最初に言いたいことを言ってくる英語と違い、言いたいことを文章の最後に持ってきます。この曲のこういう構成も、非常に日本らしいといえるでしょう。

更に、焦点の当て方もいいですね。「空の声」「風の声」「海の声」ときて、「君の声」がきます。「空」という大きな視点から歌詞がはじまり、次に空や大気と密接な関係がある「風」がきます。そして、視点はそのまま「海」に向かいます。空→風→海という上空から降りてきて海に向かう視点の変化で、光景が想像できるようになっています。そして、最後に「君」が来る構成。視点は空から海にうつり、そして個人である「君」にたどり着きました。こうやって徐々に視点をうつしていくことで、この曲にスケール感が出てくるんですね。

「君」は単なる一個人ではなく、空と風、そして海にも匹敵するような存在であると示しています。それほど強い思いがあることの証。

“川のつぶやき 山のささやき
君の声のように 感じるんだ”


このフレーズも同様に、最初のフレーズを言い換えています。これまで海をメインにしていたのが、今度は「山」に視点がうつりました。そして「声」も「つぶやき」「ささやき」と言い換えています。

「川のつぶやき」「山のささやき」としているところも良いですね。川の流れは「せせらぎ」という言葉で表現されることが多いですが、「つぶやき」と表現することで、川から細かい音が響いてくる様子が浮かんできます。また「つぶ」という言葉から、川の水の水泡のイメージも連想できるようになっていますね。山から聞こえてくる音も「ささやき」という静かなイメージの言葉を使うことで、山のイメージが優しいものに感じられるようになっています。「川のささやき」「山のつぶやき」でも音の数は合いますが、川の流れの音、山に響く自然の優しい音を表現するならば「川のつぶやき」「山のささやき」のほうが、しっくりきます。

“たとえ僕が おじいさんになっても
ここで 歌ってる 君だけを想って”


ここで、より「君」に対するストレートな感情をぶつけてきます。「君だけを想って」と想像や随想で使う「想う」の字を使用。普通に思考する「思う」よりも、「君」に対する気持ちがより伝わりやすくなります。

「たとえ僕がおじいさんになっても」と、ここで時間的なスケールをもってきました。空間のスケールから、さらに時間的スケールも加わり、壮大さが増します。そしてこのフレーズは、ラストで玉手箱によりおじいさんになる『浦島太郎』本来の物語にもかけています。何気ないフレーズですが、きちんと物語へのリスペクトがあるんですね。

auの三太郎シリーズのCMは、好感度が高いと言われています。なぜ、このCMシリーズは人気があるのでしょうか?それは人気のある俳優を使っているからだけではありません。この曲の歌詞のように、きちんとベースになる昔話へのリスペクトがあるからです。

この曲は、桐谷健太のボーカルの力と三線を活かしつつ、きちんと『浦島太郎』の歌になっています。海が舞台で、おじいさんになっても乙姫に恋い焦がれている。『浦島太郎』の物語を、詞と曲によって広げているんですね。そして、熱い男を数多く演じてきた桐谷健太の声が、この曲に力を与えているのです。

TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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