1. スピッツの『空も飛べるはず』は『めざめ』だった

スピッツの『空も飛べるはず』は『めざめ』だった

2017年、スピッツは結成30周年をむかえます。数多くの音楽グループがありますが、誰もが知るヒット曲を出し、その上30年継続できるグループというのは、多くありません。すごいことですね。

2017年7月9日


この記事の目次
  1. ・UtaTen特別企画 『コラムで綴るスピッツ愛』
  2. ・スピッツ 最新情報
  3. ・リリース情報
  4. ・イベント情報
  5. ・スピッツ Profile

UtaTen特別企画 『コラムで綴るスピッツ愛』

歌詞検索・音楽メディアUtaTenでは、シングル・コレクション・アルバム『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』が7/5にリリースされるのを記念して、コラム特別企画を実施!UtaTenライターによる『コラムで綴るスピッツ愛』を7/3から短期集中連載。UtaTen自慢のコラムニスト・ライターが独自の解釈で、スピッツの曲に纏わるコラムをお届けします。



『空も飛べるはず』は、スピッツが1994年にリリースしたシングル。90年代を代表する名曲の一つです。もともと別のドラマ主題歌として制作されたこの曲ですが、ドラマ『白線流し』に起用され脚光を浴びることになります。1995年に出した『ロビンソン』で一躍その名を広めたスピッツ。1996年放送の『白線流し』のドラマのヒットもあり、『空も飛べるはず』は、このバンドに初のオリコンシングルランキング1位と148万枚という売上をもたらします。


“幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて
隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた
色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて”



「幼い微熱」「隠したナイフ」冒頭から青春のあやうさを表現するフレーズが登場します。幼少の頃から持っている微熱=微妙な熱い感情を下げられない「僕」。神様のような大きな存在を恐れながらも心にナイフのような暴力衝動を隠し持っている「僕」。しかし、そんな暴力的な面は似合わないことも、「おどけた歌」によってなぐさめられていることで「僕」は自分で理解する。「色褪せ」「ひび割れ」ながらも、「僕」は「輝くすべ」を求めていく。

「微熱」「ナイフ」「色褪せ」「ひび割れ」。この曲はなんとなく聴いていると心地よいだけに聴こえますが、実は冒頭からマイナス面や暗さをイメージさせる歌詞が続く曲です。そんな状況だからこそ「輝くすべ」を求めている歌。

“切り札にしてた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた
はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて”



2番では、こんな歌詞が登場します。「僕」は「嘘」を「切り札にしてた」が、それは「見えすいた」ものだったと「満月の夜」に気付いて「やぶいた」。「夜」に「髪のにおい」を感じられることから、「君」とかなり親密な関係になっていることが分かります。「深い眠りから覚めて」、「僕」は見えすいた嘘をつかないようにしようと思うのです。「君」はそんな心変わりをさせるほど、自分を「目覚め」させるほどの存在なんですね。


“君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい”



そんなマイナス面が続く中で「輝くすべを求めて」いる歌です。「君」と出会ったことが「奇跡」に感じられる。そして、その「奇跡」は「空も飛べるはず」と感じるほどだ。「涙」が「夢」を濡らすような悲しいこともあるだろう。でも川の水が「海原へ」流れるように、悲しみもやがて流れたなら、「ずっとそばで笑っていてほしい」。

「飛べるはず」「いてほしい」ということは、現状では飛べていないし、そばで笑ってもらえていないことの表れ。切実な願望の歌なんですね。だからこそ響く。

『空も飛べるはず』には、原曲が存在します。『めざめ』というタイトルで1993年にレコーディングされました。アレンジや歌詞がところどころ異なります。

まず、「おどけた歌」は「懐かしい歌」でした。「僕」をなぐさめたのは「懐かしい歌」だったかもしれない。でも真に「僕」の心をなぐさめてくれたのは、「おどけた歌」だったのではないか。ナイフを隠し持ったり、ウソを切り札にしてしまうような「僕」には、「おどけた歌」こそが必要だったのでしょう。

有名なサビのフレーズ「君と出会った奇跡」は、もともと「君と出会えた痛み」です。「奇跡」は「痛み」をともなうものだったんですね。


“ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも”


さらに印象的なのはこの箇所。もともとここは「やがて着替えた季節が 僕たちを包んだら」でした。「着替えた季節」=季節が過ぎるイメージから、「ゴミできらめく世界」=きらめくほどのゴミだらけの世界=ゴミのような嫌な感情がうずまく現実世界に変わっています。そんな現実にこばまれても笑っていてほしいと、より切実な歌詞になっているんですね。

草野マサムネは「セックスと死」が歌を作る時のテーマであると答えています。この曲は、そんなイメージも抱かせます。そして、曲の穏やかなイメージから爽やかな恋愛の歌のようにも思えます。さらにドラマのイメージから卒業ソングとしてもよく歌われており、友情を歌っているようにも解釈できます。「おどけた歌」でなぐさめるような僕にとって、「君」は「音楽」そのものだったのかもしれません。

この曲が好かれているのは、ドラマの主題歌だったからだけではありません。ナイフやウソを大事にしていた「僕」が「君」と出会って「目覚め」、そして「空もとべるはず」と思うようになる普遍的な人の心の変化を歌っているからです。

カバーが多数存在する名曲。それだけ多数の解釈が可能であり、多くの人の心を目覚めさせ、空も飛べるような気持ちにさせる力を持っている曲なんですね。




改訂木魚(じゃぶけん東京本部)


スピッツ 最新情報

リリース情報

2017年7月5日発売 
シングル・コレクション・アルバム
『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』


品番:UPCH-7329/31 / 価格¥3,900+税
【DISC 1】CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection

1..ヒバリのこころ
2. 夏の魔物
3魔女旅に出る
4.惑星のかけら
5.日なたの窓に憧れて
6.裸のままで
7.君が思い出になる前に
8.空も飛べるはず
9.青い車
10.スパイダー
11.ロビンソン
12.涙がキラリ☆
13.チェリー
14.渚
15.スカーレット

【DISC 2】
CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection

1.夢じゃない
2.運命の人
3.冷たい頬
4.楓
5.流れ星
6.ホタル
7.メモリーズ
8.遥か
9.夢追い虫
10.さわって・変わって
11.ハネモノ
12.水色の街
13.スターゲイザー
14.正夢
15.春の歌

【DISC 3】
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

1.魔法のコトバ
2.ルキンフォー
3.群青
4.若葉
5.君は太陽
6.つぐみ
7.シロクマ
8.タイム・トラベル
9.さらさら
10.愛のことば-2014mix-
11.雪風
12.みなと
13.ヘビーメロウ 
14.歌ウサギ (映画「先生!」主題歌)
15.1987→ 

イベント情報

SPITZ30th×ロックロックこんにちは!×Central67
SPITZEXPO2017
【開催期間】2017年10月3日(火)〜10月8日(日)  6日間
      平日 12:00〜20:00(最終入場19:30)
      ※10月5日(木)のみ 12:00〜19:00(最終入場18:30)
      土曜日 10:00〜20:00(最終入場19:30)
      日曜日 10:00〜18:30(最終入場18:00)

【会場】PINEBROOKLYN(パインブルックリン) http://pinebrooklyn.com/
【住所】〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島1丁目2-35
【入場料】


※日付指定券での販売となります。ご希望のお日にちのチケットをご購入ください。
※ご購入のお日にちお1人様1回限り有効。
※小学生以下は無料です。
※高・中学生券をご購入の方は、当日学生証の提示が必要です。
※ご購入されたお日にちでのご来場が出来なくなった場合、当日券窓口にて当日券との差額をお支払い頂ければ、他の日程でご入場いただくことが可能です。
ただし、前売券で売り切れた場合、当日券の販売が予定枚数に達した場合はご入場頂けない場合がございます。予めご了承ください。

【展示内容】
・ 14thアルバム『小さな生き物』のジャケットで使用されたリリエンタールグライダー、15thアルバム『醒めない』のジャケットで使用されたモニャモニャ(どちらも関西初上陸!)を始めとしたCDジャケットにまつわる制作物、ツアーで実際に使われたセットの一部や楽器、印象に残る衣装やグッズ、貴重な未公開写真等
・ 「ロックロックこんにちは!」出演者衣装・小道具&世界初公開のダイジェスト映像上映
・ 木村豊(Central67)ディレクション・スピッツCDジャケットのアザーカット写真やアイデアスケッチ等

※展示物は変更となる場合がございます。

【チケット発売情報】
◆仮面チャウダー会員先行受付
受付日程:2017年8月24日(木)12:00~8月27日(日)23:59
仮面チャウダー会員先行特典有り(オリジナルA5クリアファイルを当日プレゼント)
お申し込みには会員登録(無料)が必要になります

◆一般発売:2017年9月2日(土)10:00
販売場所 イープラス

【特設HP】http://www.plumchowder.com/expo/17/
【問い合わせ】プラムチャウダー 06-6357-6969(平日12:00〜18:00)

スピッツ Profile

草野マサムネ(Vo/Gt)、三輪テツヤ(Gt)、 田村明浩(B)、﨑山龍男(Dr)の4人組ロックバンド。
1987年結成。1991年3月シングル『ヒバリのこころ』、アルバム『スピッツ』でメジャーデビュー後、1995年リリースの11thシングル『ロビンソン』、6thアルバム『ハチミツ』のヒットを機に、多くのファンを獲得。
以後、楽曲制作はもちろん、日本国内をくまなく廻る全国ツアーや自らオーガナイズするイベント開催など、マイペースな活動を継続している。
最新オリジナルアルバム『醒めない』

映画『帝一の國』の主題歌を歌うクリープ…

スピッツが朝のハッピータイムにお届けす…