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許されぬ恋だからこそ儚く美しい、結成15周年のMERRYが送る偽りの愛の物語

今年1月下旬、ヴィジュアル系界隈で、不倫をテーマにしたある曲がリリースされていたのをご存知だろうか?


今年1月下旬、ヴィジュアル系界隈で、不倫をテーマにしたある曲がリリースされていたのをご存知だろうか?

その名も「平日の女-A面-」



今年結成15周年を迎えるベテランヴィジュアル系バンド、MERRYの曲だ。
MERRYは強烈なメッセージ性を持つ歌詞に、レトロックと呼ばれる唯一無二のサウンドと派手なライブパフォーマンスで知られている。

そんな彼らが不倫をテーマに女性目線で描いた曲。

歌謡曲を彷彿とさせる耳心地の良い哀愁漂うメロディーに、ボーカル、ガラの繊細な歌声が切なく絡み合う。すっと入り込んでくるのに、一度聴いたら耳から離れない中毒性も持ち合わせている。そして心をぐっと鷲掴みにされるような、不倫に落ちた女性の心模様が痛いほど伝わってくる歌詞。

冒頭はこんな歌詞で始まる

"淋しいなんて口が裂けても言いたくない
 嫌われたらお終いだもの
 タバコを吸って私の匂いを消す貴方"


聴き始めてすぐに普通の恋愛の曲ではないとわかるだろう。相手の男性が吸うタバコでさえも、私という存在を隠すためのものに思えてくる。ただ何の気なしに吸っただけかもしれないのに。

"帰らないで 側に居て 離さないで
 心の中で叫んでいます 嫌われないように
 いつも理解ある女を演じています
 強がり言っても独りになると涙が溢れる 蟻地獄だね"


決して声には出せない本音を、嫌われないよう必死で隠す姿は、まるで演技派女優のよう。好きで好きでたまらないけど本音なんか言えないし、辛くて、もうこんな恋嫌なのに、蟻地獄のように抜け出せない。

"心奪いたい 顔も体も声も息も全部欲しい
 どうせ落ちてく恋 諦めもついている
 だから今だけは私を見てよ そして強く抱きしめて"


ルームライトが2人を包む 偽りの愛の物語

どんどん欲張りになっていくこの気持ちを止めることなんてできないし、この恋に未来がないのもわかってる。だからあなたと一緒にいられる時だけは、私だけのものでいてよ。

2人きりの秘密の部屋で、肩を寄り添い偽りの愛を育む2人をルームライトだけが優しくそっと包んでくれた。

現実の不倫はきっと泥沼。
でもこの曲の世界観は儚くて、刹那的でこんなにも美しい。

ボーカルのガラは不倫の根底にあるモラルを説うという意図で作った為、不倫している女心をクローズアップされるのは不本意なのかもしれないが、メロディー、歌声そして歌詞からくる切なくも美しい世界観でもう胸がいっぱいになってしまった為、お許し頂きたい。

改めて、この曲をMERRYが作ったのは昨年のこと、そして発売されたのが今年の1月27日。
偶然とは言え、世の中の出来事を見透かしたかのごとく、すごいタイミングでのリリースとなった。

8月1日に行われたavex主催のヴィジュアル系フェスV-NATIONにも登場したMERRY。MCでガラが「この曲を作った途端、世の中は不倫ブーム、どうかまだこの不倫ブーム終わらないでください」と会場の笑いを誘った。真っ赤な女優ハットを被り、素肌に羽織るだけの着物、口紅を塗りたくっては手で拭いながら歌うガラの姿は、まるで気持ちに収拾がつかないちぐはぐな女の心を表しているようで、痛々しくも美しい、圧巻のパフォーマンスだった。曲が終わると同時に、手元の赤いライトをルームライトに見立て、ふっと消した演出も憎い。耳からだけでなく、機会があれば是非一度ライブに足を運んで、視覚からもこの曲を味わって頂きたい。

補足だが、タイトルが「土曜日の女-A面-」となっているように、この曲には同じ歌詞でメロディーだけをがらりと変えた「土曜日の女-B面-」が存在する。バンド初の試みとのことだが、A面の世界観にどっぷり浸り込んだ後に聞いたら、良い意味ですごい衝撃を受けるだろう。

もうすぐ季節は秋。秋の夜長の読書もいいが、この曲を聴いて、許されぬ恋に落ちてしまった女の、儚くも美しい物語の世界に、あなたも足を踏み入れてみては

TEXT:中村友紀

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