フレンズの音楽は、ジャンル的に言うと、ネオシティポップと呼ばれるもので、ムード歌謡を現代風にアレンジしたもの。シチュエーションで例えてみると、「ドライブしながら聴く」「歩きながら聴く」という時にぴったりです。変に邪魔してこない心地よさと緩さがあり、無意識に身体を揺らしたくなる。そう、揺れてしまうサウンドなのだ。
そんなフレンズが、4月5日に初の全国流通盤『ベビー誕生!』をリリースした。このアルバムは最初から最後まで繋がっているように感じる。
序盤は【恋】から始まり、【恋人】になり、【すれ違い・倦怠期】【仲直り】。最終的には全てを許して“そんなかんじ”と開き直り。恋愛の喜びも痛みも全て知っている、少し大人なビターな味を堪能しているような気分にさせる一枚です。
その中でも、“特に聴いて欲しい!”ものを5曲に絞り、レビューをお届けする
『ベビー誕生!』オススメ曲レビュー
「ビビビ」
ビビビッとくるようなときめきだ
これが恋じゃない? 恋じゃない? 指の先まで
いてもたってもいられないドキドキだ
これで恋したい Yeah! 本気だ Yeah!
謎だらけミステリー
産声をあげて、最初に“オギャー!”と鳴くのは、恋に落ちてしまったトキメキの瞬間を歌った『ビビビ』。寝る前に無意識に相手の事を想ったり、顔を思い浮かべたり。“恋”というものを“ミステリー”という視点で描かれているのが面白い。“謎解き”をしている時と感覚が似ている。聴くだけで、ドキドキワクワクを感じ取る事が出来る、ハッピーラヴソング。
「シンデレラガール」
らんらんらららら きっと似てるね
綺麗になって飛び出そう
らんらんらららら ちょっとやっぱり
会いたくなるけど
勇気を振り絞って、一目惚れの先へと歩き出す女性を描いたダンスナンバー『シンデレラガールズ』。ラップ調のサウンドに合わせて、軽やかなステップを踏みながら街中で聴きたい曲。綺麗になってあの人を見返してやりたい。と奮起する、頑張る全ての女性達に、“0時までの魔法”をそっとかける応援ソング。
「夜明けのメモリー」
君と春を思い出したり 夏に悪さして呆れたり
秋は少し離れてみたり クリスマスは2人でいたり
君の涙に狼狽えたり たまに試してみたりしたり
でも好きな気持ちを見せたり 二人の夢に溺れたり
スローなヒップホップ調のビートに合わせて、恋人同士の別れの朝を歌った『夜明けのメモリー』。毎日一緒に居るのが当たり前だったけど、夜が明けたら二人の履歴が途絶え、履歴書となる。声が聞きたいけど、かける言葉が見つからない。何らかの理由で離れ離れになってしまう二人の、決して届くことはない心の声が切ないナンバー。
「塩と砂糖」
あまいからい間違えても愛してくれるのいいね!
居心地良いことなんてさなかなか無いんだよ
自分ばかり考えてるって思い合ってもダメ!
愚痴ばっかこぼしてもさ受け止めてあげる
愛 ちょっとスイート?ラブリー強情!
正反対なカップルの日常の不満が、まるでポップコーンのように弾け飛ぶポップチューン『塩と砂糖』。中身は違くても、割り合いさえよくすれば、より良いものになるという関係性を、“塩と砂糖”に例えている。「愛してはいる。けど、分かり合いたくても中々分かり合えない。それは、所詮他人同士なんだから仕方が無い事だ。」と、割り切って、この難題に挑むカップルのやり取りを歌っているのが面白いポップソング。
「そんなかんじ」
そんな感じで朝が来て 楽しすぎるこの夜とかgood!
やだよやだよやだやだ 帰りたくなんてないけど
明日また会う約束しよう
大人の夜遊びパーティーチューン『そんなかんじ』。
仕事終わりのご褒美タイムで、気の合う仲間達とお酒を呑みながら、時にはハメを外しちゃおう!と肩の力を抜いてくれる曲。世の中の為に。家族の為に。自分の為に。それぞれの目的で毎日朝から晩まで働き、やっと訪れた自由な時間。「大人だってたまには息抜きしてもいいじゃん!なんか分かんないけど帰りたくないくらい楽しい!」まさしく“そんなかんじ”の事を歌っているスローダンスナンバー。
いかがでしょうか。ちょっぴりビターな恋愛ソングが、多くの人を共感させる一枚。「ベビー誕生!」は、人生経験豊富な大人だから生まれる見栄や葛藤が多く描かれ、曲ごとに感情豊かに表現されています。
男女ツインボーカルだからこそ、曲の中の会話がリアルさを増して、感情移入しやすく、聴きやすいところもフレンズならではの良さ。
彼等が作り出す、“ふたりだけの物語”が、今後どのように変貌を遂げていくのか楽しみです!