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【歌詞コラム】ビリー・バンバン『また君に恋してる』妖艶な世界観に隠されたある工夫とは?

兄弟デュオとして昔から多くのファンを持ち、耳のこえた大人ほどハマるビリー・バンバン。彼らの魅力はいったいどこにあるのでしょう?

公開日:2017年5月7日 更新日:2019年7月26日


この記事の目次
  1. ・センスある大人がハマるビリー・バンバン
  2. ・音でもたらされる不思議な感覚
  3. ・声に、歌詞に、どんどん惹き込まれてゆく
  4. ・素通りできないメロディ
  5. ・怒涛の秀逸な表現

センスある大人がハマるビリー・バンバン


兄弟デュオとして昔から多くのファンを持つビリー・バンバン。センスのある大人たちは彼らの魅力の虜になる。麦焼酎「いいちこ」のCMソングを10年以上も手掛けており、ビリー・バンバンの存在を世に広く知らしめた。

1972年に発売した『さよならをするために』が大ヒットし、その年の紅白にも出場している。4年後の1976年に考え方の違いにより一度は解散しているものの、1984年に再結成している。

音でもたらされる不思議な感覚

優しいメロディと兄弟が織りなすハーモニーは怪しさと哀しみが染みこんでおり、北欧の街を彷徨っているような、知らない過去を体験しているような不思議な感覚をもたらす。

その不思議な感覚はどこから湧いてくるものなのか。今回は彼らの代表曲『また君に恋してる』を通して、ビリー・バンバンの持つ世界観について考えていきたい。

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朝露が招く 光を浴びて
はじめてのように ふれる頬
てのひらに伝う 君の寝息に
過ぎてきた時が 報われる
いつか風が 散らした花も
季節巡り 色をつけるよ
≪また君に恋してる 歌詞より抜粋≫
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同曲のイントロ部分で、独特な音階を持った妖艶な音色が鳴り響いている。この最初の部分ですでに、リスナーは『また君に恋してる』の世界に迷い込んでいる。サビの「また君に」という部分が注目されがちだが、このイントロを聴き逃してこの曲は語れないはずだ。

声に、歌詞に、どんどん惹き込まれてゆく


大量の雨が降った夜は明け、だんだんと雲が消え光が入り込んでくる。そんな美しい情景を「朝露」という言葉を使って表現している。消えゆく泡のような声とこの美しい歌詞が合わさり、日々の生活とは別次元の風景が頭に浮かぶはずだ。

風に花、季節など時間の流れを想起させる言葉が散りばめられている。時の移ろいを感じさせる歌詞に加えて、「てのひらに伝う君の寝息に」と生を感じずにはいられない、生々しい表現が織り交ぜられている。

辺りが浮遊しているような感覚に陥るのは、これらが絶妙に絡み合っているためだろう。

素通りできないメロディ

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また君に恋してる
いままでよりも深く
まだ君を好きになれる
心から
≪また君に恋してる 歌詞より抜粋≫
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坂本冬美のカバーとして同曲を認識し「また君に恋してる」というサビのメロディを覚えている人も多いのではないだろうか。

この有名なフレーズ「また君に」という部分の音程が急に上がるのは不自然だと兄は考えていたそうだ。しかしながら弟は、「霧のかかった田園が頭に浮かんでくるようだ」とこの部分を捉えていた。

口ずさんで見ればすぐにわかるが、この部分が心に残るメロディであることは間違いない。簡単に通り過ぎることのできないこのメロディも、同曲の醍醐味なのであろう。

『また君に恋してる』は、心地よく怪しい世界に連れて行ってくれる条件があまりにも揃いすぎているのだ。

怒涛の秀逸な表現


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若かっただけで 許された罪
残った傷にも 陽が滲む
幸せの意味に 戸惑うときも
ふたりは気持ちを つないでた
いつか雨に 失くした空も
涙ふけば 虹も架かるよ
≪また君に恋してる 歌詞より抜粋≫
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「残った傷にも陽が滲む」という表現で「も」があるのとないのは大違いだ。「も」があることによって傷以外に陽が滲んでいると理解できる。傷以外に何が滲むのかはリスナーの想像次第なのであるが、この「も」が曲に奥行きをもたらしているのは間違いない。

「雨に亡くした空」という表現も秀逸だ。「亡くした」という漢字は死を思い出させる。この部分や前出した「てのひらに伝う君の寝息に」という表現などからもわかるように、生や死を象徴するような歌詞を組み込み、曲の世界観を保っているため一般的な恋の歌とは様子が違ってくる。

加えてタイトルにも注目してほしい。そう、「また君に恋して“い”る」ではなく「また君に恋してる」なのだ。後者の方がより直接的にリスナーの心に入り込んでくるのがわかる。

歌詞が一文字違うだけ、漢字の使い方が少し変わっているだけで曲が持つ世界は大きく変わる。

この曲からもわかるように、多くの人を惹きつけてやまないビリー・バンバンの独特な世界観は、綿密な創意工夫によって作りあげられているのだ。

TEXT 笹谷創(Blog

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