まだシングルCDが8cmだった頃の、1998年にリリースしたSMAPの名曲です。
SMAP解散に伴い、この曲を作ったスガシカオさんは、夜空ノムコウはSMAP解散に合わせて封印すると発言して話題になっていました。
聴きやすく、どこか懐かしさも感じさせるメロディーラインに、寂しげな歌詞がマッチしたこの曲は、夜空ノムコウをリリースした当時には思いもしなかった解散という結果を、実は予言していたんです。
まず出だしの
“あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかな”
あれから。そう、黒づくめで行った異例とも言われる謝罪会見です。
1月の独立騒動をお詫びするという形でしたが、普段見たこともないメンバーの表情と立ち位置に、ファンでなくとも違和感を感じた人は多くいました。
信じていた人や未来に裏切られ、理不尽さを強要されて、何をどうしていったらいいのかわからない不安な気持ち。どうなるかも全く見えない未来。それを現在の自分達が振り返っている姿が目に浮かびます。
売れない時代から一緒にSMAPを守り、引っ張っていってくれた戦友とも呼べるマネージャーとの別れは、想像できないくらい辛いものでしょう。
ひとりの人(マネージャー)を信じて、一緒に頑張ってきたのに、5人が一緒に信じる者がいなくなってしまった。メンバー同士さえ気持ちがすれ違ってしまい、本当に信じる何かを見失ってしまっていたことがわかります。
次に
“歩き出すことさえも いちいちためらうくせに
つまらない常識など つぶせると思ってた”
解散という結論に達するまで、いろいろな悩みや葛藤もあって、今までは脇目もふらずに突っ走ることができたのに、どうやって前に進めばいいのかわからない心境を持ちながら、そんな状態でも、自分達が属している常識やルールを覆せると最初は思っていました。
しかし、『思っていた』と過去形になっていることから、つまらないと感じている常識に打ち勝てなかったことがわかります。
メンバー間の不仲も囁かれていて、ファンとしては胸が苦しくなることもありますが、
“君が何か伝えようと にぎり返したその手は
ぼくの心のやらかい場所を 今でもまだしめつける”
今は本当に険悪かもしれません。それは当人にしかわかりませんが、木村クンのことを尊敬していて、貰ったお財布もボロボロになってもずっと使い続けていた香取クン。
本当は、心の奥で、たくさんの思い出と今まで過ごしてきた一緒の時間、それらを信じている切ない気持ちが歌われています。
辛いな。苦しいな。想像していた未来と違うな。という気持ちが、曲中の色んなところで感じられますが、しかし、最後は現在の状態か違う未来に向けて歩き出さなければ行けない事を示唆しています。
“夜空のむこうには もう明日が待っている”
もうこの時に、別々に歩き出すことが決まっていたのなら、それは寂しいことではありますが、今は、メンバーそれぞれを待っている明日が、良いものであるように願わずにはいられません。
TEXT:六花