音に対するこだわりが激しい二人は音楽に救われることが多々あるという。映画であれ音楽であれ、二人は「想い」が見えるものが好きなのである。作った人自身のアイデアやメッセージは作品から自然と溢れ出ており、二人はそれを感じ取っているのだろう。
LOVE PSYCHEDELICOの場合は自身の楽曲にどのような想いを込めているのだろうか。二人の代表作「Last Smile」を紐解きながら、非常に高い音楽性に込めた想いを紐解いていきたい。
“ホラ抱き合える喜びは過ぎ去りし I never look back again
胸の中 腕の中 悲しみは君とmelt away
夢で会えたって 一人泣いたって 君はchange your way
響かない 届かない 曖昧な手のひらで踊る踊るtango style 僕ならもう…
全て溶け出したnoon 絵にならないMonday”
LOVE PSYCHEDELICOの歌詞を見ると語尾に英語を持ってくることが多い。日本語を英語のように歌うKUMIだが、語尾が英語の方がより彼女らしさが出てくる。
その技法により、一聴するとメッセージ性より雰囲気を重視しているように感じる。しかし、何度も聞いているうちに曖昧な感情を言葉にしているようにも思える。
そう、音楽をどのように捉えるかをリスナーに問うている部分が大きいアーティストなのである。言い換えれば、二人は音楽が自由であることを知っているのだ。
“運命線からother way それから憂いてる風ともget away
いつでも放たれたくとも 君は目の前で
last smie ただ見守ってるよな君のstyle
oh 戯れの遠めなloser”
サビの部分では「other way」「get away」と韻を踏み、聴き心地の良さを大切にしている。前言したように雰囲気を重視した歌詞のようにも思われる同曲であるが、何か心に突き刺さる。
「ただ見守ってるよな君のstyle」に対し、「戯れの遠めなloser」と詞を続ける。この部分では見守ることを敗北と言っているようにも感じる。直接的ではないにしろ、LOVE PSYCHEDELICOは確かにメッセージを伝えているのだ。
心に突き刺さる「何か」とは、LOVE PSYCHEDELICOの音に触れた瞬間のリスナーの感情なのである。
二人に技術があるのは明らかだが、それ以上に音楽を愛している姿勢がある。ライブに行けばすぐに理解できるが、二人が音楽を愛する気持ちはその佇まいから存分に感じられるのだ。
“相対性からwake up ただひたむきな明日へのstep up
今次第に生まれゆく イメージはglobal
I’m feeling you away 永遠からなるloser
今だけに止まらないようなlover Ah”
多くの人を魅了してやまないデリコ節。ボーカルKUMIが帰国子女だからこそ、成せる歌い方である。しかし、二人の魅力は決してそれだけではない。
創る人の「想い」に敏感であり、音楽を信じきっているのだ。これからもLOVE PSYCHEDELICOはリスナーの数だけストーリーがある音楽を作り続けるのだろう。
KUMIとNAOKIにより1997年結成。 2000年4月21日、シングル『LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~』でデビュー。 2001年1月に発表された1stアルバム『THE GREATEST HITS』は200万枚、翌年2002年1月に発表された「LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA」も100万枚を超え、2作連続ミリオンとなる驚異的なセ···