神々しい歌声の持ち主 中島みゆき
北海道札幌市出身のシンガーソングライター中島みゆき。
彼女の歌声は、大地を震わすほどの力強さと、時には神々しささえ感じさせる繊細さを兼ね備えています。
これまでに『地上の星』『ファイト!!』など後世に語り継がれる数々の名曲を生み出してきました。
彼女の詩はリアルな情景が頭に浮かぶので時に残酷さを感じることもあるでしょう。
ですが、それらは決して後ろ向きではなく、現実の真正面に立ち、目を見開いて新たな光を探す前向きな意味がこめられているようにも感じます。
今回は、1998年に放送された大人気ドラマ「聖者の行進」の主題歌でもあり、さらに2020年には映画の題材にもなった名曲『糸』をご紹介します。
理由を求めず、ありのままを
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なぜ めぐり逢うのかを
私たちは
なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを
私たちは
いつも知らない
≪糸 歌詞より抜粋≫
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「いつ出会うのか、なぜ出会うのか」明確な答えは世の中に存在しませんよね。また、その疑問の答えを知ったところで何の意味もありません。
理由を求めるのではなく、出会いというありのままの事実を受け入れることが必要なのでしょう。
生の尊さを訴えている中島みゆきの声が、そんな考えへと導いてくれます。
出会いは希望になる
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縦の糸はあなた
横の糸は私
織りなす布は
いつか誰かを
暖めうるかもしれない
≪糸 歌詞より抜粋≫
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人を糸と例えて、「出会い」の可能性を説明しています。
出会いは決して当人だけのものではなく、誰かの希望となることもあるのだと歌詞から伝わってきますね。
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こんな糸が なんになるの
心許なくて
ふるえてた風の中
≪糸 歌詞より抜粋≫
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誰かの希望となる糸、それは決してピンと強く張り続けられるものではありません。
時に強い風に吹かれ、繊細な糸は今にも切れそうに揺れる。中島みゆきは、機微のある人の心を「糸」で見事に表現しています。
「仕合わせ」と書く意味
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縦の糸はあなた
横の糸は私
逢うべき糸に
出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます
≪糸 歌詞より抜粋≫
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中島みゆきは「幸せ」とは書かずに「仕合わせ」としています。
「仕合わせ」という言葉には「幸せ」という意味と、「めぐりあわせ・運命」という意味も持っているからでしょうか。
その意味を含めてこの歌詞を解釈すると、会うべき人に会うことは定められた現実と読み取れますよね。
言ってしまえば、出会いというのはそれ以上でも以下でもない一つの事実なのでしょう。
糸をどのように布へと変えていくか、つまり、出会いをどう成熟させていくかが重要なのです。
「なぜ出会うのか、いつ出会うのか」その理由は分からずとも、出会いそのものが別の誰かを救っていると『糸』は教えてくれているのでしょう。
TEXT 笹谷創