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全ての人見知りへ捧ぐ、究極の人見知りソング。カノエラナ『ヒトミシリ』

カノエラナは、佐賀出身のシンガーソングライター。


カノエラナは、佐賀出身のシンガーソングライター。歌詞が非常にユニークなことで知られています。自作の曲を披露するTwitterの30秒動画で人気上昇中。

そんなカノエラナの代表曲のひとつが『ヒトミシリ』。この曲は、自身の人見知りの性格をPOPな曲で説明しています。「カノエラナ」「ヒトミシリ」と、文字数とカタカナ表記を揃えているところも良いですね。こういうちょっとしたところにセンスが出ています。



“その1 人が多いところに誘わないでくれ
その2 たいして興味も無いのに話しかけてくんな
その3 何歳?何処に住んでる?彼氏はいるの?
その4 誰がお前なんかに教えるかよ
その1 そもそも外に出るのに2時間迷う
その2 出たとしても寄り道はせず最短ルートで
その3 オネーサン何処に行くの?聞いてどうすんだよ
その4 これ以上ついてきたら警察呼びます

その1 自分のことが話題になると凍り付くぜ
その2 ラベルや説明書きとはお友達
その3 ドラマの話にはついていけませんが
その4 アニメの話には聞き耳立ててます”



「その1」「その2」と人見知りあるあるをあげていく歌詞から曲はスタート。最初のパートでは主に「誘わないでくれ」「話しかけんな」という「相手へのお願い」がきます。次に「外に出るのに2時間迷う」「寄り道はせず最短ルートで」という「自身の行動」が登場。そして2番に入ってからは「自分のことが話題になると凍り付く」「ラベルや説明書きとはお友達」「アニメの話には聞き耳立ててます」と、より「カノエラナのパーソナルな部分」に迫っていきます。人見知りあるあるをただ列挙するのではなく、共感できそうなあるあるから挙げていき、よりパーソナルな部分に迫っていく構成。これで、人見知りで悩んでいる人が共感しやすく、かつカノエラナというアーティストがどういう人なのかも、曲を通して分かるようになっています。


“うるせぇよバカ
あーたしーはヒトミシリ 早くお家に帰して
怖い キモイ ウザイ なんとかして早く帰りたい
あーたしーはヒトミシリ 空気が吸い辛い
そんなにあたしが知りたいならば3回まわってワン! と鳴け”



サビにいく直前で「うるせぇよバカ」と歌うところも良いですね。人見知りの人が言いたくても言いにくいことを代弁している。だけでなく、曲の流れとしても無理なく、強めの言葉でサビを盛り上げるための勢いを作っているんですね。


サビの歌詞表記に注目。「あーたーしーはヒトミシリ」と、歌い方に合わせた表記になっています。「私は人見知り」と表記するとかなり深刻なイメージになってしまいますが、ひらがなとカタカナ表記にすることで、かなりPOPな印象になるんですね。そして「あーたーしーは」(あーあーいーあ)と伸ばす音を続けてから「ヒトミシリ」(いおいいい)と「い」の音で刻むことで、「ヒトミシリ」という主題が際立つようになっています。「怖い」「キモイ」「ウザイ」「早く帰りたい」「空気が吸い辛い」とリズミカルに韻を踏みながら、苦しい感情を重ねていきます。カノエラナのすごいところは、こういうネガティブなワードを並べても明るく聴かせる点。言葉のチョイス、重ね方がうまいんですね。


そしてサビ終わりの「3回まわってワン!と鳴け」。つきまとう人間を犬にたとえています。ここはライブにおいては観客に「ワン!」のコールをしてもらう箇所。観客が参加する仕組みも用意しています。さらに「ワン」と冒頭の「その1」「ワン」つながりで最初と最後をしめているところもうまいですね。


「なんで歌を歌おうと思ったの?」
自分の意思を喋るのが苦手だからに決まってんじゃん
決まってんじゃん...
あーたしーはヒトミシリ 早くお家に帰して
受け入れられなかったらどうしようって不安で
あーたしーはヒトミシリ 悪態つきながらも
克服するため生きていくため3回まわってワン!と鳴く”



そして、この曲の要は後半のこの箇所です。おそらくしょっちゅう聞かれているであろう「なんで歌を歌おうと思ったの?」という問いをそのまま歌詞にして、答えも言っています。「自分の意思を喋るのが苦手だからに決まってんじゃん」という切実な思いが、ここで登場。「受け入れられなかったらどうしようって不安で」という歌詞を不安そうに歌唱することで、観客は「悪態」の裏にあるカノエラナの感情に気付くのです。「3回まわってワン!」は、己を鼓舞する合図になりました。このフレーズは相手への命令で終わらずに、自身を奮い立たせる意味も込めているんですね。


これほど明るい人見知りソングもなかなかありません。一見ネガティブなワードも、POPな曲に合わせて歌えば、それを克服する手段になる。カノエラナは、音楽が持っている効用を教えてくれるんですね。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

1995年12月4日生まれ、 佐賀県出身。 無類のアニメ好きで多くのアニメ作品から影響を受け、独特な着眼点から生まれる歌詞や世界観にあわせて色とりどりに変化する歌声と歌唱力で同世代を中心としたZ世代から圧倒的な支持を集めるシンガーソングライター。近年、TikTokで投稿した動画「おーい兄ち···

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