なぜ水銀が陸怜を守るのか!?
――最新シングルの『マモリツナグ』、冒頭から熱を抱いた力強い歌声が炸裂。触れた瞬間、一気に気持ちが熱く昂りました。
凛:この歌、そうとう腹筋も使えば、カロリー消費もかなり高い楽曲ですからね(笑)。これまでの私は、闇を描いた歌や、ポジティブなんだけど闇の部分の多い曲を歌ってきたんですけど。『マモリツナグ』に関しては、光の要素90%闇の部分10%というバランスなんです。だから最初は、「とても光あふれる歌だなぁ」という印象でした。でも歌詞には、なぜ戦うのか!?という理由も明確に書いてあれば、闇と光の気持ちを対照的に描いてるところにも私は共感を覚えたし、感動もしました。
サビはまさに光にあふれている想いなんですけど。個人的に、Aメロに記された「運命の果てに微かに光る灯火ひとつ」のブロックが好きなんです。なぜ微かな灯火が大事かって、まわりが闇だから微かな灯火が生きがいになれば、だからこそ命を惜しまず大切な人を守らなきゃという理由へも繋がっている。私は、そう解釈しました。
――『マモリツナグ』へは、「銀の墓守り(ガーディアン)」のヒロイン陸怜ちゃんを守ろうとする主人公の水銀くんの強い気持ちを歌にしていますよね。
凛:そうなんです。水銀自身が割と闇な世界に生きている人。彼が陸怜に出会ったことから、自分が守るしかないと意志を強めていく。そういうところが水銀の大好きなところです。
『マモリツナグ』という歌自体へ、大切な人を守るためならすべてを惜しまずに捧げてゆく意志や姿が投影されています。その情熱を、私は歌声に託しました。
――『マモリツナグ』の中で好きな歌詞も、ぜひ教えてください。
凛:「孤高に咲く君が 嗚呼 誰よりも美しいまま居られるように」の部分です。この一節こそ、私はこの歌のキーワードになっていると受け止めています。
なぜ、水銀が陸怜を守るのか!?それは、たとえ自分は汚れてもいいから、相手を汚れることなく美しいままに守りたい。そう決意したときの言葉が、その一節だと私は捉えました。
――凛さんの気持ちの面でも、水銀くんと共通する面はいろいろありました?
凛:けっこう通じます。「銀の墓守り(ガーディアン)」の中で、私が一番共感出来るキャラクターが水銀ですから。水銀は、一見弱そうな人なんです。貧乏で何をやるにも難しい環境の中でさえ、彼は逞しく生きている。学校へ通いバイトをしながら、ゲームにも夢中になれば、そのゲームを通して陸怜を守ろうともしていく。作品を見ていると最初は後ろ向きに見えるかもしれませんが、実はとても前向きな人なんだなというのがわかると思います。
――後ろ向きそうに見えてじつは前向きって、もしや…。
凛:私も口では後ろ向きなことを言いながら、行動面では前向きな天の邪鬼な性格。だから、水銀の気持ちに共感しているんだと思います。
『Eternal Land』こそが、暁月凛として闇を示す基準
――C/Wには、切ない表情を持った『Eternal Land』を収録しました。
凛:『Eternal Land』は、私の心そのものです。私、頽廃的な美が大好きなんですけど。それがこんなにも具現化されているなんて…もう、最高の形になりました。
これは、私が『Eternal Land』を歌うときにイメージした物語なんですけど。Eternal Landと呼ばれるこの国には、人に忘れ去られると命を落としてしまう妖精がいます。でも、何時しかその国から人間は誰もいなくなり妖精は一人ぼっちになってしまう。記憶からさえ消えてしまった妖精は、やがて一人死へ向かっていく。そういう解釈を持って歌いました。
――歌うときにも、そのイメージを頭に浮かべながらだったわけですよね。
凛:そうです。私、妄想するのが大好きなように、何時も非現実なことを考えてしまいます。むしろ,そのほうが感情も深く込められるから、歌う場合は良いのかも知れません。
――完成した『Eternal Land』について、どんな手応えを覚えています?
凛:『Eternal Land』は自己紹介変わりになる楽曲だと思います。「あなたはどんな人ですか?」と聞かれたとき、「『Eternal Land』に記されたような人です」と言いなから、この歌を手渡せたら私のことを理解してもらえると言いますか…。
『Eternal Land』に出てくる主人公は綺麗なままに死んでゆく。闇の世界の物語なんですけど、そこへは美しい頽廃さがある。私自身の心がそこへ敏感に反応するからこそ、この歌が自分は大好きなんです。むしろ『Eternal Land』こそが、暁月凛として闇を示す場合の基準になる楽曲だと思います。
――『Eternal Land』の歌詞を湊貴大さんへ書いていただくうえでも、凛さんなりにリクエストした想いはあったのでしょうか?
凛:『Eternal Land』はまさに湊さんが私の心を具現化した作品のように、私が離した想いを汲み取って形にしてくださいました。
落ち込んでるとき、誰かを守りたいとき、現実の汚れに気づいてしまったとき、ぜひ『マモリツナグ』を聞いてください。きっと、あなたの心を癒してくと思います。
――ロングドレスを身にまとった凛さんが登場。広大な地を舞台に撮影した『マモリツナグ』のMVも、とても素敵ですね。
凛:『マモリツナグ』は人を守る戦士の歌じゃないですか。私はその姿に、ジャンヌダルクのような戦士の姿も投影しながら歌いました。その姿を私自身の映像にも投影したいなと思い、あのMVを作っていただきました。
――最後に、改めて『マモリツナグ』の魅力についてひと言お願いします。
凛:今までの私は激しいアニソンを歌ってきましたけど。今回の2曲を歌ったことで、何時かは『Eternal Land』のようなアニソンを歌ってみたいなという願望が生まれました。
『マモリツナグ』は、とても疾走感を持った光眩しい楽曲になりました。落ち込んでるとき、誰かを守りたいとき、現実の汚れに気づいてしまったとき、ぜひ『マモリツナグ』を聞いてください。きっと、あなたの心を癒してくと思います。
――凛さんの中にも、誰かを守りたい気持ちはありますか?
凛:誰かを守りたい気持ちは男性にも女性にもあること。もちろん、私自身も守り繋ぐ気持ちはしっかり持っています。
PHOTO:片山拓