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幸せのカタチを問い掛ける。合わせて聴きたい嵐『LIFE』と『素晴らしき世界』

2016年発売の嵐のアルバムタイトル「Are You Happy?」。

Are You Happy?

2016年発売の嵐のアルバムタイトル「Are You Happy?」「Happy」というテーマのもと、「嵐が思う今の嵐」を表現する、というコンセプトになっている。

そこで、これから提示されるであろう「今の嵐が考えるHappy」に対し、今回は今までの嵐が提示してきた「Happy」に関連する曲を二つほど紹介したい。

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シングル曲だけで考えてみても、嵐の曲には多幸感溢れる曲が多い。タイトルどおりの『Happiness』『One Love』『愛を叫べ』など、国民的アイドルらしく、嵐はいつも愛や希望をこれまた多幸感溢れるメロディーにのせて歌ってきた。

しかし今回はあえて多くが知るところであろうシングル曲ではなく、アルバム曲に着目してみた。

『One』より「素晴らしき世界」

まずは『素晴らしき世界』。2005年のアルバム『One』に収録されている曲である。


2005年、この曲が収録されたアルバム発売時点にはまだ松本の代表作となる「花より男子」の放送さえされていない。

当時の嵐はまだ今の彼らの面影には遠く、ツアーもアリーナ規模であった。それでも、嵐はデビュー2年後の2001年から毎年一枚必ずアルバムをリリースしている。今の彼らの姿があるのは、そういった地道な努力の積み重ねが実った結果だろう。

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This is a Little Song, a Tiny Song この手高く高く今舞い上がる
友を信じる優しい声が遠く遠く君の元へ届きますよう
≪素晴らしき世界 歌詞より抜粋≫
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曲の最初と最後に入っているこのフレーズ。LittleもTinyも「小さな」「ちっぽけな」といったような意味を持つが、ここでは「ささやかな」くらいの意味に捉えるのが合うだろう。

優しげなメロディーに乗せて、手を高く掲げ、声を届けようとした。それは何故だったのか。

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溜息の色と染まりゆくこの空に僕は何かを探してた
不安な未来とここから伸びる影を追い越すなんて出来ないのに
いくつもの夜の果てに今がある
明日も君が君でいられるための涙に祝福を!
≪素晴らしき世界 歌詞より抜粋≫
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最終電車に乗って憂鬱の駅を駆け抜けてこう
君の街まであと少し
僕らは泣いて笑ってそれでも明日を夢見てしまう
ありがとう素晴らしき世界
≪素晴らしき世界 歌詞より抜粋≫
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高く掲げた手は“この空に何かを探してた”様子ではないだろうか。溜息をついてしまうような未来に対する不安でいっぱいの気持ちと、そこから先の見えない恐怖に負けてしまいそうな様子を“影を追い越すなんて出来ないのに”と表している。

“夜”は暗さや不安を増長させる象徴だ。しかし、それを幾つも越えてきた先が“今”であること、そして“明日も君が君でいられるため”にと祝福を歌っているのである。

“最終電車に乗って憂鬱の駅を駆け抜けてこう”は、前述の追い越すことのできない“伸びる影”を追い越せる手段だというふうに聞こえてくる。

遠い街へ駆けてゆく電車は、未来への不安や憂鬱という駅を通り越して“君”の元へ辿り着くことのできる「希望」なのである。

しかし二番では、夢の存在を知っていてもなお存在する不安や、歩いてきた道が自分に問い掛ける様子などが描かれている。それでも“僕”は“君”を信じていることが、二番のくだりからも伝わってくる。

一番では“最終”だった電車が“満員電車”となり、都会で過ぎる忙しない日々への疲れを感じながらも“君”とのつながりを信じて生きてゆく“僕”の姿は、綺麗ごとのようでありつつも、ささやかなリアルを郷愁とも取れるような風景を含みながら描いている。

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Wow 街の灯かり 輪郭描き 道なき道を照らし
今日もまた灰色の空が開けるはず君となら
I wanna say something 2 all my homies
僕はまだ旅の途中
Everything is gonna be all right
色を加え 塗り描いて行く “近い将来”
≪素晴らしき世界 歌詞より抜粋≫
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櫻井の書いたラップ部分には、前述したシーンを補足するような詞が書かれている。

電車に乗って“君”の元へ向かう“僕”からは、友の住む街の灯りが見え、それがまるで靄を晴らしていくように道なき道に道をつくる。“君となら”先の見えない旅の途中でも、“僕”は進んでいける。そんな勇気を与えあうというメッセージだ。

“僕”は“君”の“涙”さえも祝福してくれるという。
“僕らは泣いて笑って それでも明日を夢見てしまう”


涙を流した夜さえも乗り越えてきたから、“明日”という“今”に辿り着ける。未来は不安でいっぱいだけれど、そこには夢も希望もあることを“僕ら”は知っている。

夜というよりは、夕景を思わせるような切ないメロディーに乗せて、友という存在が人生を照らしてくれる灯りとなる、という幸せの形を嵐は静かに提示していた。




『Time』より「LIFE」

次に、2007年のアルバム『Time』に収録された『LIFE』


この頃には少しずつ知名度が上がり始めていた嵐だったが、それでも今と比べてしまえばまだ霞んでしまうだろう。この曲はのちにCMソングに起用されたが、それは嵐が十周年を迎えた以降のことだった。

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目覚まし代わりにつけたTVから
知らない街の誰かの笑い声
僕も何となく笑顔がこぼれた
遅く目が覚めた 晴れた朝のこと
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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偶然見つけた彼のBlogから
知らない街の誰かの笑い声
僕は何となく涙がこぼれた
やけに目が冴えた そんな夜のこと
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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これは一番と二番のAメロだが、“知らない街の誰かの笑い声”という同じフレーズを使いながらも、朝と夜では捉え方が全く変わっている。

笑顔を誘うものと、涙を零してしまうようなもの。一見して同じ風景でも、時も場所も違えば全く違う感情になりえてしまうということが分かる。

だが、重要なのはこの曲のメロディー自体は、夜というよりは朝を想像させる清々しさや穏やかさの印象がメインになっているということだ。

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どうやって生きてくのか 答えは一つじゃなくて
大切なことは 僕らの幸せのカタチ
誰もがそれを探してる
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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巡る季節の風に乗って 輝きだした君の夢は
いつか届くよ そこまできっと 広がる この空を駆け巡って行く
思い通りにならないって 挫けそうになる時だって
僕らはきっと手を取り合うよ だからさ 大丈夫 信じて進むよ
奇跡など待たないよ 陽の差す方へ
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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決まった答えや幸せのカタチなどなく、それを誰もが探している。“巡る季節”は時の流れであり、たとえ時間をかけても未来を信じて進んでいく限り、そこに希望という“陽”が差し、夢は輝きはじめるのだと、挫けそうになる日々の活路へ導いてくれている。

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あの暗闇に一筋の光
導きしかの様 キラリ 光り
未来に痛みも連れて行く
オレンジの空また暮れ行く
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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生きるため故生きるのかい?
いつか機が熟した機に振り返る
現在は 奇跡など待たずにあの陽の光の射す方 射す方へ
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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この曲でも櫻井のラップ詞は、小気味よくそれらのメッセージを添え語っている。

“光”のあとに続く“未来に痛みも連れて行く”に、『LIFE』という曲名どおりのリアリティを感じる。痛みも哀しみも涙も、それを含めて“道”つまり「人生」だ。

“生きるため故生きるのかい?”という問い掛けの言葉は単純そうでいて深い。

どうやって、何のため、その理由は何なのかと問いつつも、“奇跡など待たずにあの陽の光の射す方へ”と導いている。これらは“暗闇に一筋の光 導きしかの様”を指しているのだろう。

更に最後のサビでそれらが回収されるかのように、次の言葉に表されている。

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人には言えない悲しみや 冴えない毎日が続いても
散らばっている輝きを拾い上げれば もう少し進める気がした
≪LIFE 歌詞より抜粋≫
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人は誰しも、独りになった気がして悩んでしまう。暗闇という夜がくると、世界から隔絶されたようになる。けれどそれでも朝はやって来て、光は射すもの。

朝がくることは、奇跡でもなんでもない。生きているだけで人は、“光”という希望を目に映すことができる。

涙で滲んだ視界には見えにくくなっていても、足元にも、どこにでも輝きは散らばっているのかもしれない。それはほんの些細なきっかけであったり、勇気であったり、家族や友の存在であるかもしれない。

進むために必要なのは、その小さな輝きを拾い上げるという勇気。それが“進む”ということだと、彼らは歌っているのではないか。

“僕らはきっと手を取り合うよ だからさ 大丈夫”
『LIFE』サビのこのフレーズに、『素晴らしき世界』と共通する、嵐の「ささやかなメッセージ」が込められているのではないだろうか。大切なのは、人は独りでは生きていないということだと。

そしてその「ささやかな」中に、嵐という存在をも含めていたのかもしれない。

『素晴らしき世界』は2009年のベストアルバム初回盤のメンバーセレクト曲にも選ばれるほど、嵐、そしてファンの中でも人気の高い楽曲。『LIFE』も、隠れた名曲といって遜色ない。

嵐というグループの包み込むような温かさや優しさを感じられるこのミディアムテンポな二曲は、シングル曲で嵐が打ち出している圧倒的多幸感とはまた別種のものだろう。だがこういうディープな楽曲の中にこそ、真なる魅力が隠れている。

「今の嵐」は果たしてどんなカタチで「Happy」を私たちに問いかけてくれるのか、今から楽しみだ。

TEXT:祈焔(https://twitter.com/kien_inori)

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