SMAPの解散がニュースになっています。25年活動してきた国民的グループが、2016年末で解散することが発表されました。どんなグループであれ、長年活動を続けるのは難しいのだと、改めて考えさせられます。
w-inds.は、SMAPに比べるとテレビに出る機会が少ないので、知らない人はピンとこないかもしれませんが、15年続いているグループです。多くのグループが解散や活動停止になる中、w-inds.は15周年をむかえてなお、活動を続けています。しかも、初期メンバー3人から全くメンバー変更もしていません。これがいかに大変なことか、想像に難くないですね。
このグループの曲に『Re:vision』というタイトルがあります。落ち着いた雰囲気のダンスナンバー。
“<How's everything 10年前の自分>
I'll never change そう信じて
<How's everything 3年前の自分>
wanna make a change そう感じて”
この曲は、この歌詞でスタートします。10年前の自分は、絶対変わらないと信じていた。3年前の自分は、変化をつけたいと感じていた。大まかにはそんな歌詞。10年以上活動を続けるというのは、変わらない信念がなければできません。
また、常に時代に合わせた変化をしていなければ続けられません。この一見相反するような感覚を同時に持っていなければならないんですね。10年以上続いているグループが歌うからこそ、説得力がある歌詞。
“<all the time>
うつろう 気持ちで揺らぐ時もある
<all the time>
目指すべき 道を見つけようとするから”
常に、いつでも、全ての時で、揺らぐ時もある。どんなグループでもそうです。音楽に限らず、勉強や仕事でも同様ですね。長く続ければ続けるほど、揺らぐ時もあるのです。それも「目指すべき道」を真剣に考えるからこそ。
“終わりゆく自由を肌で感じる頃には もう
子供じゃない でも大人でもない そんな感覚”
ここの歌詞も良いですね。「子供じゃない でも大人でもない そんな感覚」というのは、10代から活動しているこのグループならではです。長きにわたって活動しているw-inds.は常に子供でも大人でもないような感覚でいたのではないか?と想像させる歌詞。
「終わりゆく自由」は様々な解釈ができます。子供時代の自由な時間のことかもしれないし、楽しい時間が終わる瞬間かもしれない。いずれにしろ、自由が終わり変化すること、人の成長を表しています。自由の意味を肌で感じる、感覚的に分かってくる頃というのは、もう子供ではない。でも大人と言い切ってしまうのも違う。そういう微妙な感覚を歌詞にしています。
これは、芸能人に限らず多くの人が持っている感覚であるとも言えるでしょう。人は、成長の過程で「自由が終わった」と感じる瞬間がきます。そして、そういうことを強く認識するのは、子供でも大人でもないような年代、具体的いえば10代前半から20代前半頃なのです。
“<How's everything 3年後の自分>
歩みを続けてる?
<How's everything 10年後の自分>
まっすぐな眼で
<all the time>
とびきり 上手に躍り続けてたい
<all the time>
Let my world have one more song to sing 歌がボクらを繋ぐ…”
歌詞は、後半では未来に向けた詞に変わります。3年後や10年後の自分が、まっすぐな瞳で歩み続けているかは分からない。でも、「とびきり上手に躍り続けていたい」「歌がボクらを繋ぐ」。歌って踊るこのグループならではの歌詞ですね。おどるの字は「躍」をあてています。活躍、躍動を表すこの字。この曲が収録されたアルバムが発売されたのは2010年。少なくともそれから3年以上、このグループは歌詞通りに活躍を続けています。
いまだにシングルがオリコントップ10内に入り、ホールクラスの全国ツアーができるw-inds.。『Re:vision』繰り返し将来像を構想するこのタイトルの歌詞どおり、歩み続けているのです。だからこそ、この曲は説得力があり、響くんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)